『M-1』決勝9組、川原と川北のNEWSクライシス、改めてスクールゾーン……【週刊お笑い雑話】

今週あったお笑い界隈の話題をピックアップ! ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。
『M-1』決勝9組
編集S Mの季節ですね。
新越谷 季節ですねえ。
編集S どうですか?
新越谷 なんか今年はMおじことスーマラ武智がうるさくない感じがしませんか?
編集S そういえば例年より目立ってない気がしますね。あんまり活発じゃないのか、こっちがあんまり目に入れないようにしているのか。
新越谷 両方かもしれないですねえ。
編集S で、決勝9組ですが。
新越谷 ドンデコルテと豪快キャプテンが両方上がったのが面白いなあと思っていて。
編集S ほう。
新越谷 ナベとギャンゴリって、いわゆる「愛され」の枠じゃないですか。錦鯉の雅紀さん枠というか。今年の『M-1』は、この2人の全国デビューの回なんだなという印象がいちばん強いですかね。
編集S 確かに、ネタもそうですが平場でハネそうな感じはしますね。一気にテレビスターになってしまうかも。
新越谷 去年のエースとか、21年のともしげとか、もっとさかのぼれば08年の春日とか、ああこの人はこれから日本中に愛されていくのだ、という、人が報われる瞬間が見られるかもしれない。そういう器なんですよね、『M-1』って。器というか、装置というか。
編集S 確かに、そういう一面はありますね。
新越谷 あとはやっぱり、めぞん。
編集S めぞん、来ましたねえ。
新越谷 あの「粗品のロケ」から1年、これも感動しちゃう。
編集S 去年、2回戦で落ちて粗品のYouTubeに呼ばれて「おもろいから腐るな」と言われてました。特に何か変える必要もないと。
新越谷 本当に腐らなかったし、変えないまま決勝まで来た。一緒に出てた狛犬とサンタモニカも準々まで上がってるし、改めてあの「粗品のロケ」が神回になってしまった。最高の恩返しですよね。
編集S ホントにそう思います。一方でラストイヤーにすべてを賭けてきたカナメはここで落ちるという。
新越谷 発表のとき、ママタルトの檜原が自分たちが通った後も祈り続けてたんですよね。おそらくカナメが呼ばれるのを願っていた。
編集S 呼ばれたのはカナメじゃなく、たくろうでした。
新越谷 たくろうはたくろうでようやくだし、今年もファイナル発表会はドラマチックでした。何回でも見ちゃう。ヨネダの返り咲きもすごいし、真空エバースヤーレンズの安定感もすごい。
編集S 本番楽しみですね。
新越谷 ホントにね。
川原と川北のNEWSクライシス
編集S テレビ大阪で変な番組が始まりました。川原がキャスターで川北がコメンテーターの報道番組『NEWSクライシス』。
新越谷 いかにも古き良き深夜番組という感じでよかったですね。まあそうなるだろ、と期待した通りの感じになってる。
編集S 番組側としても、どうなってもいいと思ってるんでしょうね。いい意味で、演者に丸投げ。
新越谷 どうなっても成立するだろうし、成立してなくても別にいいですからね、この2人だったら。おもしろかったのが、川北があんまり見たことない困り顔をしてたことで、川北って怒ってくれる人がいないとこういう感じになるのかと思って。
編集S 確かに、傍若無人以上の傍若無人と2人きりですからね。
新越谷 川北が外そうとすると、それ以上に川原が外してくる。いつもみたいに振り切らせてもらえないから、結果として川北が剥がされてるように見えるんですよね。これまで、絶対に剥がされない人だった川北が、ここでこんな感じで剥がされるんだという、そういう楽しみがある番組だなと思いました。
編集S 長く続いてほしいですね。
新越谷 そんなに長くは続かないと思う。それは正直。
改めてスクールゾーン
新越谷 『いろはに千鳥』で「QUIZスクールゾーン」。
編集S やってましたね。
新越谷 あれ見てて、今さらスクールゾーンやっぱ面白いなと思って、YouTubeのコント見漁ってしまって。
編集S Mの季節なのに。
新越谷 Mの季節なのにスクールゾーンですよ。俵山の顔はすぐ思い出せるけど、相方の顔が全然印象にないスクールゾーン。名前なんでしたっけ。
編集S 橋本です。
新越谷 橋本だ。はしも。
編集S 思い出してあげて下さい。
新越谷 いや、思い出せない凄みなんですよ。
編集S 思い出せない凄みとは。
新越谷 例えばバイトの子を狙ってるイタリアンシェフのコントあるじゃないですか。あれで橋本はそのバイトの女の子を演じているわけですけど、そのあやのちゃんの顔はめっちゃ思い出すんです。
編集S かわいいですよね。
新越谷 かわいいんだ。かわいくてめんどくさい。そのイタリアンシェフを何本か見て、その次にデリヘルドライバーを見ると、今度は俵山がデリ嬢をやっててドライバーが橋本。カジさんという役です。
編集S 泣けるコントですね。
新越谷 カジさんの顔とか口調とか、すごく思い出せる。すごく印象深い人物だし、実際こういう人いるんだろうなと想像できる。
編集S そうですね。
新越谷 その2人、あやのちゃんとカジさんを同じ芸人が演じているということが、まったくつながってこないわけです。脳が混乱するほどに、別人にしか見えない。
編集S それはそうかも。
新越谷 スクールゾーンのコントって、俵山がいろんな役者を連れてきていろんな役をやっているように見えるんです。俵山はどんな役をやっても俵山であるという主張があって、橋本は橋本であることを完全に消し切っている。例えばバナナマンとか東京03と比較してみても、「演技上手い」という上手さのベクトルが全然違う方向に向いてる感じがするんです。ここまで橋本であることを消しながら、その演じている人にはめちゃくちゃ実存感がある。
編集S うん。
新越谷 だから芸人として売れるかといわれるとけっこう厳しいと思うけど、めちゃくちゃ独自の進化をしてますよね。イタリアンシェフのコント見てて、大昔に見たイッセー尾形と大竹しのぶの2人芝居を思い出したりしましたもん。
編集S 古。
新越谷 そんで、スクールゾーンって今年までキングオブコント準々決勝どまりだったじゃないですか。今年もようやくジェラードンの辞退で繰り上げ準決。今のお笑いシーン的にはあんまり結果出てない。
編集S そうですね。
新越谷 でもテレ東の番組でテレビ単独ライブやってるんですよね。番組1本、まるまるスクールゾーンのライブだけという回があった。
編集S 板川Dの『メガホン二郎』でしたっけ。アルピーMCの。
新越谷 そうそう、その年末の回がスクールゾーンのライブだけだった。その時に思い出したんですけど、空気階段がキングオブコント獲った後に「テレビで単独ライブをやれたらいちばんいい」って言ってたんですよね。それは無理っぽいけど理想的にはそれ、みたいなニュアンスで。
編集S ああ、言ってたの覚えてます。
新越谷 それを準々どまりのスクールゾーンがやってるぞ、と。まさしく独自の進化だなと思った次第です。
編集S なんですか、次第ですって。
(文=新越谷ノリヲ)
