自身の仮想通貨を発行した有名人
2024年に何度目かの高騰を果たし、再び最高値を更新したビットコイン。
その動きにつられて高騰した仮想通貨 おすすめ銘柄も多く、特に近年はNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)といった新しいコンセプトを基に開発されるプロジェクトの人気が高い。
一方で、このブームに便乗するようなかたちで多くの著名人が自身のブランドの仮想通貨を発行する動きも見られる。
これらのプロジェクトには明確な目的をもってないものが多く、中には詐欺まがいのものも混在しているが、以下にいくつかの事例を紹介しよう。
まずは、アンチウイルスソフトウェアの開発者として知られるジョン・マカフィー(John McAfee)。
彼は2017年に早くも自身の仮想通貨「McAfee Coin」を発行した。
これ以外にも複数のICO(イニシャル・コイン・オファリング)を宣伝するなどして仮想通貨業界で積極的に活動していたが、後に詐欺容疑で逮捕された。
ICOに関連する詐欺と言えば、時を前後してプロボクサーのフロイド・メイウェザー(Floyd Mayweather)も後に詐欺であることが判明することとなるCentra Techという企業のICOを宣伝したことで、未登録証券の宣伝に関与したとして米国証券取引委員会(SEC)から罰金を科されることとなった。
メイウェザー自身のブランドとして立ち上げたプロジェクトではないものの、自身の名前を大々的に押し出していたため、この事件は著名人が仮想通貨プロジェクトを宣伝する際のリスクを浮き彫りにすることとなった。
続いて、2018年にはセネガル出身の音楽プロデューサー兼歌手であるエイコン(Akon)が自身の仮想通貨「Akoin」を発表した。
この通貨はアフリカの新興経済圏における金融取引の促進を目的としており、特に銀行口座を持たない人々にデジタル決済手段を提供することを目指しているとされる。さらにエイコンは「Akon City」という未来都市の建設を計画しており、Akoinを主要な通貨として使用する予定だ。
2021年には女優のリンジー・ローハン(Lindsay Lohan)が自身のNFT(非代替性トークン)アート作品を販売し、仮想通貨業界に参入した。
彼女は自身の音楽作品やデジタルアートをNFTとして発行し、ファンやコレクターに提供している。従来のエンターテインメント業界と仮想通貨の融合の先駆けとなって事例である。
同じく2021年にはカナダのアーティストであるグライムス(Grimes)もまた、自身のデジタルアートをNFTとして販売し、約600万ドルを稼ぎ出した。
彼女の作品は仮想通貨コミュニティで高い評価を受け、アーティストが新たな収益源を見つける手段として注目されることとなった。
音楽業界からは、ラッパーのソウルジャ・ボーイ(Soulja Boy)も2021年に自身の仮想通貨「SouljaCoin」を発行している。
彼もまたNFTとして自身の楽曲を販売するなど、仮想通貨と音楽業界の融合を推進している。
そんな中、これまでで最もビッグなネームとして注目を浴びることとなったのが、再度アメリカ合衆国大統領に返り咲いたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏だ。
2期目の大統領に就任して間もない2025年1月に、「$TRUMP」を発行したのだ。
このトークンはソラナ(Solana)ブロックチェーン上で作成され、総供給量10億枚のうち2億枚がICOで公開された。
発行直後にその価値は急上昇し、トランプ氏の保有分の理論的価値は200億ドルを超えると報じられた。
しかし、このプロジェクトは利益相反の懸念や倫理的な批判を招くこととなった。
専門家らがトランプ氏の大統領職と仮想通貨事業の関係性に疑問を呈し、特に外国政府がこのトークンを購入することで合衆国憲法の報酬条項に抵触する可能性が指摘された。
さらに、トークンの価値が急上昇した後には短期間で大幅な価格下落が見られ、その不安定性も問題視されることとなった。
また、トランプ氏の妻であるメラニア・トランプ(Melania Trump)氏も自身の名前を冠した「$Melania」という仮想通貨を発行した。
このトークンは$TRUMPの発行から間もなくリリースされ、一時的に$TRUMPの価格に影響を与えたと報じられている。
一方で、日本においても仮想通貨やブロックチェーン技術に関心を示す著名人が増えている。
例えば、ホリエモンこと堀江貴文氏はブロックチェーン技術を活用した新たなビジネスモデルに注目しており、自身のオンラインサロンやイベントで仮想通貨に関する情報を発信している。
本人は言及していないが、そのうちに自身の名を冠した仮想通貨を発行したとしても驚きは少ないのではないだろうか?
これらの動きは、著名人が自身のブランド力を活用して仮想通貨市場に参入する新たな潮流を示していると言えるだろう。
トランプ政権下で特別政府職員として迎え入れられたイーロン・マスク(Elon Musk)氏が以前にSNSを通じて大々的にバックアップを行ったために、それまでは冗談としかとらえられていなかったドージコイン(DOGE)が異常な高騰を見せたことも記憶に新しい。
しかし、有名人や著名人はその影響力ゆえに投資家や支持者がリスクを十分に理解せずに参入する可能性があり、注意が必要となる。
仮想通貨市場は依然として規制が整備されていない部分が多く、価格の変動も激しいため、投資家には慎重な判断が求められる。
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