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河合優実『あんぱん』の“3姉妹対決”で一歩リードの理由 若手らしからぬ演技力の秘密は

河合優実『あんぱん』の“3姉妹対決”で一歩リードの理由 若手らしからぬ演技力の秘密はの画像2
河合優実(写真:Getty Imagesより)

 放送中のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』で“朝田3姉妹”の競演が話題になっている。ヒロイン級がそろった「最強3姉妹」とも称されているが、その中でも世間や業界の評価で一歩リードしているのは河合優実のようだ。

 『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・ 暢(のぶ)さんをモデルにした物語。ヒロインの朝田のぶが夫の柳井嵩と共に戦前から戦後の荒波を乗り越え、2人の思いを体現した異色のヒーロー『アンパンマン』の誕生にたどり着くまでを描く。

 近年の朝ドラで屈指の豪華なキャスティングが話題だが、そのなかでも格別の注目を浴びているのが“朝田3姉妹”だ。本作のヒロインで明るく活発な長女・のぶを演じる今田美桜、しっかり者の次女・蘭子を演じる河合優実、甘え上手な三女・メイコを演じる原菜乃華と、「これ以上はない」というくらいの今をときめく旬の若手女優たちが配されている。

 河合や原が朝ドラの主演を務めてもまったく不思議はなく、ヒロイン級が3人も投入された「奇跡のキャスティング」とも騒がれているようだ。

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「3姉妹対決」は河合が一歩リード

 朝ドラや大河ドラマでなければなかなか実現しない豪華なキャスティングだが、彼女たちは共演者であると同時に女優としてライバルでもあり、どうしても「演技対決」に興味が沸いてしまう。3人とも以前から演技力の高さに定評があり、それだけに視聴者や業界人も「3人を比べてしまう」という人が少なくないようだ。

 今作では3人とも視聴者からの評価は高いが、SNSやメディアの反応を見ると、その中でも一歩リードしているのは河合だ。

 決定打となったのは5月8日放送の第29話。これまで長らく蘭子への思いを胸に秘めてきた豪(細田佳央太)が出征前、ついに「無事もんて(戻って)きたらワシの嫁になってください」とプロポーズする場面があった。

 これだけならよくあるシーンではあるのだが、この時の蘭子を演じた河合の繊細なリアクションが圧巻。「えっ……」と驚きながら額に当てた手を上げて髪をなで、そのしぐさと数秒の間で蘭子の戸惑いや恥じらい、告白された喜びと好きな人が戦地へ行ってしまう切なさが入り混じった複雑な感情を表現してみせたのだ。

 最後は居合わせたのぶに促されて豪と思いを確かめ合い、この場面に対してネット上では「恥じらいと色気があってめっちゃよかった」「豪ちゃんのプロポーズに溜めて溜めて答えるところ、うますぎてビックリ」「もう若手の演技力じゃない」「蘭子の演技がスゴすぎてヒロインを食っちゃってる」などと称賛の声が続出した。

河合優実の演技力の高さの秘密

 河合が24歳の若さとは思えない演技巧者になった理由について、業界事情に詳しい芸能記者はこう解説する。

「河合は小学3年生からダンスを始め、一時休止しながらも高校まで打ち込んだ経歴を持つが、ダンスを通して、人の教えを吸収して体で表現することや、身体性が鍛えられたという。体を動かし、それを人に見られるという経験を重ねたことが、今の芝居にも活きていると語っている。高校生のときにエンターテインメントの世界に関わりたいと思うようになり、表現欲がダンスではなく芝居に向いたという河合は、演劇学科のある日本大学芸術学部に進学。大学で見上愛と知り合い、お互いに共鳴して仲良くなったという。

 大学在学中に俳優デビューし、早くから数多くの映画に出演して頭角を現した河合は、やがて大学を中退。しかし、大学で見上をはじめとした映画や芝居を愛する盟友たちと出会い、お互いを高め合った経験が俳優としての成長につながったのは想像に難くない。

 デビュー以来、琴線に触れた作品や監督なら、インディーズからメジャーまで、バジェットの多寡や話題性に関わらず出演する姿勢は売れっ子となった今でも変わらず、表現に対する探究心が同世代の女優に比べると突出していることも、演技力の高さにつながっている。TBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』でのブレイク後に出演した映画『ナミビアの砂漠』で惜しげもなくヌードを披露しているが、それを売りにせずに、映画として高い評価を獲得して数多くの映画賞を受賞したのも、河合の演技力の賜物だろう」

将来有望も…作品選びと多忙さに懸念

 すでに若手とは思えない演技力を持ちながら、まだまだ発展途上で大きな伸びしろがありそうな河合。将来有望な彼女の今後や懸念点について、前出の記者はこう展望する。

「河合が映画で見せる演技は繊細さと大胆さを兼ね備えているが、監督や共演者と話し合いを重ねて、時間をかけて撮影する映画だからこそ、より表現力が深まっている。そのため効率性を重視する通常のドラマでは、河合のポテンシャルを存分に引き出せるとは言い難い。朝ドラの場合はドラマといっても撮影が長期間で、スタッフ陣の技術も高く、河合が伸び伸びと芝居できたことが、視聴者の心をつかむ演技に昇華したのだろう。

 河合自身は仕事を選り好みせずに、さまざまなドラマや映画に出演しているが、時流に流されずにクオリティを重視した作品を選ぶことが、さらなる飛躍への近道となるだろう。インプットの時間を大切にしているとインタビューなどでも語っているので、多忙でキャパオーバーにならないようなスケジュール管理も重要になる。着実に女優としての評価を高めているからこそ、周囲の声に惑わされず、これまで通りの歩みを続けることが大切。そうすれば、将来的に世界でも通用する実力派女優へと成長していくはずだ」

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/05/18 10:40