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Koki,『女神降臨』が不発も…女優としての評価がむしろ上がった理由

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Koki,(写真:サイゾー)

 モデルで女優のKoki,が主演を務める映画『女神降臨 After プロポーズ編』が5月1日に公開された。かなりテレビCMなどの広告を打ち、Koki,らメインキャストが盛んにバラエティに出演して宣伝に力を入れていたが、初週の興行収入ランキングでは「トップ10圏外」という不本意な結果になった。

 ネット上では、Koki,の女優としての資質を疑問視する声まで上がり、一部メディアでは「バラエティ向きとの意見まである」とも報じられている。Koki,の本当の評価や今後の見通し、今作が不発だった理由などについて、業界事情に詳しい芸能記者が解説する。

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大掛かりな宣伝も空しく……まさかの不発

 Koki,が主演を務める本作は、韓国発の人気WEBマンガの実写化。外見にコンプレックスを持つヒロインが、プロ級のメイクをマスターしたことをきっかけに「誰もが振り向く女神」に変身するラブコメディだ。前後編の2部構成となっており、3月20日には前編『女神降臨 Before 高校デビュー編』が封切られていた。

 Koki,は本作の宣伝のため、日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』やTBS系『バナナサンド』など多数のバラエティに出演。Koki,といえば、父親が木村拓哉で母親が工藤静香という芸能界のサラブレッドだが、以前はあまり触れなかった両親の話も完全解禁で宣伝に駆けずり回った。

 しかし、前編『女神降臨 Before 高校デビュー編』は興行収入ランキングで初登場9位と不発。先述したように、後編『女神降臨 After プロポーズ編』に至っては「ランキング圏外」になってしまった。大掛かりな宣伝や公開規模の大きさから考えると、かなり厳しい結果だと言わざるを得ない。

 本作は10代~20代前半の女子がメインターゲットとみられるが、Koki,にとっては、その世代からの支持があまりないことが浮き彫りになってしまったのも痛手だ。また、両親ともスターの芸能一家に生まれたとは思えないほど気さくな人柄や父親についてのエピソードトークが好評だったため、一部では「女優よりもバラエティ向きでは」との声まで上がっている。

実は女優業の評価が高かったKoki,

 鳴り物入りで公開された主演作が不発となると、Koki,の女優としての資質を疑問視する声が強まりそうだ。だが、業界事情に詳しい芸能記者はこのような見方を示す。

「女優デビューする前の2018年、雑誌『ELLE』が主催する映画賞『エルシネマアワード』の期待の新人に与えられる『エル・ガール ライジングスター賞』を映画未出演にして受賞したことで業界をざわつかせたKoki,。そのせいもあって『親の七光り』のイメージが強まったが、女優デビュー作となった2022年のホラー映画『牛首村』では、良い意味で肩の力が抜けていて、難しい一人二役をそつなく演じ、ブルーリボン賞新人賞を受賞。親譲りの強心臓を見せつけた。

 同作は世界的に評価の高い清水崇監督の『実録! 恐怖の村シリーズ』の第3弾で、演技経験の少ない女優にホラー作品で経験を積ませるのは業界の定石。しかもヒットシリーズということで最初から集客が見込めるので、Koki,にとってはプレッシャーも少なかっただろうが、それを差し引いてもデビュー作とは思えない好演だった。

 出演2作目となった映画『TOUCH/タッチ』はアイスランド制作の作品で、被爆二世の女性をナチュラルに演じ、ラブシーンも披露した。持ち前の英語力も存分に発揮しており、『牛首村』の好演がビギナーズラックではないことを証明。抜群のプロポーションは父親役を演じた本木雅弘や外国人俳優と並んでも引けを取らず、海外でも通用するスケールの大きさを垣間見せた」

なぜ『女神降臨』は不発だったのか

 どうやら、映画通から見ると女優としてはむしろ高い才能を感じさせているようだ。となると、なぜ『女神降臨』は不発となってしまったのか。前出の記者が続ける。

「満を持して臨んだ主演映画『女神降臨』は、キラキラ恋愛系の映画としては珍しい前編・後編の二部構成で、若い女性から高い人気を誇る渡邊圭祐や綱啓永を相手役に配したが、二部構成という時間の長さがタイパ重視の若者に敬遠された可能性もある。かといって、上の世代にウケる内容ではないので、興行的には苦しい結果となった。

 しかし、不発となった本作でもKoki,の演技力は素晴らしく、外見にコンプレックスを持ち、同級生からいじめられていたが、メイクの力で生まれ変わり、心機一転で転校した高校で“女神”扱いされる主人公を瑞々しく演じた。卑屈な女子高生から人気YouTuberへと豹変するギャップ、二人のイケメンの間で揺れる乙女心をうまく表現し、随所に挟まれるコメディ要素もそつなくこなしており、これが主演映画2作目とは思えない好演だった。本人としては不本意な結果かもしれないが、俳優としての評価は上がったのではないか」

女優業は「海外で先にブレイク」の可能性も

 「バラエティ向き」との声があることについても、前出の記者はこのように指摘する。

「『女神降臨』で共演した渡邊圭祐や綱啓永は、Koki,の芝居に対する真摯な姿勢や、人柄の良さを絶賛している。木村拓哉と工藤静香の娘と聞くと共演者は構えるだろうし、実際ステージママ化した工藤静香が現場にいることも多いそうだが、Koki,自身は気さくで飾らない性格で、誰とでも分け隔てなく接するので現場ウケがよく、そのキャラクターはバラエティでも活かされている。

 しかし、女優デビューして数年しか経っていないのに、たった一回の興行的失敗でバラエティに舵を切るのはもったいない。とはいえ、まだまだ世間的にキャラクターが浸透していないし、高身長のモデル体型なので、視聴者の共感を得るようなドラマは早いかもしれない。英語力があるので、若者向けのキラキラ映画ではなく、海外でも通用するような映画を中心に芝居に力を入れ、長い目で見て、演技力を磨いたほうがよい時期なのではないか」

 実際、Koki,は公開を控えるイギリス映画『Tornado』で英語力を活かして主演を務めており、大物俳優ティム・ロスらも出演する同作は英グラスゴー映画祭のオープニング作品としてプレミア上映されるなど、女優としての評価は「二世タレント」であることをほぼ知られていない海外のほうが高い傾向がある。いまだに「親の七光り」イメージが消えない日本ではなく、海外で先にブレイクするという展開もあり得るかもしれない。

(文=佐藤勇馬)

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/05/14 09:00