永野芽郁主演映画『かくかくしかじか』、公開前から低評価「☆1.9」と見ていないのに「レビュー」する人たちの“正体”

永野芽郁と田中圭の不倫疑惑が「週刊文春」(文藝春秋)に報じられて2週間、5月8日発売号では“第二弾”として、赤裸々なLINEの内容も陽の下にさらされた。双方の事務所はやり取りをした事実を否定しているが、とりわけ“清純派”としてノースキャンダルだった永野のイメージは“ガタ落ち”といっても過言ではないだろう。5月16日公開予定の永野の主演映画『かくかくしかじか』にも余波が及んでいるようだ。
「公開前の映画を控えるタレントが不祥事を起こした場合、公開が延期または中止となるケースはある。直近では吉沢亮さんが昨年12月に自宅の隣室へ無断侵入したことが世間を騒がせた後、今年2月14日に封切り予定だった主演作の『ババンババンバンバンパイア』が公開延期となっています(その後7月4日公開予定と発表)。
ただし主演作でないとか、性犯罪のような“相手”がいる不祥事でない場合、予定通り公開される場合も珍しくない。たとえば2023年6月に永山絢斗さんが大麻取締法違反の疑いで逮捕された際、出演作『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(主演・北村匠海)は予定通り公開されました」(映画関係の広告会社社員)
5月8日時点で『かくかくしかじか』は、延期や中止のアナウンスはない。前出の広告会社社員は、「永野さんの所属事務所は不祥事を認めていないので、予定通り公開するつもりでしょう」と話す。
原作はマンガ大賞受賞の“不朽の傑作”
『かくかくしかじか』は、漫画『東京タラレバ娘』(講談社)などで知られる東村アキコの自伝エッセイが原作だ。2015年には「第8回マンガ大賞」と「第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」で大賞を受賞するなど“不朽の傑作”として名高く、実写化にあたっては東村が“永野が主演を務めるなら”と快諾したというから、“原作者お墨付き”として期待するファンも多かっただろう。
ただし永野のスキャンダルを受け、前評判は最悪だ。映画ライターが、その実態を指摘する。
「Yahoo!の映画情報サービス(元『Yahoo!映画』)で、『かくかくしかじか』の平均評価が〈☆1.9〉という低さ(5月13日現在)。一時は1.4まで下がりましたが、ヤフーが対策を講じたのか低評価レビューを削除したようです。2.0台まで復活するもさらに低評価を付ける人が続出しました。平均評価が2点を下回ることは稀で、現在公開中の人気作『マインクラフト/ザ・ムービー』や『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』はそれぞれ☆3.9、☆4.4ということからも、いかに低い点数かがうかがえます」(映画ライター)
とはいえ、なぜ公開前にもかかわらず“低評価”がつくのか。
「Yahoo!では公開前の映画にもレビュー投稿が可能な仕様なので、永野さんにがっかりした人たちが低評価をつけたうえ、批判コメントを投稿している。レビュー欄には〈永野芽郁ひとりのせいで、作品を観る気が失せてしまった〉〈脚本や演出が良くても俳優の印象が悪ければ、作品としての印象も変わってくる〉などとがっかりするコメントが多数見受けられます」(同前)
「見てもいない映画」に批判レビューを投稿する心理とは
見てもいない映画への「レビュー」は本来意味をなさないはずだが、こうした人たちの正体について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「成功者を妬むセコい性根をもつ人たち」だと断ずる。
「大前提として、何らか成功している(ように見える)人が妬ましいという心理があるのでしょう。成功者に対して、普段は叩く要素がありません。叩くと自分がファンに叩かれるリスクもあるし、何より惨めです。そういうなかで不祥事が明るみに出ると、一気にどす黒い嫉妬心が噴出し、その人の存在自体を否定にかかる。
そういった人たちがやりたいのは“ターゲットの否定”ですから、映画だろうがCMだろうが関係なく、関わるものすべてを貶めることで自分の溜飲を下げる。さらにそういう人たちの特徴は“一人ではものが言えない”点です。『みんなで叩けば怖くない』とばかりに“荒らし”に乗っかるのです」(中川氏)
公開前の作品に対する“荒らし”行為は、これまでにもあった。
「さまざまな理由で“荒らし”は行われますが、作者やテーマ、出演者が気に入らないために低評価をつける事例は珍しくない。記憶に新しいのは、元毎日新聞宮内庁担当記者の江森敬治氏が記した『秋篠宮』(小学館)です。発売前から酷評の嵐で、Amazon側がレビュー投稿に制限をかけました。いずれにせよ己が考える『正義』こそ優先されるべきだと考える身勝手な行為で、販売側からしても営業妨害でしかない。行き過ぎた“荒らし”はどんどん取り締まられるべきでしょう」(同前)
“荒らし”が吹き荒れた映画といえば……
映像作品で波紋を呼び、低評価が殺到した例で思い出されるのは、2021年7月公開の映画『100日間生きたワニ』だ。
そもそも同映画は、漫画家・きくちゆうき氏がツイッター(現X)上で原作『100日後に死ぬワニ』の最終話直後に複数の商業展開を発表したことが、“余韻がぶち壊された”として大炎上した、いわくつきの作品。Yahoo!では公開前から平均評価が☆2点台前半という“荒らし”が横行した。ただし感情的な荒らし行為には批判も多く、当時、ドワンゴ専務取締役COOの栗田氏はツイッター(現X)で
〈ネット上で叩いてもよいと勝手に認定したコンテンツを叩く行為をおもしろいと思ってるんだろうけど、クリエイターやコンテンツへのリスペクトがないとわざわざ自白しているようなもの。ただただ寒い〉
と、苦言を呈していた。ただ、結局同映画は公開後も鳴かず飛ばずのまま、ひっそりと上映を終了している。
最低評価から一転、社会現象となった
一方で、公開前の低評価を覆した作品も存在する。2022年12月公開の『THE FIRST SLAM DUNK』だ。
同作は公開直前の2022年11月、主要キャラ5人の声優がテレビアニメ版(1993〜1996)から一新されることが発表されると、コアなファンからYahoo!に〈☆1〉評価が多数投稿される炎上状態となったことがある。
しかし、映画が公開されると評価は一転。そのクオリティに絶賛の声が相次ぎ、最終的に平均〈☆4.3〉(Yahoo!)という高評価を叩き出した。2度の復活上映がなされるなど社会現象と化し、「第46回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション賞」「文部科学大臣賞 第74メディア芸術部門大臣賞」など数多くの賞を受賞した。
さて、封切り前から不穏な空気が漂う『かくかくしかじか』。無事に公開されたとして、その後評価を巻き返すことができるとしたら、圧倒的な永野の演技力といったところだろうが、果たして……。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)