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BE:FIRST・LE SSERAFIMを手がけたALYSAが仕掛ける新レーベル「O21」発

日常をポップに変える7人組「Ettone」デビュー! “量産型ガールズポップ”への回答

文=
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Ettone
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国内外で活躍する⾳楽プロデューサーALYSA率いる新レーベル「O21」より、クリエイティブガールグループ「Ettone」(エトネ)が9月10日にデビュー。9⽉30⽇には「Ettone Debut Showcase」(エトネ デビューショーケース)がヒューリックホール東京(有楽町)で開催された。

グループのデビューを記念し、メディアへの初お披露目ともなった今回のスペシャルステージ。1st Single「U+U」(ユーアンドユー)に収録された新曲3曲に、カバー楽曲を加えた全11曲が、約1時間にわたって披露され、Ettoneの“クリエイティブファースト”な音楽が、新しいガールズポップの幕開けを感じさせる一夜となった。

日常に寄り添う、自然体の音楽スタイルをお届け

 1st Single「U+U」リリース後、全国各地でライブを行ってきた7人組のクリエイティブガールグループ「Ettone」。グループ初の生バンドでのパフォーマンス披露となった今回のデビューショーケースには、デビューシングル購入者の中から抽選で招待されたファンなどが会場に足を運んだ。

 Ettoneが所属するのは、これまでLE SSERAFIM、NiziU、BE:FIRST、SixTONESなどの楽曲を数多く手掛けてきた⾳楽プロデューサー・ALYSA(アリッサ)が、今年新たに立ち上げた音楽レーベル「O21」。レーベルヘッドプロデューサーを務めるALYSAと所属アーティストが、ともにクリエイティブを練り上げる“クリエイティブファースト”を掲げた音楽マネジメントレーベルだ。

「ガールズグループの流行の移り変わりがあまりにも早いなか、クリエイティブの力をしっかりと身につけられる⾳楽レーベルを、その理念として考えてきました」とは、開場前に取材陣に向けて挨拶を行ったALYSA。新たなレーベルを率いるプロデューサーとして、今回のデビューショーケースへの意気込みなどを語った。

「『Ettone』は1年半ほどの育成期間のなかで、あえてオーディションなどにもカメラを入れず、ひたすらクリエイティブの力を磨くことに注力してきました。彼女たちと『O21』が一緒になって汗をかき、ようやく本日、みなさんの心に響くような音楽とパフォーマンスをお見せできるのではないかと思っています」

 ALYSAが掲げる“クリエイティブファースト”の理念は、音楽トレンドの速さに飲み込まれない「自分たちで音をつくる」意思の表明でもあるように思える。

 例えば近年、海外ではXGのようにグローバルR&B路線を貫くグループ、国内ではHANAのように歌詞の抒情性で共感を生むグループが台頭しているが、Ettoneはそのどちらとも違う。

 彼女たちが奏でる音楽は“LOOSE POPS(ルースポップス)”と名付けられた新たな⾳楽ジャンル。R&Bやシティポップをゆるやかに溶かし込みながら、“日常に流れる呼吸”をポップとして提示するジャンルミックスだという。そこには、トレンドを追うのではなく「等身大の感覚を、音の余白で描く」という、新しいガールズポップのかたちが見える。こうした音楽を創り上げ、リスナーに⾃由で⼼地よいスタイルを提案するといったあたりにも、“クリエイティブファースト”な姿勢がうかがえる。

 豪華クリエイター陣を迎えたデビューシングル『U+U』では、メンバー全員が収録曲3曲の歌詞やコレオ(振付)の制作にそれぞれ関わっており、一人ひとりの生き様や個性が“LOOSE POPS”として表現されていることも特徴。

 シンセやビートのレイヤーを必要最小限に抑え、コーラスの重なりで温度を出す。その軽やかな設計が、現代の“サチュレーション過多”なポップとは一線を画している。Ettoneは、音を削ぎ落とすことで“日常に溶けるポップ”を成立させているのだ。

 ALYSAからの挨拶の後、メンバー全員が参加する初の囲み取材も実施され、グループ名の由来が紹介された。

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左からchiharu、yuzuki、mirano、anri、shion、pia、koyuki

 そのグループ名には「えっとね、」という本⾳をこぼす瞬間の⾔葉と、フランス語で“サプライズ”を意味する「étonné」を掛け合わせ、「⼤げさではないけれど、軽やかで前向きなサプライズを届けていく」思いが込められているそうだ。

 また、メンバーがそれぞれ自身のアピールポイントを紹介する場面もあり、デビューシングルの表題曲「U+U」でコレオ制作に携わったmiranoは、「ダンスとラップとボーカルに磨きをかけて三刀流で頑張っています。そんなオールランダーな私に注目していただければ!」と、語っていた。

