咲村良子プロレス挑戦記19 あふれまくるパッション

咲村良子連載コラム第19回
「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」
4.14新宿フェイスで神イベが行われた!
「終わりよければすべてパッション」
高橋奈七永選手の引退へ向けた軌跡のひとつとして開催された、この興行。
奈七永さんのキャリアの偉大さを反映するような錚々たるメンバーが集結した。
すべてがよすぎて今日のコラムは長くなるが、最後までお付き合い頂きたい。
まずは対戦カードを見てほしい。
◆1st PASSION!シングルマッチ15分1本勝負
林下詩美(マリーゴールド) vs ZONES(Evolution)
◆2ndPASSION!タッグマッチ15分1本勝負〜ナナモモ・ファイナル〜
高橋奈七永&中西百重 vs ビクトリア弓月&山岡聖怜(マリーゴールド)
◆3rd PASSION!タッグマッチ15分1本勝負
青野未来(マリーゴールド )&高瀬みゆき vs 堀田祐美子&叶ミク(T-HEARTS)
◆セミファイナル PASSION!シングルマッチ20分1本勝負
松本浩代 vs 後藤智香(マリーゴールド)
◆メインイベント PASSION! 6人タッグ30分1本勝負 パッション大爆発
高橋奈七永&優宇&MIRAI (マリーゴールド) vs 橋本千紘(センダイガールズ)&水波綾&山下りな
第五試合までどこを見てもレジェンド揃い。
試合毎に私は感動と学びが多すぎてオーバーフロー状態。全試合を語らせてくれぇ!!!
第一試合から我らがマリーゴールドのエース「林下詩美」が登場!
詩美さんが第一試合で見れるなんてここしかないですよ。
普段なら絶対ない詩美さんの第一試合にはチャンピオンでエースたる器の大きさを感じるものがあった。
相手のZONES選手もキャリア2年目とは思えない技術と貫禄ある選手だけど詩美さんはやっぱり格が違う。
全部を真正面から受け止めながら自分のペースを崩さない。体格もいいZONES選手をこんなに真正面から全部受けたらほとんどの人はきっと立ってられない。
それをまともに受け止めながらしっかり安定感のある勝利に繋げる詩美さんにチャンピオンの器を感じた。
第二試合はナナモモタッグ戦。
これがメインでも全く文句なしという組み合わせだ。
え、待って!? 百重さん引退されましたよね⁉
現役選手に引けを取らないどころか誰よりも軽い身のこなし。
この日一番感心したのは百重さん。
百重さんとは練習も何度かご一緒させていただいた。
そのときももちろん「本当に引退してるの!?」という驚きはあったのだけど本当の試合を見てみてそれを上回る驚きがあった。
天才ってこういうことなのか。
奈七永さんとの息もピッタリ!
タッグ戦の真髄がそこにあった。
全部がメインみたいな試合が続いてまだ第三試合。
しかもここで堀田祐美子選手の登場。タッグを組むのは「叶ミク」。
だからもぉ! みんながメイン級の選手なのよ!
対するは、これまたマリーゴールドの代表選手「青野未来」&不死鳥「高瀬みゆき」。
伝説級の選手「堀田祐美子」に女子プロレス界一番の蹴りだと言わせる「青野未来」。
この人がマリーゴールドにいることが改めて誇らしく感じる。
堀田選手はもはや覇気だけで試合を制するようなその存在感はさすが過ぎてもう……さすが! 脱帽!!!
ここまででもう大満足なのに次がやっとセミファイナル。
「松本浩代」vs「後藤智香」
私自身がデビュー戦の経験を持って知る。
素晴らしい選手は相手選手の能力以上のものを魅せる。
私のデビュー戦はこの日の主役「高橋奈七永」だ。私の今の最高の試合は奈七永さんとのデビュー戦である。
同じものをこのセミファイルに感じた。松本浩代選手の技術と懐の深さが智香さんの持ってる全て以上を引き出して最高の試合だった。
いいなーー!!!!
智香さんいいなーーー!!!
私がそこに立ちたかったー!!!!!
くそぉーーーーーーー!!!
悔しい! あそこに自分は選ばれなかったのだ……。
悔しさでいっぱいになるような本当にいい試合だった。
そしてついにメイン。
高橋奈七永&優宇&MIRAI (マリーゴールド)
vs
橋本千紘(センダイガールズ)&水波綾&山下りな
今の女子プロレスの全てが詰まったような一戦。見応えが凄まじい。もう学びのない瞬間がない。普段、大先輩のMIRAIさんが若手に見える。
そんな中でちゃんと存在感を残すMIRAIさんがまたまたかっこいいよーー。惚れました。
全員が技術と個性とパッションを最高に持ってぶつかって最高の試合だった。
そこには闘いとエンタメのプロレスが体現されていた。
シリアスなグランドで息を呑む瞬間もありながらコミカルでポップなシーンで会場は湧く。
これこそプロレス。
最高だぁぁぁぁ。すげぇ!!!
ほんとに終始、セコンドを忘れてお客さんと一緒になって手に汗握り必死に声をあげる自分がいてまた「プロレスっておもろい」ってなれた。
自分がこの中に入れなかったことが悔やまれる。ほんとに悔しい。
もっともっともっと強くなりたい!!!!
そして、高橋奈七永選手引退の5月24日は自分も試合をして引退を盛り上げる1人になりたい!
くそぉ。今の自分がもどかしい。
明日も咲村は練習する。
(文=咲村良子)
咲村良子マリーゴールド戦記XIX
デビュー戦で高橋奈七永選手と相まみえた咲村良子。その壁は高く、そして分厚かったことだろう。
当たっても当たってもビクともしない高橋選手。見事に散りゆく咲村良子。ふたりはあまりにも対象的に見えた。
しかし、どこか雰囲気が似ている感じもした。それが、ほとばしるパッションなのか。咲村良子の散りゆく姿には、ただではやられないという熱情があった。
女子プロレス界のレジェンドともいわれる高橋奈七永選手の引退ロードもあと少し。咲村良子の情熱は高橋奈七永選手にもきっと届くはず。
咲村良子はデビュー戦で高橋選手から“何か”を受け取ったはず。パッションを受け継ぐ者として、独自のヴィランの道を突き進んでほしい。