六代目山口組が8月に異例の新人事を発表、七代目体制への準備強化か

積極的に人事を動かし続ける六代目山口組に、またしても大きな動きがあったようだ。
本来、山口組では8月に入ると夏休みに入り、会合などが開くことはめったになかった。しかし先日、六代目山口組では8月にもかかわらず執行部会が開催された。その会合には、強烈な手腕で六代目山口組を牽引し、分裂問題を解決へと導いた髙山清司相談役も姿を見せたという。それだけに、大きな動きがあるのではないかと業界関係者の間で噂になっていたが、予想通り最高幹部にかかわる新人事が発表されたのだ。
抗争終結の裏で囁かれる「代替わり」の噂
竹内照明若頭(三代目弘道会会長)体制となって以降、矢継ぎ早に人事が動いてきたが、その中でも今回の異動は、七代目体制への布石とも受け取れる内容となった。
「これまで六代目山口組では、一気に人事を入れ替えることはあまりありません。それはヤクザ社会に限らず、一般企業などでも、大幅な人事異動は組織内に摩擦を生じさせる可能性があるからです。そのため六代目執行部は時間をかけて人事を進めるのが特徴ですが、その伏線となったのが、前回の髙山相談役と藤井顧問(五代目國粹会会長)の異動、すなわち若頭から相談役、若頭補佐から顧問への就任だったと考えられます」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
今回発表された人事は、舎弟頭を務めていた二代目伊豆組・青山千尋組長が名誉職となる最高顧問に就任。本部長の大同会・森尾卯太男会長が青山組長の後任として舎弟頭に就き、森尾会長の後任の本部長には、若頭補佐を務めていた極粋会・山下昇会長が昇格した。最高顧問は文字通り名誉職であり、舎弟頭と本部長は執行部の中でも若頭とともに「三役」(若頭・舎弟頭・本部長)と呼ばれる重責である。
「舎弟頭を務めていた青山組長が最高顧問に就任し、同時に舎弟頭と本部長も交代したということは、これまで矢継ぎ早に行われてきた人事発表が大詰めを迎えているとも言えるでしょう。つまり、山口組が七代目体制へ移行することを意味するとも予想できます」(同ジャーナリスト)
抗争終結宣言後、業界関係者の間では山口組が六代目体制から七代目体制へと年内にも代替わりが行わられるのではないかと噂になっていた。その噂が現実味を帯びるように、若頭補佐や幹部の増員が行われ続け、総裁制が導入されてきた。これらの動きから、このジャーナリストは七代目体制への移行が具現化しているのではないかと予想する。
「自分たちが耳にしていた話では、先日他界した四代目倉本組の津田力組長も重要な役職に就くのではないかと噂されていた。最高顧問となった青山組長は、山口組九州勢の中で最大勢力の伊豆組を率いており、分裂抗争の最中に若頭補佐から舎弟頭に就任し、竹内若頭とも近しい間柄とされている。本部長から舎弟頭となった森尾会長は、髙山相談役が若頭だった時代に若頭付として職責を果たし、その後、若頭補佐、本部長と最高幹部を歴任している。若頭補佐から本部長に昇格した山下会長も、竹内若頭と深い信頼関係にあるといわれ、七代目体制に向けて山口組が本格的に動き出しているのではないか」(業界関係者)
この関係者が述べるように、山口組は七代目体制への移行を進めているのだろうか。確かに、それを想像させるような人事発表が続いているのは間違いない。
現在、竹内若頭を支える若頭補佐は、二代目竹中組・安東美樹組長、秋良連合会・秋良東力会長、四代目石井一家・生野靖道総長、五代目山健組・中田浩司組長、六代目豪友会・加藤徹次会長、落合金町連合・佐藤光男会長の6名である。
今後も新人事が発表されるのか。そして、山口組の歴史の中でも長期政権となった六代目山口組が、万全な体制を整えた上で七代目体制へ代替わりするのか、業界内では注目が集まっている。
(文=山口組問題特別取材班)
山口組最高幹部、逝去の衝撃
抗争終結宣言で何が変わったのか?