カンテレ制作『旬感LIVE とれたてっ!』が10月からフジでも放送開始か…“中居派”橋下徹氏の扱いはどうなる

中居正広による、元女性アナウンサーへの性暴力を発端とした一連の問題の検証番組『検証 フジテレビ問題 反省と再生・改革』を7月6日に放送したフジテレビ。局員によるオンラインカジノ問題も発生し、抜本的な改革が求められているなか、午後の時間帯のワイドショーに大きな動きがありそうだ。
「現在、フジでは午後2時から4時まで過去の人気ドラマを再放送していますが、10月からは関西テレビ制作のワイドショー『旬感LIVE とれたてっ!』をネットする(レギュラー編成する)方向で動いているようです」(芸能事務所関係者)
『とれたてっ!』は現在、関西テレビ(カンテレ)他一部のフジテレビ系列で、月~金、午後1時50分~午後3時45分で放送中。元日本テレビアナウンサーの青木源太がメインキャスターを務め、ハイヒール・リンゴ、ブラックマヨネーズ・吉田敬、メッセンジャー・黒田有、小籔千豊が各曜日のレギュラーコメンテーターとして出演、さらに元大阪府知事・大阪市長で弁護士の橋下徹氏も不定期レギュラーとして出演している。2024年には祝日を中心に5度にわたってフジでも放送されており、本サイト既報の通り、以前から正式にネットされるのではないかと囁かれていた。
現在、民放各局の午後のワイドショーとしては、日本テレビ系が読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』を、TBS系がCBCテレビ制作の『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』を放送中だ。ここにフジがカンテレ制作の『とれたてっ!』をぶつけてくると、地方局制作ワイドショーが3番組揃い踏みとなる。
東京で牛耳ることができた時代は終焉している
地方局制作のワイドショーが増える背景について、元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏がその“裏事情”を解説する。
「まず、東京のキー局では、制作費や人材不足の問題が喫緊の課題となっています。元々は自分たちで全国ネットの番組を作り、スポンサー料を荒稼ぎするというビジネスモデルでやってきましたが、テレビ離れが起きるなかで番組数は増え、営業としても苦しい。これまではそうして地方局を牛耳ってこれたけど、もう稼ぐ体力も制作体力もなくなってきたというのが台所事情です。
一方で地方局のワイドショーをネットすれば、東京では制作費を削減できる。大阪や名古屋の局は元々自局でワイドショーを制作していてノウハウもあるし、クオリティーも担保できる。また、一部を地方局に任せることで、東京のスタッフに少し余裕ができるというメリットもあります」(鎮目氏、以下「」内同)
地方局としても、元々制作していた番組を東京で放送するようになるだけなので、新たなコストがかかるわけではない。そのうえで、全国ネットとしてCM枠を販売できるようになる点も大きなメリットだ。
“中居擁護派”の橋下徹氏をフジはどう扱うのか?
ただし、『とれたてっ!』をレギュラー化するとなると、フジには不安材料がある。橋下徹氏の存在だ。
今年5月14日放送の『とれたてっ!』に出演した橋下氏は、番組内で中居正広の問題に言及。橋下氏は第三者委員会の報告書が公表された当時から「中居さんへの人権侵害の可能性もある」と考えていたと明かし、中居の代理人弁護士が第三者委員会に反論したことについて、自分が聞いた話として「中居さんは事実を全部言いたいらしいんです。でもそれを取り上げてくれなかったらしいです」と発言。中居が第三者委員会から十分なヒアリングを受けられなかったとした、報告書について「一法律家として『これはひどいぞ』」と感じたとも話している。
第三者委員会の調査報告をもとに事実を認定し、反省の色を強くしたいフジテレビにとって、第三者委員会に疑問を投げかける橋下氏の存在は、気になるところだ。フジとして橋下氏を避けたい思いはないのか。
「『とれたてっ!』はカンテレ制作なので、フジがキャスティングに口を出すことは現実的ではありません。仮にフジが橋下さんの出演に横槍を入れたとしても、橋下さんがその事実をSNSなどで公表する可能性は十分に考えられ、下手な動きはできないのが現実だと思います」
第三者委員会の報告書は、当時フジ専務で後にカンテレの社長となった大多亮氏に対して、事案の報告を受けていたにもかかわらず、適切に対処しなかったと指摘。これを受けて大多氏は、カンテレの社長を辞任している。騒動とは直接関係のないカンテレにおいて、フジ同様にスポンサー撤退という事態も起きており、完全にフジの騒動と大多氏に巻き込まれた形だが――。
「カンテレとしてはフジに対し恨みに近い感情もあると思います。とはいえ、できるだけ早く事態が収まってほしいのが本音。橋下さん出演回のトピックスは慎重に選ぶなど、カンテレがゆるやかな形で配慮する可能性はあるかもしれません」
フジが弱っている今、“見返す”カンテレの大チャンス
東京制作に比べて関西制作のワイドショーは、過激な発言が多い。ネットされることで、そうした傾向に影響は出ないのか。
「関西圏では刺激的な発言が多い番組のほうが好まれやすく、大阪の民放各局もそこを意識するものです。仮に『とれたてっ!』が東京で放送されるようになっても、番組作りの姿勢は変わらないでしょう。そもそも東京のテレビ局は、いわゆる権力者が物理的に近くにいることもあって、東京のテレビマンはできるだけ摩擦を避ける番組作りを意識します。一方で大阪のテレビ局は、比較的自由なスタンス。賛否が上がっても、“話題になってナンボ”の精神で取り組むのが、大阪のテレビ局の文化なんです」
フジが揺れる今、自局のワイドショーが関東圏に進出できれば、カンテレにとっては大きなチャンスとなりそうだ。
「これまで準キー局として、フジより弱い立場であったことについて、カンテレは臍を噛む部分も多かったはずです。でも一連の問題でフジの支配が弱まっている今、『とれたてっ!』が東京でも放送されるようになれば、カンテレ的にはかなり勢いづくのでは。むしろカンテレがここで視聴者の心をつかむことができれば、おもしろいことになりそうですね。低視聴率にあえぐフジテレビの救世主となる可能性もあると思います」
さまざまな意味で変化が求められているフジテレビにとって、『とれたてっ!』をはじめ、カンテレこそが重要な存在となるかもしれない。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)