『ダブルインパクト』準々決勝進出99組に見る傾向「コント派」「漫才派」どっちが有利?

コントと漫才の“二刀流”で争われる新たな賞レース『ダブルインパクト』(日本テレビ系)の準々決勝進出者99組が出そろっている。2,800組以上がエントリーしたという同大会は1回戦では漫才・コントのどちらかで争われ、その両方を披露する2回戦を勝ち上がったのがこの99組というわけだ。
漫才とコント、その2本の両方で審査されるという前代未聞の大会には多くの期待と不安が寄せられるが、99組に絞られたことでようやくその傾向が見えてきた感がある。
ここでは、その99組のラインナップを見渡しながら『ダブルインパクト』がどんな大会になるのか考えてみたい。
M-1&KOCダブルファイナリスト
アキナ
ロングコートダディ
漫才とコントの両方で争う大会であるからして、まず実績として考慮すべきは『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)と『キングオブコント』(TBS系)での結果だろう。今回、99組に残った中でダブルファイナリストとなっているのはアキナとロングコートダディの2組だ。
アキナは、トリオ・ソーセージから1人抜ける形でコンビを結成した2012年の2年後、14年に早くも『KOC』ファイナルに進出。その後、15年、17年に『KOC』、16年と20年に『M-1』のファイナルに残っており、合計5度のファイナル経験は全芸人の中でも出色の成績を誇る。20年『M-1』での自他ともに認める大スベリばかりが語られるアキナだが、データ上は優勝候補筆頭と言って差し支えないだろう。
一方、22年の『M-1』で3位、24年『KOC』で準優勝と、両大会でインパクトを残しているのがロングコートダディ。兎がYouTube上で『ダブルインパクト』へのエントリーをフライング発表した際には多くのファンから歓喜の声が上がった、今もっとも脂の乗り切ったコンビと言えそうだ。コントはコント、漫才はしゃべくりとくっきり切り分けているアキナに対して、ロングコートダディの漫才はまさに変幻自在、新たなスタイルを次々に生み出しているだけに、このコンビの結果次第では『ダブルインパクト』という大会の今後が方向づけられることになるかもしれない。
M-1ファイナリスト
ゆにばーす
ママタルト
カベポスター
東京ホテイソン
トム・ブラウン
『M-1』ファイナル経験があるのが上記5組。それぞれの『KOC』への挑戦結果を見渡すと、ママタルトが20年に一度、カベポスターが24年に一度、準決勝に進出している。トム・ブラウンとゆにばーすも挑戦経験があるが、ともに準々決勝どまりとなっている。
中でも漫才師のイメージの強いカベポスターは準優勝した21年の『ABCお笑いグランプリ』ファイナルでコントを披露し、優勝したオズワルドに肉薄していることからもダブルファイナリスト以外でもっとも優勝に近いコンビと言えるかもしれない。永見は23年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)でも決勝に残っており、賞レースの戦い方を知っているのも強みだろう。
KOCファイナリスト
いぬ
うるとらブギーズ
蛙亭
カゲヤマ
かもめんたる
コットン
ジグザグジギー
そいつどいつ
滝音
ななまがり
ニッポンの社長
ビスケットブラザーズ
藤崎マーケット
隣人
ロビンフット
わらふぢなるお
『KOC』ファイナリストからは上記16組が残っている。チャンピオンのビスケットブラザーズ、かもめんたるをはじめとして、上位経験者がずらりと並んだ。
この中で『M-1』準決勝進出経験があるのは、藤崎マーケットとニッポンの社長が4回、滝音が3回、ななまがりが2回、カゲヤマ、かもめんたる、ビスケットブラザーズが1回ずつとなっている。このあたりが「漫才も強いコント師」ということになりそうだ
いずれも独特のスタイルを持った漫才を披露するコンビだが、『M-1』ファイナリスト5組に対して『KOC』ファイナリスト16組というギャップは興味深いところだ。『ダブルインパクト』を戦う上で、コント師有利という傾向が見えてくる。
M-1&KOCダブルセミファイナリスト
アイロンヘッド
Aマッソ
セルライトスパ
20世紀
ファイナリスト未経験ながら、『M-1』と『KOC』の両大会で準決勝に残った経験のあるダブルセミファイナリストが上記4組。音ネタで独自の世界を切り開くアイロンヘッド、世界観濃いめで熱心なファンを獲得しているAマッソ、『R-1』準優勝経験もある大須賀の大喜利力で突破していくセルライトスパ、昨年の『M-1』敗者復活で爪痕を残した20世紀と、いずれも2本そろえれば十分勝機の見えるメンバーである。
ユニット勢
ユニット参加が可能な『ダブルインパクト』では、『R-1』ファイナル経験のあるピン芸人によるユニットも数多く99組に残っている。中でも注目はサツマカワRPGと元ダイヤモンド・野沢輸出による歌謡界隈、同じくサツマカワがストレッチーズ・高木貫太、ひつじねいり・松村祥維と組んだトゥリオ、『R-1』ファイナリスト真輝志が『THE W』ファイナリスト・やましたと組んで昨年は『M-1』準々決勝まで進んだヤマシタマキシあたりだろうか。
また、今をときめくダウ90000・蓮見翔は今回メンバー7人とそれぞれコンビを組んで7組エントリーしたが、そのうち吉原怜那との4000、中島百依子との6000が99組に残っている。
ベテランから若手まで、あらゆる世代の芸人が集まった『ダブルインパクト』、2本のクオリティをそろえた者が勝つのか、あるいか片方の爆発力が勝るのか、コント師か漫才師か、がぜん期待が高まっている。
準々決勝は5月28日から始まる。
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『ダブルインパクト』準々決勝全99組は以下の通り。
アイロンヘッド/茜250cc/アキナ/アベコベ三脈/アンダーパー/EXIT/イチオク
いぬ/イノシカチョウ/インポッシブル/うちまつげ/うるとらブギーズ/Aマッソ/おおぞらモード/オキシジェン/オニイチャン/おミュータンツ/オンリー2/蛙亭/ガクヅケ/カゲヤマ/カベポスター/かもめんたる/歌謡界隈/キンボシ/コットン/今夜も星が綺麗/サイヤング/サスペンダーズ/さすらいラビー/さんぽ/シカゴ実業/ジグザグジギー/ショウガールズ/シンクロニシティ/スタミナパン/スナフキンズ/スマイル/世間知らズ/セルライトスパ/ゼロカラン/センチネル/センリーズ/そいつどいつ/太鵬/タイムキーパー/滝音/例えば炎/ダブルアート/タモンズ/チェリー大作戦/TCクラクション/デルマパンゲ/デンコーセッカ/天才ピアニスト/デンドロビーム/東京ホテイソン/トゥリオ/土佐兄弟/トム・ブラウン/とらふぐ/トンツカタン/ドンデコルテ/ナチョス。/ななまがり/軟水/20世紀/ニッポンの社長/ネイビーズアフロ/ネコニスズ/ハンジロウ/パンダプロパガンダ/ビスケットブラザーズ/プール/藤崎マーケット/フミ/ブラゴーリ/ボニーボニー/マイスイートメモリーズ/ママタルト/マリーマリー/丸亀じゃんご/まんじゅう大帝国/マンプクトリオ/ミカボ/ミクミクサイダー/ミスター大冒険。/ヤマシタマキシ/ゆにばーす/4000/リバーマン/隣人/レインボー/6000/ロビンフット/ロボドカーン/ロングコートダディ/ワールドヲーター/わらふぢなるお
(文=新越谷ノリヲ)