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令和ロマン・くるま、山里亮太、とにかく明るい安村だけじゃない? 「化けた芸人」を考える

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(写真:Getty Imagesより)

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶがMCを務める『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日系)で、2週にわたって放送された「化けた芸人」企画。NSCの講師である放送作家・桝本壮志氏、振付師・ラッキィ池田氏、漫才作家・本多正識氏の3人が、実際の教え子の中から「化けた」と感じる芸人を紹介するという興味深い回となった。

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 桝本氏が選んだのは、3位にぼる塾・あんり、2位にレインボー、1位に令和ロマン・髙比良くるま。ラッキィ氏はゴールデンボンバー・鬼龍院翔、ゆりやんレトリィバァ、とにかく明るい安村、本多氏はかまいたち・山内健司、ナインティナイン・矢部浩之、南海キャンディーズ・山里亮太というラインナップだった。

 それぞれの講師がNSC時代のエピソードや当時の印象を語る充実した内容だったが、今回の企画はあくまで講師目線からNSC生のみについて語ったもの。ここでは、ファン目線からNSC生以外、吉本以外で「化けた」と感じる芸人を考えてみたい。なお、独断と偏見に満ちたメンバーになることはご容赦頂ければ幸いです。

アンタッチャブル・山崎弘也

 デビュー当時はいわゆる“ダウンタウン病”を患い、ステージ上では引きボケに徹していたザキヤマこと山崎弘也。当時からその発想は頭一つ抜けており、引きボケスタイルのまま『東京Aランチ』(フジテレビ系)でココリコ、ふかわりょうを下して優勝を果たすなど頭角を現していたが、くりぃむしちゅー・有田哲平の提案(スパルタ教育)によって開眼。衣装を白一色にまとめ、ガンガン前に出るスタイルに変貌して一気にブレイクを果たした。

 当時の山崎は楽屋や飲み会では現在のようにボケまくるキャラで知られていたが、そのキャラをステージで解放した日のことはプロダクション人力舎内でも「ある日突然、そうなった」と語り草になっているという。

 なお、相方の柴田英嗣は当初から今とまったく変わらない底抜けの陽キャであった。

オードリー・若林正恭

 最近でも「俺たちとナイツは本当につまらなかった、誰よりもスベっていた」と語る若林。その言葉通りナイスミドルというコンビ名で活動していた時期は鳴かず飛ばずで、これも本人が持ちネタとしている「『オンバト!』で球3コ」という屈辱も経験している。

 ブレイクを果たすことになる『M-1グランプリ2008』(テレビ朝日系)での準優勝以前にもピンでラジオ番組を持つなど実力にも定評があった若林だが、『M-1』後もメディアの注目は相方の春日俊彰一色。絵に描いたような「じゃないほう芸人」となった。

 だが、『ゴッドタン』(テレビ東京系)への初出演でバナナマン・設楽統らに評価されたことで自信をつけ、地道に続けてきたラジオで足場を固めるうちにMCとして定着。前出の令和ロマン・くるまをして「若林さんが芸人界のゲームチェンジャーだった」と言わしめるほどの存在感を示すようになっている。

バイきんぐ・小峠英二

『キングオブコント2012』(TBS系)で、まったく無名の状態からコントの頂点を射抜いたバイきんぐ。それまでは千川BeachVという地下ライブハウスで「釘を飲み込んだ相方の西村瑞樹を四つん這いにさせて、背中にまたがった小峠が西村をカンナで削って釘を取り出そうとする」といったようなアンダーグラウンド感あふれるネタばかりを好んで披露していたが、あれよあれよという間にバラエティ界を席巻。タレント番組出演本数ランキングの常連となっている。

 ブレイク当初は毎週のようにドッキリにかけられるドッキリ芸人だったが、そのほとんどすべての出演でイチハネして見せる姿は、16年間の雌伏のときを過ごした小峠という芸人のまさに爆発力の賜物であったはずだ。結婚おめでとうございます。

霜降り明星・せいや

『オールザッツ漫才2012』で19歳のピン芸人として優勝を果たし、一躍注目を集めた粗品。その粗品が「二十歳になったら漫才をしたい」と言い出し、連れてきた“そこらへんの大学生”がせいやだった。

 なんの経験もなかったせいやは、吉本のプロスペクトである粗品の相方として「相応しくない」との周囲の声に深く悩まされる時期を過ごしたが、2017年に『ABCお笑いグランプリ』、2018年に『ytv漫才新人賞』そして『M-1』と立て続けに制覇したころにはその評価は一変。その『M-1』では審査員のナイツ・塙宣之から、そのコンビ力を指して「圧倒的に強い人間」「吉本興業の宝」といわしめるまでに成長した。

 現在ではモノマネや歌うままでこなす器用さや平場での安定感、ボケ・ツッコミの両刀を自在に使い分けるマルチプレイヤーとして、テレビの現場では仕事を選びまくる粗品以上に出演本数を増やしている。

 * * *

 そのほか、「化けた」といえばハライチ・岩井勇気やメイプル超合金・カズレーザーあたりが思い浮かぶが、誰より元猿岩石の有吉弘行の名前を挙げないわけにはいかない。

 ともあれ、今現在も「化け前夜」の芸人たちがどこそこで牙を研いでいることだけは間違いない。次は誰が化けるのか。それもまた、お笑いを見続ける楽しみといえるだろう。

(文=新越谷ノリヲ)

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新越谷ノリヲ

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。1977生。

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新越谷ノリヲ
最終更新:2025/07/09 18:00