Ettone流の解釈で彩る名曲カバーパートも

 カバー楽曲8曲を含む全曲が⽣バンドで披露された今回のスペシャルステージ。その口火を切ったのは、先に紹介した「U+U」というデビューシングルの表題曲だった。

 作詞はシンガーソングライターのSIRUPが担当しているが、各メンバーが歌詞とコレオグラフィーの制作に携わっており、そのハーモニーは⽇本の合唱曲から着想されているという。たしかに合唱的な構造をベースにしながら、リズムパターンにはR&Bやネオソウル的な「ずれ」が忍ばされており、心地よい浮遊感を生んでいる。その“わずかなずれ”が、楽曲全体に独特の呼吸を与え、Ettoneらしい“ゆるやかな芯”を形づくっているようだった。

 ライブパフォーマンスならではの歌とダンスで 「LOOSE POPS」の世界観をライブ会場の観客たちに印象づけた。

 2曲目は同じくメンバー7 ⼈全員が作詞に参加したデビューシングル収録曲「サイレント・ディスコ」。80~90年代のシティポップを再現しながらも、グループならでは世界観を歌とダンスで表現した楽曲で、この日はライブバージョンのイントロによって披露した。

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Ettone「サイレント・ディスコ」

 ここでもEttoneの音楽的個性が際立つ。彼女たちはシティポップの懐かしさを模倣するのではなく、“いま”の音色や間合いで再構築している。打ち込みと生演奏の間にある微妙な“人間味”を意識的に残し、往年のポップスに現代的な「抜け感」を与えていた。

 その後はEttoneのカバー動画コンテンツ「Re: frame」で披露している名曲の数々で構成されたカバーパートへ。3〜8曲目は歌唱メンバーを再編成し、「丸ノ内サディスティック(椎名林檎)」(yuzuki / mirano / shion)や「カブトムシ(aiko)」(yuzuki / koyuki / chiharu / pia)などの名曲にのせて、グループの世界観を表現した。

 選抜メンバー同⼠ならではのコーラスワークに続いて、9〜10曲目では「Re: frame」から「満ちてゆく(藤井⾵)」「喜劇(星野源)」を披露。メンバー7人全員揃っての圧巻のフルコーラス歌唱パフォーマンスと、⽣バンドによるアレンジで観客を魅了していた。

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Ettone

 オリジナルのグッズTシャツに着替え、ラストを飾ったのはメンバーのanri、chiharu、yuzukiが作詞に参加したデビューシングル収録曲「Roses」という1曲。Ariana Grande など、世界的なアーティストのプロデュースを⼿がけるShintaro Yasudaが参加した本楽曲は、薔薇をモチーフに愛を表現する歌詞が散りばめられたR&Bポップに仕上がっている。

 Shintaro YasudaによるグローバルスタンダードなR&Bトラックに対して、Ettoneはあえて“日本語の語感”を柔らかく滑り込ませる。海外的洗練と国内的情緒の交差点──そのバランス感覚が、Ettoneのポップを「輸入型」ではなく「生成型」にしている。

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Ettone

 Ettoneの温かな愛で会場全体を包み込むようなパフォーマンスを終え、メンバーのanriは「こんなに素敵なステージにできたのは、愛するメンバーとプロフェッショナルであるスタッフのみなさん、そして応援してくださる皆さんがいてこそ」と、改めてファンたちに感謝のコメント。

「“人生の応援団になりたい”というスローガンを掲げて、これからも私たちらしく、本気で音楽と向き合っていきたいと思います」と、今後の決意を述べて1時間のデビューショーケースを締め括った。

 初の生バンドパフォーマンスでその確かな実力を示したEttone。彼女たちのサウンドは、華やかなサブベースやEDM的ビルドアップではなく、“声”と“リズムの呼吸”で魅せる構造だ。それが結果的に、XGのグローバル志向やHANAの感情的アプローチとも異なる「日常をポップに変える音楽」としての独自性を打ち出していた。

 今後は、10⽉18⽇(⼟)の 「Rakuten GirlsAward 2025 AUTUMN/WINTER」や11⽉2⽇(⽇)の「 ZIP-FM ENJOY LIVE」といったイベントにも出演予定とのことだ。

(文=伊藤綾)

伊藤綾

1988年生まれ。道東出身。大学でミニコミ誌や商業誌のライターとして活動開始。雑誌では「SPA!」や「サイゾー」、ネットメディア「キャリコネニュース」、「マイナビニュース」、「東洋経済オンライン」などで執筆中。さまざまな有識者の話を聞きつつ、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催中。

X:@tsuitachiii

最終更新:2025/10/14 13:51