CYZO ONLINE > その他ニュース > 芸人オンラインカジノ問題、仕事失うのは「やむなし」なのか

令和ロマン高比良は活動自粛…芸人オンラインカジノ問題、仕事失うのは「やむなし」なのか

令和ロマン高比良は活動自粛…芸人オンラインカジノ問題、仕事失うのは「やむなし」なのかの画像1
イメージ画像(写真:Getty Imagesより)

 オンラインカジノで賭博をした疑いで事情聴取を受けたと報じられたお笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるま(※高=はしごだか)が19日、芸能活動を当面自粛すると発表した。他にも同じ吉本興業所属の人気芸人たちが違法賭博への関与を取りざたされており、出演番組の差し替えやカット、広告取り下げなどの影響が出ている。

 これに対して「活動休止や番組降板などはやむなし」との声がある一方、「仕事を失わせるのはやりすぎ」という意見も噴出。さらに、吉本興業のコンプライアンス研修の効果を疑問視する声が上がるなど、さまざまな意味で騒ぎが拡大している。業界内では今回の騒動はどう受け止められているのか、在京テレビ局の関係者に話を聞いた。

ニューヨーク市にカジノ 世界一のビジネス街にさらなる「札びら」

芸人たちの違法賭博騒動に同情論も

 今回の騒動では、警視庁が吉本興業の所属タレント10人弱からオンラインカジノでの違法賭博について任意で事情聴取していたことが判明。ダイタクの吉本大、9番街レトロのなかむら★しゅんらが聴取の対象になったと報じられ、さらに『M-1グランプリ』2連覇を果たした令和ロマンの高比良、売れっ子のとろサーモン・久保田かずのぶも聴取を受けたと伝えられると反響が一気に広がった。

 久保田は関与を否定したものの、他の芸人たちは大筋で事実を認めているという。実際、高比良はYouTubeで公開した謝罪動画で「今回記事にあった通り、オンラインカジノをしていたというのは事実であります」と認め、19日にSNS上で「今回の件を真摯に受け止め、自らを律する機会とするため、本日から当面の間、芸能活動を自粛させていただくこととなりました」として活動休止を発表した。

 この騒動に関連して、テレビ朝日は「今回の事態に不明な部分がある」として高比良と久保田の番組出演見合わせを発表。TBSは24日放送の特番『ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア~笑わせたら100万円~』から令和ロマンの出演シーンのカットを予定している。また、東京ガスは令和ロマンを起用していたCMの差し替えを決定した。

 コンプライアンス的に仕方ないように思えるが、その一方で芸人たちの「出演見合わせドミノ」については疑問の声もある。

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、17日に出演したフジテレビ系『めざまし8』で「オンラインカジノは今の日本では違法」と強調した上で、「ただ高比良さんの件については、仕事をやめさせるとか、降板させるとか、CMがなくなるっていうのは、やり過ぎだと思いますよ」と指摘。すでに反省や謝罪の意思を示している高比良に対し、大々的な報道で仕事を失わせるのは「いじめや誹謗中傷に近いライン」との持論を展開した。

 これに限らず、ネット上でも「ちゃんと謝罪したんだから寄ってたかって責めるべきではない」「高比良の場合は本人の説明が事実ならもう時効のはず」「パチンコ換金は黙認でオンラインカジノは厳しく取り締まるって警察のダブスタでは」といった同情的な声があるのは事実だ。

仕事を失うのは「やむなし」なのか

 仕事を失うのもやむなしなのか、それとも行き過ぎた対応なのか。在京テレビ局の関係者は、業界内での受け止め方についてこう証言する。

「仕事を失うのもやむなしかどうかは、それぞれの事情によって異なってくるのかなと思います。最悪なのは『違法だと知りながら問題になるまでやり続けていた』『借金などで周りにも迷惑をかけている』『仕事にも支障が出ている』『事務所等に事実を隠す』といったケースで、そこまでくるとすべてを失ってもやむなしでしょう。

 ただ合法と誤認しかねないオンラインカジノの広告などにも問題がありますから、違法性に気づかずに過去にやってしまったが、今ではまったく関わっていないといった程度であれば、業界的にも世間的にも同情の余地はある。しかし、最終的には事務所の判断になります。吉本興業は闇営業問題以降、コンプライアンス研修をかなり徹底して実施していました。そのため、今回の騒動に対しても厳しく対応しているのだと思われます」

 違法性の認識については、吉本所属のロザン・菅広文が「(タレント向けの)コンプライアンス研修でオンラインカジノの問題もちゃんと啓発している。違法性の認識がなかったというのは通用せえへん」と一喝。実際のところは今後の調査などに任せるしかないが、違法性の認識の有無は大きな焦点になりそうだ。

吉本のコンプラ研修に「意味なし」の声も

 吉本興業では、2019年に発覚した「闇営業」問題以降、芸人を対象にしたコンプライアンス研修を実施。多忙な芸人にはオンラインで受講させるなどコンプラ教育を徹底していたはずだったが、今回の騒動を受けて「研修は無意味」といった厳しい声が飛び交っている。

 この状況について、前出のテレビ局関係者はこのように指摘する。

「吉本がコンプライアンス研修を徹底しているといっても、それに反する者はどうしても出てくる。これはお笑いという仕事の性質上、飲む打つ買うといった遊びが芸の肥やしになるという古くからの風潮が少なからずあるため、ノリなどでやってしまう者がいるからです。もちろん、それはまったく違法行為の言い訳にはなりませんが、まだまだそのような文化は残っているということでしょう。

 ただ、いまや吉本のタレントさんはお笑いだけではなく、大阪・関西万博のPRなどに代表されるように、国や地方自治体、学校などの公共性の高い分野にも広く関わっている。そういった仕事があることを考えると『芸の肥やし』では済ませられないですから、最悪の場合、解雇となるケースが出てくることもあり得る。吉本興業が今後どう采配を振るうのかに注目しています」

(文=佐藤勇馬)

お笑い業界にとって「魔の2月」になるのか… ダイタク・大らのコンプラ違反容疑で危惧されるクズ芸人の居場所

芸人の「いい人」化に大きなリスク よゐこ・濱口優のパワハラ疑惑報道でも浮き彫り

佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

X:@rollingcradle

最終更新:2025/02/21 09:00