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上田晋也、同業者たちが絶賛するスゴさの理由…MC界のビッグ3は「上田・今田・東野」に

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上田晋也(写真:Getty Imagesより)

 くりぃむしちゅーの上田晋也のMCのうまさについて、人気芸人たちが相次いで「天才」「一人勝ち」「ナンバーワン」などと絶賛している。なぜ同業者たちが手放しで褒めたたえているのだろうか。お笑い事情に詳しい芸能ライターが「天才MC・上田晋也の何がスゴいのか」を解説する。

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東野・太田・陣内らが絶賛

 4月28日深夜に放送されたテレビ朝日系バラエティ『耳の穴かっぽじって聞け!』では、MCのウエストランド・井口浩之が、ゲストの東野幸治に「東野さんから見て天才は誰ですか?」と質問。すると、東野は「くりぃむしちゅー上田(晋也)くん違う?」と返答した。

 東野は続けて、「1人勝ちちゃう? 上田くんの1人勝ちでよろしくないですか?」「オリンピック、24時間テレビ、番組いろいろ考えると、MCのお笑い芸人で言うと一人勝ち」と話し、上田がお笑い系MCで独走状態にあると指摘。

 さらに「面白さのバランスとか。ちゃんとしたことも言って、時に面白いことにも全乗っかりする」「どんな企画でもハメれるし、スタッフも安心して、サブ(副調整室)で足組んで煙出えへんタバコ吸いながら見てる」と、ジョーク交じりに上田のスゴさを熱弁した。

 これに対して、井口は「太田さんもよく言ってます。上田さんがスゴいって。メディア王でなんでもできるみたいな言い方をよくしてる」と、爆笑問題の太田光も絶賛していることを明かした。

 4月12日に放送された『モモコのOH!ソレ!み~よ!』(関西テレビ)では、大物MCの話題を取り上げるなかで、司会のハイヒール・モモコが「上田くんとか、めちゃくちゃ司会うまいよね」と発言。ゲストの陣内智則が「うまいですね。ちょっとエグいっすね」と同意し、2人が上田の実力の高さを証言する展開になった。

 陣内が「一緒に仕事をしていて自然ですし、『自分が自分が』を出さない」と語ると、モモコは「全員にちゃんと振るし、誰かがアドリブで言ったことを絶対に拾う」と指摘。さらに陣内は「(出演者のアドリブが)すべっても、それもしっかりと汲んで、ちょこちょこっと調理して笑いにしてくれる」「(出演者の)個性を全員、覚えてる」と付け加え、チームプレイにおける司令塔や監督としての実力を称賛した。

 本人のいないところで、これほど同業者から絶賛される芸人はめったにいないだろう。実際、上田は多くのバラエティのMCをこなし、スポーツニュース番組の司会なども担当。今夏に2年連続で日本テレビ系大型特番『24時間テレビ』の総合司会を担当することが決定するなど、売れっ子芸人の中でも万能ぶりが際立っている。

「あえての無神経さ」が強力な武器

 上田の司会のうまさについて、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう分析する。

「上田さんは、うますぎてたまに引いちゃうときがあるくらいです(笑)。よく上田さんはMCとして『バランス感覚が優れている』と褒められていますが、私は逆で、バランス感覚が完全に壊れていて、良い意味で無神経だからどんなMCでもやれているんだと考えています。特徴的なのが、スポーツニュース番組『Going!Sports&News』(日本テレビ系)。スポーツ選手には、バラエティ的なノリやセオリーはそこまで通用しませんが、上田さんはまったく臆せずバラエティ的なツッコミを入れます。かつては『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)でのダウンタウンの浜田雅功さんがその能力においては圧倒的だったのですが、今の上田さんはそれに匹敵すると思います」

 上田の司会としてのスゴさは、一見すると「無神経」にも思えるようなトークに隠されているという。

「『Going!Sports&News』で印象的だったのが、サッカー日本代表の久保建英選手が番組に初出演したとき。久保選手が自身の特集コーナーのタイトルを考え、『TAKE SPECIAL』と発表したのですが、上田さんは『もし却下にしたらすみません』と言っちゃうんです。私は『すごいな、この人』とびっくりしました。久保選手は前振りで『かっこいいなと思って』とかおっしゃって、気に入っている様子だったのに、そこで『却下』なんて言葉は並みの神経では使えません。しかも相手はサッカー界のスーパースターですから。結果的に久保選手の顔は曇っちゃいましたが、上田さんはお構いなしにしゃべり続けていました。

 でも、私もインタビューのテクニックとしてよく使うのですが、そうやって『ちょっと失礼なことをあえて言う』というのは、話を弾ませたり、あまり語られてこなかった事実を引き出したりする上ではすごく良い手なんです。だから、話の聞き手として無神経を演出する。上田さんを見ていると、そういう技術を感じます。

 一方、上田さんの『あえての無神経さ』が視聴者的に鼻についたり、反発心を持たれたりすることもあると思います。『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ系)では以前より、フェミニズムやジェンダー的なものへの理解に欠けているように感じる場面が意外と多くありました。それでも、フェミニズムがトークテーマになった3月4日放送回では、男性優位の時代性や状況に対し『苦しんだ女性が相当いたはず』という考えを示すなどしました。上田さんがそういうことを言うのはあまりなかったように思うので、ここにきてMCとしての自分のあり方を見つめ直していらっしゃるのかもしれません」

 上田は誰もが認めるトップ司会者になっても、まだ新たな価値観を吸収し、進化していく姿勢を見せているようだ。

MC界のビッグ3は「上田・今田・東野」に

 田辺氏は上田の今後について「死角なし」だと力説する。

「バラエティ番組には司会者は必要不可欠。そのポジションを誰にやってもらうかとなったとき、上田さんは必ず候補に挙がるのではないでしょうか。経験も十分ありますし、どれだけ大きな特番でも信用して、任せられる。しかもタレントだけではなく、スポーツ選手など別ジャンルのゲストもさばくことができる。パリ五輪も現地でご覧になり、後々の番組では、観戦経験を踏まえてしっかりと各競技のおもしろさなどを伝えていらっしゃいました。MCとしていろんなジャンルについて話を進めることができるという点では、明石家さんまさんに近い存在なのかもしれません」

 業界内では、上田は「明石家さんまの後継者」とも指摘されている。お笑い系MCのトップ戦線はどのような状況になっていくのか。田辺氏はこう予測する。

「MCシーンの大物ポジションは今、上田さん、今田耕司さん、東野幸治さんのスリートップだと思います。上田さんはお笑いだけにとらわれない総合力タイプのMC、今田さんは『M-1グランプリ』含めお笑い芸人たちとうまく絡めるタイプのMC、東野さんは社会ネタや時事ネタにも対応できるタイプのMCとして、それぞれ良い感じで色分けされています。

 長年トップに君臨していた明石家さんまさんは声の調子が良くないときも多く、さすがにこれ以上、数はこなせない。ダウンタウンの浜田雅功さんも体調不安が出てきたことで、今後は様子を見ながらになるでしょう。そうなるとますます『上田晋也・今田耕司・東野幸治の時代』に拍車がかかるのではないでしょうか」
(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/05/10 09:00