フジテレビで広がるオンラインカジノ汚染 『ぽかぽか』総合演出が逮捕・山本賢太アナは書類送検…なぜフジ局員は賭博に手を出すのか?

芸能界やスポーツ界で問題となっているオンラインカジノはフジテレビ局員に波及。バラエティ番組を担当する局員が逮捕されるとともに、現役アナウンサーも書類送検された。
6月23日に常習賭博の疑いで警視庁に逮捕されたのは、フジテレビのバラエティ制作部企画担当部長・鈴木善貴容疑者(44)。昨年9月から今年5月にかけて、日本国内から海外のオンラインカジノサイト「エルドアカジノ」にアクセスし、バカラ賭博などをしていた疑いだ。約1カ月半で1億7000万円ほどを賭けていたとみられている。
鈴木容疑者は、フジテレビによる社内調査でオンカジ利用が発覚して懲戒処分を受けている。調査に対しては、賭博罪の時効が成立する3年前の「2022年でやめた」と虚偽の説明をしていたが、実際には処分を受けた後もオンカジ利用を続けていたという。オンラインカジノ利用で摘発される場合、書類送検となるケースが多く、逮捕されるのは異例ともいえる。フジテレビに虚偽の説明をしていた点や、賭け金が多額だったことで悪質性が高いと判断され、逮捕に至った可能性が高い。
鈴木容疑者はフジテレビ系バラエティ番組『ぽかぽか』の総合演出を担当していたほか、『アウト×デラックス』や『さんまのお笑い向上委員会』などの演出を手掛けていた。
一方、同じくフジテレビの山本賢太アナは6月24日に、オンラインカジノでの賭博容疑で警視庁に書類送検された。山本アナは昨年5月から7月までの期間に、海外のオンラインカジノサイト「ミスティーノ」に国内からアクセスし、バカラ賭博で約640万円ほどを賭けていた疑い。警察の調べに対して「鈴木容疑者に教えてもらった」と話しているという。山本アナは鈴木容疑者が手掛けていた『ぽかぽか』の水曜日レギュラーだったが、5月末から欠席。フジテレビは6月11日に、山本アナがオンカジを利用していたことを発表しており、「疑義が生じた段階で社の判断として出演を見合わせてきました」と説明している。
言うなれば、フジテレビにおけるオンカジ汚染の温床となってしまった『ぽかぽか』。今後の番組の存続も気になってくるところだ。
「『ぽかぽか』は、フジテレビの前社長である港浩一氏が社長就任時に“バラエティーのフジテレビ”復活を狙って、肝いりで始めた番組です。港氏は中居正広氏の一連の騒動で社長を辞任していますが、さらにフジは法的責任を問うべく、港氏と大多亮元専務に対して訴訟の準備に入ったとも発表している。『ぽかぽか』は港氏のイメージが残るうえに、オンカジのイメージまでついてしまった。早期の終了ということもありえるのではないかと囁かれています」(テレビ局関係者)
“オンカジ汚染”が及ぼす番組づくりへの影響
フジテレビでは、麻雀の長寿番組『THEわれめDEポン』や特番の『芸能界ポーカー王決定戦』など、ギャンブルではないもののに少なからず“賭け事”を想起させる番組も少なくない。局員のオンカジ汚染が、これらのギャンブル系番組に何らかの影響を与えることはあるのだろうか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏が、業界としての見解を示す。
「影響はゼロではないでしょう。テレビ番組でギャンブルを扱う場合、当然完全な“ゲーム”としてやっているわけですが、局員が賭博で逮捕されたとなれば、ギャンブル要素の高いものを番組で取り上げづらくなるのはたしか。しばらく、少なくとも新しいギャンブル系の番組づくりは様子見になるのでは」(鎮目氏、以下「」内同)
テレビ局は、報道機関としてさまざまな事件を伝える立場でもある。オンカジ騒動についても、これまで吉本芸人やスポーツ選手の書類送検を報じていたわけで、「ヤバい」ことは重々わかっているはずではないのか。
「まず警察としては、著名人や注目度の高い会社の社員を摘発することで、オンカジが違法であることを世の中に強く印象付けたいという狙いがある。メディアの人間であれば当然そうした違法性を認識していたはず。それなのに局員には、“自分は大丈夫だろう”という思い込みがあったということで、完全に“意識の低さ”が露呈したということだと思います」
鈴木容疑者は取り調べに対し、「自分の周りにオンラインカジノをやっている人がたくさんいたので、自分も大丈夫だろうと思っていた」と話しているというが、なぜ局周辺でオンカジ利用が広がるのか。
「テレビ局員がギャンブルにハマる大きな理由は、多忙で遊ぶ暇がないのに給料が高いことでしょう。特にフジテレビは他局に比べても格段に給料が高い。オンカジは仕事の合間のちょっとした時間にスマホで手軽にお金を賭けられるため、ハマりやすい側面はあると思います。私の知る限り、ギャンブルや株などで身を持ち崩すテレビ局員は珍しくもありません。
また、テレビ局員は人気タレントたちとの交流も多く、贅沢な暮らしに影響されてしまうケースも多々あります。ギャンブルが好きなタレントも多いですし、そういったなかでハマるきっかけは大いにあり得ます。もちろんこれはフジに限らず、他の局でも事情は同じです」
とはいえ、会社員で1億7000万円もの金額をオンカジに費やすというのは、なかなか想像しにくい規模だ。
「フジ局員の金銭感覚が、いかに世間一般とかけ離れているかということでしょうね……。警察が自宅に踏み込んだ時、捜査員ともども清掃員の格好をして連行される場面が報じられていましたが、あれはおそらく高級マンションに住んでいて、周辺住民への配慮があったということなのかなと思いました。自分の家の近所に警察が来て何かしているというのは、イメージとしてよくないですからね。そうした暮らしを考えても、フジ局員の浮世離れした感覚があらわになった事件だと言えると思います」
中居騒動をきっかけに、変革が求められているフジテレビ。構造的な問題はもちろん、局員たちの意識改革こそが重要なのだが……。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)