『タモリステーション』の新幹線特集に「実質タモリ倶楽部」と歓喜の声、伝説番組復活はないのか

タモリが司会を務める不定期特番『タモリステーション』(テレビ朝日系)が、4月25日の放送で特集テーマに「新幹線」をピックアップ。18回目の放送にして、ついにタモリの得意ジャンルを取り上げた。『タモリステーション』は2022年にスタートしたが、これまで取り上げたのは「大谷翔平」「ウクライナ戦争」「富士山噴火」「インバウンド」「闇バイト」等々。豊富な知識でどんなジャンルも柔軟に対応してきたが、この日の放送は明らかに前のめりだった。
「番組は『新幹線60年物語』と題し、新幹線誕生秘話や発展の歴史、優れた技術の秘密を紹介。さらにJR東海の全面協力により、普段はカメラが入らない指令センターやリニアの工事現場にも潜入しました。『タモリステーション』でのタモリは特集テーマによっては聞き役に徹し、ウクライナ戦争を取り上げた回では1時間以上無言を貫いたことが話題になりましたが、今回は『テンションが他の回よりも高くなっております』と語るなど、終始ゴキゲンな様子でした」(テレビ情報ライター)
タモリほどの大物でも、大好物を目の前にすると興奮は抑えられなかったようだ。そうしたタモリの姿を見た視聴者の脳裏に浮かんだのは、あの伝説の番組だった。放送が始まると、SNSには『タモリ倶楽部』という単語が次々と登場。同番組の人気企画「タモリ電車倶楽部」を思い出した人が多かったことがうかがえる。
「深夜番組ながら常に好視聴率をマークした『タモリ倶楽部』の中でも、特に人気が高かったのが鉄道企画です。車両工場、新線や新駅、検車区に潜入したり、ニッチなジャンルの鉄道マニアをゲストに呼んだり、鉄道にまつわるクイズに挑戦したり、バラエティに富んだ内容で好評を博しました。鉄道企画には鉄道好きの芸能人が呼ばれ、『タモリ電車倶楽部』のメンバーに選ばれると歓喜するのが恒例。メンバーには原田芳雄、向谷実、南田裕介、ダーリンハニー吉川、六角精児、市川紗椰らが名を連ねています」(同)
そんな『タモリ倶楽部』は2023年に惜しまれつつ終了したが、今回『タモリステーション』が鉄道を取り上げたことで、SNSには、「実質タモリ倶楽部やん」タモリ倶楽部の超豪華版鉄道回という内容だった」といった感想が続々と登場した。
テレ朝『タモリステーション』の“本気度”と『タモリ倶楽部』への期待
『ブラタモリ』(NHK)が華麗に復活した今、『タモリ倶楽部』は復活しないのか——元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏が、その可能性を考察する。まずは、タモリを敬愛する『タモリステーション』の制作布陣について。
「『ミュージックステーション』や『タモリ倶楽部』など、テレビ朝日はタモリさんにすごくお世話になっています。『タモリ倶楽部』が終わった頃、タモリさんは仕事を減らすと言って『ブラタモリ』も終わりましたが(25年4月に復活)、タモリさんとの関係を失いたくないテレ朝が、負担がかからないように始めたのが『タモリステーション』だと言われています。
そんな『タモリステーション』の制作を統括するのは、局内で伝説のプロデューサーと言われ、現在はテレ朝最大手の制作プロダクション・テレビ朝日映像の社長でエグゼクティブプロデューサーを務める若林邦彦さんです。若林さんは『ニュースステーション』の立ち上げに参加し、ディレクター、プロデューサーを歴任。さらに2004年には『報道ステーション』を立ち上げ、以降総合演出、統括エグゼクティブプロデューサーを務めてきたカリスマで、そんな若林さんが直々に手がけていることからも、テレ朝がタモリさんと『タモリステーション』をいかに重要視しているかがわかります」(鎮目氏)
今回、同番組が鉄道を取り上げたことで、『タモリ倶楽部』復活を期待するのは早計だろうか。
「タモリさんが、1度は仕事をセーブしたのに『ブラタモリ』が復活したということは、生活の状況に何らかの変化があったのかもしれない。テレ朝側も、“それならウチでも出て欲しいな”と、タモリさんの大好きな鉄道を扱うことで、復活への意欲を掻き立てようとしているように見えます。
そしてタモリさんの電車企画といえば、やはり『タモリ倶楽部』。そもそもテレ朝的には『タモリ倶楽部』を終わらせたくはなかったはずで、特番でいいから復活させたいという思いはあるでしょう。『タモリ倶楽部』は大昔からYouTubeみたいな番組をやっていたわけで、今の世代にもマッチするでしょうし、今回の放送からも何とかしてタモリさん復活を望む意図は見えますよね」(同)
『空耳アワー』が復活するとなればSNSでも盛り上がるだろうし、大物ミュージシャンも喜んで参戦しそう。鉄道企画は、現在中川家がNHKの番組『鉄オタ選手権』で全国の鉄道会社に潜入しているが、あれは事実上、『タモリ倶楽部』の鉄道企画を頂いたようなもの。もともと鉄道企画は数字を稼げる鉄板ネタだし、“本家”が参入すれば相当な高視聴率を記録しそうだ。
また、「毎度おなじみ流浪の番組」というフレーズを聞ける日が来るのを期待したい。
(取材・文=木村之男)