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全保連、ジェイリース、Casa、オリコフォレントインシュア…家賃保証会社の審査に落ちる理由とその仕組み

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気に入った物件でも家賃保証会社のせいで審査に落ちてしまうことも……。(写真:Getty Imagesより)

 賃貸住宅の契約時や公営住宅への入居時に必要な、賃借人の連帯保証人。その役割を代行するのが家賃保証会社だ。

 かつては、高齢者やナイトワーク従事者など、保証人の確保が難しい人々の利用が多かったが、近年では連帯保証人の有無にかかわらず、家賃保証会社との契約が賃貸契約の必須条件となりつつある。保証料は初期費用の一部として支払われるのが一般的で、もはや契約上欠かせない存在だ。

 ただ、インターネット上では、「家賃保証会社の審査に落ちて部屋探しが難航した」という体験談も散見される。

 それでは、家賃保証会社が行う審査のポイントとはどのようなものなのか? その実態について、家賃保証会社で11年間、管理(回収)担当として勤務していた0207(にがつなのか)氏に話を聞いた。

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家賃を滞納すると借りられない物件もある

「学生時代に分割払いで購入した楽器のローンを滞納し、奨学金もきちんと返済できていません。そのせいか、クレジットカードの審査に通らないんです。きっと、“ブラックリスト”に載っているのでしょう」

 そう語るのは、現在、自己破産を検討している30代の男性だ。

「この状態では、賃貸の部屋を借りるのも一苦労です。楽器のローンがオリコ系列だったため、クレジットカード系の家賃保証会社を利用する物件の審査には通りません。インターネットでは『Casaならブラックリストに載っていても審査に通る』という情報を見かけましたが、実際にはそんなことはありませんでした。現在は、大家に直接家賃を支払う物件に住んでいます」(同)

 多くの人は、家を借りる際に家賃保証会社がどこなのか気にしないだろう。しかし、一部の「お金でヤンチャ」してきた人たちにとっては、これが死活問題となる。前出とは別の30代男性は、次のように語る。

「クレジットカードの返済を滞納し続けた結果、信用情報機関に『金融事故情報(異動情報)』が登録されたようです。このままでは埒が明かないと思い、弁護士に相談して任意整理をしました。返済が終わるまで、新しいクレジットカードは作れません。そもそも、各社で返済を延滞していたので、新規で契約できる会社はなかったと思います」

 この男性はいわゆる多重債務者なのだが、クレジットカードの皺寄せは部屋選びにも影響する。

「仕事で転勤が決まったときは、本当に焦りました。というのも、最近はオリコフォレントインシュアやエポスカードといった信販会社が家賃保証を請け負っている物件もありますからね。そこで不動産会社に、最初から『クレジットカードで事故を起こしているため、信販系の家賃保証会社は利用できません』と伝えました。すると事情を察してくれたようで、信販系以外の家賃保証会社を利用する物件を紹介してくれたのです」(同)

 国土交通省の任意登録制度に基づく登録家賃債務保証業者リストによれば、日本国内にはおよそ130社の家賃保証会社が存在する。日本セーフティー、全保連、ジェイリース、Casaのほか、オリコフォレントインシュアやエポスカードといった信販会社も代表的な家賃保証会社として挙げられる。

 現在、東京23区内では、家賃保証会社との契約なしで賃貸物件を借りるのは非常に困難だ。そのため、間取り図などとともに日本セーフティーやエポスカードなど家賃保証会社の社名が明記された物件広告も多く見られるようになった。

 とはいえ、家賃保証会社の利用が賃貸契約で一般化したのは、ここ10年ほどのことだ。前出の人物たちと違って、直近で賃貸契約に関わった経験がない人にとっては、このスキームの存在自体、あまり知られていないだろう。

 そもそも、家賃保証業は、保証内容や審査方法を定める業法が未整備であり、保証内容や審査基準も会社やプランごとに大きく異なる。そのため、業界関係者でさえ、全体像を把握するのは難しいという。

「例えば、家賃滞納時に請求される『滞納事務手数料』などの名目の金額だけを見ても、各社で大きな差があります。ある会社は1000~3000円程度です。0円という会社もあります。一方で、延滞1回で家賃の10%を請求する会社も存在します。家賃10万円の場合、1日だけの1回の延滞でも1万円です。ある意味『トイチ』より高いですね。いずれ大きな問題になるかもしれません」(0207氏、以下「」同)

