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伝説の地下芸人から大本命まで!  波乱必至の「ダブルインパクト」準々決勝進出の注目コンビまとめ

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イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 今年から新設されたお笑い賞レース『ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦』の準々決勝進出者99組が19日に発表された。ロングコートダディ、ニッポンの社長、かもめんたる、トム・ブラウンら人気と実力を兼ね備えた有力コンビが多数勝ち上がり、お笑いファンの期待を集めている。

 その一方、漫才とコントの合計点数で競うという新たな形式の大会であることや、近年の賞レースの増加などから不安要素もあるようだ。

 お笑い賞レースは、漫才なら『M-1グランプリ』、コントなら『キングオブコント』が頂点となっているが、新たに設立された『ダブルインパクト』は漫才とコントの両方のネタを審査して「真の二刀流芸人」を決める大会。優勝賞金は1000万円で2800組超がエントリーし、ここまで予選第2回戦(1回戦はコントか漫才のどちらか一つ、2回戦からは両方を審査)が終了。準々決勝に進出する99組が決定した。

 準々決勝に進出したのは、アキナ、Aマッソ、EXIT、蛙亭、カベポスター、かもめんたる、コットン、そいつどいつ、滝音、土佐兄弟、トム・ブラウン、タモンズ、デルマパンゲ、東京ホテイソン、ななまがり、ニッポンの社長、ボニーボニー、ロングコートダディら。

 準々決勝は5月末から行なわれ、準決勝は6月18日に開催。決勝は7月に日本テレビ系で生放送される予定で、「漫才4分」「コント4分」で両方のネタの合計得点によって優勝が決まる。

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 そうそうたるメンツがそろったことでレベルの高い大会になりそうだが、お笑い事情に詳しい芸能ライターの田辺ユウキ氏に注目のコンビを挙げてもらった。

「決勝予想は、ロングコートダディ、ニッポンの社長、アキナ、カベポスター、トム・ブラウン、かもめんたる、コットン、滝音あたりが有力な気がします。やはり『M-1』や『キングオブコント』などでファイナリスト経験を持つ、コンビ、トリオが強いはず。ただそのあたりが有力視されるのは当然なので、私の注目からは外します。

 個人的に期待値が高いのがドンデコルテ。現在結成6年目で、2024年『M-1』準決勝進出経験を持ちます。ボケの渡辺銀次さんは間もなく40歳を迎える中年くすぶり芸人で、ネタ中はさまざまな持論を口にするのですが、それがどんどんネガティブな方向へハマっていく。その持論は一見、ロジカルでもありますが、落としどころはいずれもピュアで、おじさん芸人としての哀愁も漂う。持論をひたすらしゃべりまくる姿はどこか、若かりし日のキレキレだった鳥肌実さんを彷彿とさせます。私は、渡辺銀次さんは間違いなく売れると思っていますが、『ダブルインパクト』がそのきっかけになってもおかしくありません。

 もう一組は、大阪を拠点とする事務所無所属のフリー芸人コンビであるボニーボニー。大阪のインディーズお笑いの劇場ではいつも爆笑をかっさらっていて、ナンバーワンに君臨しており、年間1200回も舞台に立ったことがある『伝説の地下芸人』でもあります。2023年には、大阪の若手登竜門『ytv漫才新人賞』でフリーランスとしては初めて事前審査を通過し、予選ラウンドに駒を進めました。しゃべくり漫才なのですが、しゃべりそのものにアクション性があって、生で観ると圧倒されます」

 さらに、あまり耳慣れない「4000」「6000」という、2組の異例のユニットにも田辺氏は期待しているという。

「ある意味もっともおもしろい存在が、4000(蓮見翔、吉原怜那)と6000(蓮見翔、中島百依子)の2組。この2組は、8人組の演劇・コントユニット『ダウ90000』の派生ユニットです。ダウ90000は近年、お笑いシーンでも常に波紋や物議を醸す存在になっていますが、蓮見さんが携わる2組のユニットが同時に『ダブルインパクト』のファイナリストになったら、いったいどうなるのか。そうなったら蓮見さんは、決勝では2組合計で漫才2本、コント2本をやることになる。そういう『ワケが分からない状況』を見てみたいという気持ちもあり、大会側は純粋におもしろければ2組とも決勝へ上げてほしいと思いますね」

また、ピン芸人のサツマカワRPGは、ロボドカーン、トゥリオ、歌謡界隈と別々の3組のユニットで準々決勝に同時進出。自身のSNSで「ダブルインパクト準々決勝ネタ6本頑張ります」と意気込んでいるが、前出の蓮見も含めて異例ずくめで、早くも波乱の予感がビンビンだ。

識者は特殊な「審査」に注目…その一方で賞レース乱立には懸念

 出場メンバーは実力者がそろっているが、コントと漫才の両方を採点するという斬新な形式は不安定な要素も多い。お笑いファンや業界人にとっても期待と不安が入り混じった状態になっているようだが、田辺氏は大会に期待するポイントをこのように語る。

「楽しみな点は、審査です。大会前から評されているように、ロングコートダディのように『コントの設定を入れた漫才』と『コント』を得意とするコンビは、『ダブルインパクト』の趣旨としてどうなのかなど、審査員がどういう基準でジャッジしていくのかが興味深いです。そういう意味では数ある賞レースの中でも、もっとも審査が難しい大会になるのではないでしょうか。

 また、ファイナリストたちの駆け引きもおもしろそうです。予選と同様であれば、芸人側が、1本目、2本目で漫才とコントをどの順番でやるか選択できる。やはり決勝では、1本目で弾みをつけて高得点を叩き出し、2本目で逃げ切りたいでしょう。そう考えると、ニッポンの社長のように、コントでも、漫才でも、とにかく破壊力があるネタを持っていて、かつなにをやってくるか分からないようなコンビが有利かもしれません。いずれにしても特殊な大会なので、まだ見ぬ逸材や、ちょっと変わったコンビ、トリオに飛躍してほしいです」

 その一方、お笑い通の間では「M-1やキングオブコントと差別化できるのか」「漫才とコントを続けて見させられたら審査員も視聴者もだれそう」などと大会の懸念点も盛んに指摘されている。田辺氏は言う。

「懸念する点としては、散々言われているように大規模な賞レースが乱立していること。芸人側も1年中、賞レースに臨み続け、ネタもたくさん消費していますから、消耗につながるかもしれません。そういう意味では、この『ダブルインパクト』を機に、芸人側がどの賞レースに参戦するか、より選択肢を絞っていく時代になるのでは。これまでは『M-1』と『キングオブコント』の両方にエントリーする芸人が多くいました。でも今後は、変わらずそのパターンでいく場合もあれば、『ダブルインパクト』と『M-1』に出るとか、いろんな組み合わせで賞レースに挑むことになる気がします」

(文=佐藤勇馬)

協力=田辺ユウキ
大阪を拠点に芸能ライターとして活動。映画、アイドル、テレビ、お笑いなど地上から地下まで幅広く考察。

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/05/24 14:00