「リアル刃牙」渋谷莉孔が政界殴り込み! 介護で目覚めた“改革魂”とは?

格闘技ファンがザワついている。不良の格闘技大会「THE OUTSIDER(ジ・アウトサイダー)」出身で、アジア最大級の格闘技団体「ONE Championship」でも活躍した渋谷莉孔(しぶや・りく=40)が突如として、参院選東京選挙区への出馬を表明したからだ。これを受け、ネット上では「誰に投票しようかサイトを眺めてたら、渋谷莉孔が出てて今年一ビックリした」「候補者に渋谷莉孔?って、5度見ぐらいしてしまった」などと驚きの声が上がる一方で、「参院選じゃなくRIZINに出ろよ」「格闘家を辞めちゃうのかな」と残念がる声も。そんな渋谷の政見と、格闘家継続の意思の有無を確かめるべく、公示前日に開かれた緊急記者会見に潜り込んだ!
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会見場は東京都庁。こんなお堅い場所に“元アウトサイダー”が来ること自体がにわかには信じられなかったが、開始予定時刻の10分前に渋谷はきっちり現れ、頭を下げながら登壇した。
去年見たときは金髪にスポーツカジュアルだったが、この日は黒髪にスーツ。慣れない場所と格好のせいか、やや緊張した面持ちだ。その傍らには、渋谷を公認候補として擁立した「新党やまと」の小林興起代表(81)の姿が。小林は第1次小泉内閣で財務副大臣を務めたが、平成17年に郵政民営化に反対し、自民党を除名されたことで知られる。
会見の冒頭で語られた小林の主張を要約すると、「アメリカの要求で郵政民営化が強制され、日本はアメリカの経済植民地になってしまった」というもの。そこから脱却し、本来の豊かな日本を取り戻すためには若い力が必要だとし、今回、渋谷莉孔に白羽の矢を立てたという。
小林は、横に座る渋谷のことを「見ていただければわかる通り、好青年です」と紹介し、「格闘技で勝ち上がってきたその力を、今度は政治の世界で発揮してほしい」と呼びかけた。そして、渋谷のことを「あしたのジョー」、アメリカに魂を売らなかった自らのことを「ラストサムライ」と例え、共に戦うことを誓った。

以下は、渋谷の挨拶である。
渋谷莉孔(以下、渋谷) はじめまして、格闘家の渋谷莉孔です。僕は長年海外で格闘技の試合をやっていまして、数年前より日本にて祖母と祖父の介護を行い、大変な思いをしました。そのとき、日本の素晴らしさと、また生きづらさを、同時に感じました。僕は政治に無知で無関心だったんですけど、今の法整備や政治、福祉、日本の社会は、日本人を守っていないように感じています。それどころか、日本の財産や土地、先人が守ってこられた大和魂までもが、取り上げられようとしていると感じます。
この状況に怒りや悲しみを覚えている人もたくさんいると思います。僕は今までやってきた格闘技を通じて、日本人の暮らしやすい世の中に戻したいと思います。そのために、戦後80年経ったアメリカからの独立や、少子化対策などを進めていきたいと思っています。
今、この国のあり方は、政治家や大企業、霞が関の方たちの思惑ばかりで、国民不在のまま動いているような気がします。国民の声が届かない今、僕はこうして任されたので、声を大にして国民の声を上げていきたいと思います。よろしくお願いします。
続いて、記者たちとの一問一答。
――数ある政党・政治団体の中で、なぜ新党やまとを選んだのか?
渋谷 アメリカにも中国にも、どちらにも傾いていない。そういう政治ができるんじゃないかと思いました。
――格闘家は引退と捉えていいのか、それとも格闘技はまだ続けるのか?
渋谷 引退しません。
――指導者としてではなく、選手としてもまだ続ける?
渋谷 はい。
――では今の時点では、「格闘家」というのが代表的な肩書きになると?
渋谷 はい、そうです。
――小林代表との縁は? あと、政治を志すようになったのは、いつからなのか?
渋谷 半年ほど前に、紹介されて知り合いました。それまで政治を志そうと思ったことはなかったんですが、国民の声が届かないという思いはずっとありましたので。
――格闘家をやる中でそういう思いがあったのか、それとも格闘技とは関係なく普段の生活から?
渋谷 海外に移住してから、日本と海外の違いを比べるようになりました。
――「半年前に紹介された」とのことだが、どういう場で?
渋谷 小林先生が格闘技の大会にご挨拶に来られたときに、紹介されて知り合いました。
渋谷はもともと饒舌多弁なタイプではないため、記者会見はあっさりと終了。やや物足りなさを感じたので、帰り際の渋谷に話しかけ、追加の質問をいくつかぶつけてみた。
――出馬を決意する前に、いろんな人に相談をしましたか?
渋谷 はい。格闘技関係の人とかに相談したんですけど、誰も反対してくれませんでした(笑)。やってみろ、と。
――具体的には、どういう人に相談を?
渋谷 みんなが知ってるところで言えば、ヒロ三河くんです。でも、大沢(ケンジ)先生には相談してないです。ちょっと言いづらくて(笑)。まあ相談したらきっと、「いいんじゃない?」と言ってくれたと思いますけど。
――出馬の話が持ち上がってから、どれくらいの期間、迷いましたか?
渋谷 迷ってる時間がなかったんですよ。
――それくらい急な話だったんですね。そういえばスーツ姿を初めて見ましたが、これも慌てて調達したんですか?
渋谷 いや、スーツは一応、前から持ってました。

――最後に聞きますが、政治と格闘技の両立は可能ですか?
渋谷 はい。党からもやっていいという言葉をいただきました。


渋谷の主義主張をさらに深く知りたい人は、街頭演説や政見放送をチェックしてみよう。参院選の投開票日は7月20日(日曜日)である。
(取材・文=岡林敬太)
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