 形式上・実質上ともに、保証料を支払うのは借主であるにもかかわらず、家賃保証サービスは家賃収入を得るオーナー向けに設計されている。そのため、どの保証会社を利用するかを決めるのは借主ではなく貸主(オーナー)である。

 そして、多くの物件オーナーは、仲介や管理を不動産会社に委託しているため、家賃保証会社ともっとも関係が深いのは、実際のやり取りを担う不動産会社となる。

「基本的には不動産会社に営業をかけます。入居時に支払う初回保証料や、1年に1度の年間保証料、毎月の月額保証料の一部を不動産会社に還元する“バック”の仕組みも存在します。そのバック率は家賃保証会社や保証商品によって異なり、初回保証料から80%をバックするケースもあります」

審査が厳しすぎると不動産会社から嫌われる!?

 大手不動産会社の中には、毎月の月額保証料の半分を家賃保証会社から受け取るところもあるという。

「バック率や審査基準も含めて、家賃保証会社は各社バラバラです。何をどこまで保証するのかといった保証内容も各社・各商品で異なります。不動産会社では複数の保証会社と提携しているのが一般的だと思います」

 それでは、家賃保証会社は入居希望者の何を見ているのだろうか?

 0207氏によれば、入居希望者の支払い能力や返済履歴(信用情報)を、CICやJICCなどの信用情報機関から取得し、審査に利用している家賃保証会社は多いという。当然ながら、オリコフォレントインシュアやエポスカードなど、信販系の家賃保証会社も同様に与信審査を行っていると考えられる。

「信用情報機関を審査に利用しない家賃保証会社も存在します。利用しても、審査基準は各社で異なります。私が以前に勤めていた会社では一時期、信用情報にほんの少しネガティブな情報があっただけでも、審査で落としていました。しかし、すぐに、より緩やかな審査基準へ変わりました。あまりに審査基準を厳しくし過ぎると、不動産会社から使ってもらえなくなるし、売り上げもあがらないからです」

 審査結果は、物件の賃料や入居希望者の支払い能力だけでなく、家賃保証会社と不動産会社との関係性によっても左右されることがあるという。

「月に何百件もの契約を提供してくれる不動産会社と、月に数件しか寄越してくれない会社では、前者のほうが審査が甘くなるケースがあります。また、付き合いを『太く』したい不動産会社の場合も、そういうことがあります。信用情報に延滞などのネガティブな情報が多少あっても、賃料が低く職業が公務員などであれば、審査を通すこともあります。要するに、家賃保証会社の審査は最終的に、会社ごとの判断によるものなんです」

 仮にクレジットカードなどの支払いが若干遅れていても、問題視しない場合もあるという。

 それでは、現在は延滞も解消しているにもかかわらず、審査に落ちてしまうケースには、どのような要因があるのだろうか?

「ケースバイケースとしか言いようがありませんが、収入に対して家賃が明らかに高すぎるなら、それは厳しいでしょう。その家賃保証会社にとって『面倒な契約者』だった過去がある場合も、難しいかもしれませんね。こんな言い方をすると気に障る方がいるかもしれませんが、高齢者や水商売の人は別として、家賃保証会社の審査は基本的には通るものだと思っています。『どうしてこれで審査に通るんだ?』と驚くことのほうが多かったです。ただ、本人も忘れている、信販会社などへ『放置』された数百円の滞納。そのネガティブ情報が原因で審査に落ちる場合もあります。信用情報に不安があれば、信用情報機関へ開示請求し、確認してみるのもいいかもしれませんね」

 賃貸物件の審査の基準は収入だけではないのだ。

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(文=伊藤綾、取材・編集=サイゾーオンライン編集部)

伊藤綾

1988年生まれ。道東出身。大学でミニコミ誌や商業誌のライターとして活動開始。雑誌では「SPA!」や「サイゾー」、ネットメディア「キャリコネニュース」、「マイナビニュース」、「東洋経済オンライン」などで執筆中。さまざまな有識者の話を聞きつつ、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催中。

X:@tsuitachiii

最終更新:2026/02/03 12:00