吉沢亮『国宝』で俳優人生が大逆転! “酒癖リスク”を越えた実力と評価

泥酔トラブルで俳優生命が危ぶまれていた俳優の吉沢亮。だが、主演を務める映画『国宝』が公開5週目で観客動員数319万人、興行収入44億円を突破。既に2025年の邦画実写1位に輝き、今なお記録を更新中だ。
吉沢亮主演2作の出来すぎな共通点
「『国宝』は、メガホンをとった李相日監督が構想に6年の歳月をかけ、撮影に3カ月間かけたという力作で、当初から期待が高かった作品ですが、主演の吉沢のCM降板や他作品の公開延期の影響が懸念されていました。それが、トラブルからたった約5カ月で、ここまで大ヒットするとは誰も予想していなかったのではないでしょうか」(映画ライター)
吉沢は2009年、母親が応募した「アミューズ全国オーディション」で審査員特別賞を受賞し、デビュー。2011年に特撮ドラマ『仮面ライダーフォーゼ』で脚光を浴びると、数々の映画・ドラマに出演。2019年に初出演したNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』でブレークすると、2021年には『青天を衝け』で、NHK大河ドラマ初出演にして主人公・渋沢栄一を演じ、第30回橋田賞新人賞を受賞した。
その後も、フジテレビ系医療ドラマ『PICU 小児集中治療室』に主演するなど活躍は続いたが、長身のイケメンにもかかわらず飾ったところがなく、筆者もファンの一人だった。
「ただ、以前から酒好きで知られ、酔った姿をSNSにアップすることもあって、心配するファンは少なからずいました」(前同)
そうしたファンの不安は的中。昨年12月29日、友人らと酒を飲んで泥酔した吉沢は、翌朝、港区内の自宅マンションの隣室に無断で侵入。住民女性に110番通報され、今年1月、住居侵入容疑で警視庁に書類送検されたことが発覚した。
「吉沢は警察の調べに“トイレをしたくて、勝手に入ってしまったと思います”と供述したそうですが、当時、吉沢はアサヒビールのCMに出演しており、報道の翌日、同社は契約解除を発表しました。2月14日公開予定だった主演映画『ババンババンバンバンパイア』も公開延期が決まり、その後も“降板ドミノ”が懸念されました」(前同)
実際、2月1日に31歳を迎える吉沢を祝福して、誕生日当日にファンクラブ会員限定で『ババンババンバンバンパイア』の特別試写会が開かれる予定だったが、急遽、中止が決定。このまま俳優生命が危ぶまれるかと思われたが、その後、住民女性との和解などを受け、2月3日、不起訴処分となり、同映画の公開も7月4日に決定した。
「他方、吉沢のもうひとつの主演映画『国宝』は当初の予定通り6月6日に公開されましたが、こちらは上映時間が3時間と長時間にもかかわらず、早くも大ヒットを記録しています。NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で主演している横浜流星との共演も話題で、両者の演技に絶賛の声があがっています」(前同)
『国宝』は吉田修一氏の小説を、同じく吉田氏原作の映画『悪人』や『怒り』を手掛けた李相日監督がメガホンを取った。任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男・立花喜久雄を吉沢が演じ、その圧巻の女形の芸が称賛を集めている。
「俳優としての吉沢の力量はもちろんですが、彼がスピード復活を果たせた要因として、事務所の対応に注目する関係者は少なくありません。とりわけ謝罪文で、被害女性への配慮を示し、“すべての非は吉沢にあるので、被害者への批判はやめてください”と呼びかけたことが、騒動を沈静化させたとみられています。もっとも、本人にとっても、以前から懸念されていた酒癖の悪さを反省する良い機会になったのではないでしょうか」(前同)
ちなみに、その昔、酒気帯び運転によるバイク事故で瀕死の重傷を負ったビートたけしは、その後、再起どころか、お笑いのみならず、映画監督としてもブレーク。たけしだけではなく、同じく酒酔い運転でパトカーとカーチェイスして逮捕された俳優の坂上忍も、その後、フジテレビ系の昼の情報バラエティ番組でMCとして大ブレークしている。
もちろん、飲酒トラブルは許されるものではないが、吉沢の泥酔トラブルも、“怪我の功名”となるのかーー。
(文=本多圭/ジャーナリスト)
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