キタニタツヤ、SOD界「健全」発言が炎上で公式番組Xが“逃亡”…SNS時代の「注意点」とは

6月4日からスタートしたキタニタツヤの冠番組で、深夜のドキュメントバラエティ『聞き耳キタニ』(テレビ朝日系)が、ちょっとした物議を醸していた――。
同番組は、地上波テレビではなかなか撮影できないような、さまざまな “際どい”現場に「キタニくん人形」が潜入し、キタニ本人に代わって聞き耳を立てるというコンセプト。第1回・第2回は「大手アダルトコンテンツメーカー編」と題し、アダルトメーカー『ソフト・オン・デマンド(SOD)』の制作現場で聞き耳を立てるという内容だった。
コンテンツの企画会議や撮影現場で「キタニくん人形」が聞き耳を立てる姿が放送された後は、SODの社員が飲みながら赤裸々トークをするコーナーも。新卒6年目になるという女性監督は、入社に関して親に大反対されたといい、“親の世代は“反社”のような世界だと思っているという実体験を述懐しつつ、今後彼氏ができたとして、彼の親はどう思うのかなど、引け目に思うこともあるとった悩みを吐露するなか、「エンタメとして(アダルトコンテンツは)おもしろいから、それを恥ずかしがらずにみんなでシェアできる世の中にできたらいいな」と情熱を語るシーンもあった。
放送時、「わかる!自分がつくるものの本質ってなんなんだろうみたいなね、自分らしさって考えるよね」と共感しながら女性監督の話を聞いていたキタニは、その後の未公開動画で、「至って健全な、本質的に僕がやっている音楽作りと変わらない。健全でビックリした」と、SODのコンテンツ作りへのこだわりに言及した。
この動画が番組公式Xで投稿されると、“健全”という言葉に反応する形で“AV=健全”だと捉える声があがり、キタニに〈がっかりした〉という批判も寄せられる事態に。さらにそのことを「批判が殺到」として紹介したネット記事が公開されると、波紋を受けてか、公式Xは当該投稿を削除した。削除にあたって公式Xからの説明は何もなかったため、それを批判する声もあったが、
〈あの発言は、現場において皆真剣に取り組んでいる姿勢っていうのはキタニ自身の音楽の姿勢と共通する部分もある って言いたいのでは〉
〈キタニタツヤがAV特有の環境改善と配慮に徹底した現場と、作り手も演者も真剣に取り組む姿勢にリスペクトを込めて「健全、本質的には自分と同じモノ作り」と表してるのは明らか〉
〈作品に関わる人間が真摯に仕事に向き合ってることを「健全」て言っただけやん〉
〈制作物ではなくて、制作過程の真摯な姿勢の話を言っているんだと思うんですけどね…〉
など、キタニの発言の真意を汲み取る声も続出。かようにキタニの発言には擁護も多いのだが、いったい公式Xの「削除」は正しかったのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏に、SNS時代の番組公式Xの対応について、「“無言”はよくなかったかなと思う」と見解を述べる。なぜか。
「番組側が作成した動画が炎上の元になっているとしたら、出演者にいらぬ被害を与えてしまっていることになり、番組サイドに責任があります。“想定外”の受け止め方をされ、そのことを番組として問題視するのであれば、しれっと消すのではなく、発言の真意を説明してあげないと、出演者の方がかわいそうかなと思います」
本編を見れば発言の真意は理解できるはずだが、SNSでは引きのある発言部分およびテロップだけが独り歩きする。
「昨今、番組側も公式SNSを活用した本編への誘導が当たり前になっている。ただ、番組本編は気を付けて作るのに、SNSへの投稿は雑になるのが“テレビ番組あるある”です。『聞き耳キタニ』も、アダルトコンテンツ作りというセンシティブな現場を上手に取り上げたのに、SNSでは本当にいろんな捉え方がされうるという想像力がまだまだ足りない。
そもそもテレビ番組は “深夜番組だから”という理屈が通っても、SNSに時間や“深夜らしさ”は関係ありません。無言での削除には、“ほっとけばネットは忘れるだろう”という気持ちが透けて見え、こうなるとまたやらかすことは必至です。炎上したとしても、誤解であればきちんと説明することが大事だと思いますね」
本編への誘導のつもりが、誘導以前に炎上してしまったら元も子もない。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)