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『THE SECOND』金属バットvsザ・ぼんちなど注目カードぞろい! 識者が大会の見どころを徹底解説

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 結成16年以上のプロの漫才師たちによる漫才賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~2025』(フジテレビ系)の決勝ステージ「グランプリファイナル」が、5月17日の午後7時から生放送される。実力派の漫才コンビがそろっているうえに、今回は芸歴54年目で2人共に70歳を超える大ベテランコンビ「ザ・ぼんち」が勝ち上がり、優勝候補の一角である金属バットと1回戦で当たるという大きな見どころがある。

 お笑い事情に詳しく芸人への多くの取材経験も持つ芸能ライターの田辺ユウキ氏が、今大会の見どころや注目のコンビなどを解説する。

ザ・ぼんちはなぜ今なおウケるのか? 『THE SECOND』決勝進出で見えた強さの秘密

識者が語る、強豪ぞろいの今大会の見どころ

 結成年が16年以上で『M-1グランプリ』などのメジャー賞レースへの出場資格を失った漫才師の「セカンドチャンス」のために創設された本大会は、今回で3回目を迎える。1対1の対戦形式で勝ち上がっていくトーナメント制で、第1回がギャロップ、第2回はガクテンソクが優勝し、セカンドチャンスを勝ち取った。脂の乗ったベテランコンビの実力を存分に堪能できる大会としてもお笑いファンから注目されている。

 今大会の決勝トーナメントであるグランプリファイナルの1回戦カードは、第1試合「ツートライブvsモンスターエンジン」、第2試合「マシンガンズvsはりけ~んず」、第3試合「囲碁将棋vs吉田たち」、第4試合「金属バットvsザ・ぼんち」。いずれも紛れもない好カードだが、お笑いに精通する田辺氏は大会の見どころをこのように語る。

「3回目の開催にしてファイナリストは、すでに売れていたり、実績を持っていたりするコンビが揃っていて“セカンドチャンス感”が薄いところが気になるのですが(笑)、注目のカードは囲碁将棋と吉田たちの対戦ですね。どちらも漫才巧者。囲碁将棋は第1回、第2回で優勝候補に挙げられていて、今回の『開幕戦ノックアウトステージ32→16』(ベスト16を決める準々決勝ステージ)でも大会史上最高の297点を叩きだしたほど。

一方の吉田たちは、2023年の『第58回上方漫才大賞』奨励賞などさまざまな賞を受賞し、実力の高さを認められています。ただ囲碁将棋は感情を前に出してアクション性も高い漫才スタイルであるのに対し、吉田たちは正統派のしゃべくり漫才。タイプの異なる実力派同士の対決なので、かなり見応えがありそうです」

 最も話題になっている一回戦のカード「金属バットvsザ・ぼんち」なども当然ながら注目だ。田辺氏が続ける。

「また金属バットとザ・ぼんちの対決も楽しみ。新旧アウトロー対決というか、この対戦において真っ当な人はザ・ぼんちの里見まさと師匠だけですから(笑)。ただ、ザ・ぼんちは『ノックアウトステージ16→8』(準決勝ステージ)を見ていても、勢いが他のコンビとは違います。お二人とも70歳を超えているのにまるで新人コンビみたいな、がむしゃらな漫才をやっていらっしゃいます。金属バットはどちらかというと、ちゃんと格好をつけながら悪いことをするタイプですから、やはりこの対戦も興味深い内容になるでしょう。

 その他にも、ツートライブとモンスターエンジンの大阪対決だったり、マシンガンズとはりけ〜んずの苦労人同士の対決だったり、今回の『THE SECOND』も『全員が勝つところが見たい』と思える大会になっているのではないでしょうか」

ザ・ぼんちは審査のハードル上がる?

 誰が優勝してもおかしくない大会だが、田辺氏にとくに期待するコンビを挙げてもらった。

「期待するコンビは、はりけ~んずです。同コンビは『M-1グランプリ』第1回(2002年)から予選司会をずっと続けていらっしゃいます。第1回の時は結成11年目で、当時の芸歴制限(結成10年以内)をオーバーしていて『M-1』に出ることができませんでした。つまり『M-1』に出たくても出られなかったコンビだったのですが、それから予選MCとしてずっと関わり、今は『M-1を一番近くで見続けてきたコンビ』と称されるようになりました。

 そんなはりけ~んずが、ようやく全国規模の賞レースのファイナリストになった。そういった点で、今回の『THE SECOND』で最もストーリーが描きやすいコンビである気がします。ただ、1回戦でいきなり強敵のマシンガンズが相手ですから、かなり厳しい戦いになるとは思います。もしマシンガンズを撃破することができれば、その勢いで駆け上がっていくかもしれません」

 さらに、田辺氏は“昭和の漫才師代表”として「B&Bやツービートや(漫才ブーム当時の)全員のためにやります」と宣言したザ・ぼんちにも期待を寄せる。

「『ノックアウトステージ16→8』で私個人が一番笑ったのは、ザ・ぼんちでした。ぼんちおさむ師匠はなにをやらかすか分からないバイオレンスな香りをプンプンさせながら大暴れし、まさと師匠が名人芸でさばいて『漫才』として成り立たせていく。はっきり言ってネタ中、おさむ師匠はなにを話しているのか分からないことの方が多いんです(笑)。それでもなにを言いたいのか伝わってくる。

 それはおさむ師匠のパッションのすごさと、まさと師匠が『彼はこういうことを言っている』と意訳するようなツッコミを丁寧にしているから。ただ、賞レース史上最年長ファイナリストという肩書きが付いたせいで、審査する観客側も一段階ハードルを上げて見てしまう気がします。それでもザ・ぼんちはド直球のネタで素直な笑わせ方をしてくるので、偏見のないピュアな審査が望まれます」

(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

X:@rollingcradle

最終更新:2025/05/18 10:50