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中居正広問題とフジテレビの腐敗構造、各週刊誌はどう報じたか?

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フジテレビ本社ビル(写真:Getty Imagesより)

今週の注目記事・第1位「日枝久の大罪を暴く」(『週刊文春』2/6日号)「フジテレビに居座る独裁者『日枝久取締役相談役』の大罪」(『週刊新潮』2/6日号)
同・第2位「独占スクープ! 渦中のフジ編成幹部A氏が重い口を開いた!『中居正広問題』と『自身の不倫トラブル』」(『FRIDAY』2/14日号)
同・第3位「直撃スクープ フジテレビX子さん『あの会見で私の人権はさらに侵害されました』」(『週刊ポスト』2/14・21日号)
同・第4位「『中居正広』の歪んだ人生」(『週刊新潮』2/6日号)「中居正広 愚行と引退をSMAPが知った瞬間」(『週刊文春』2/6日号)
同・第5位「『(文春の誤報問題=筆者注)私はこう考える』」(『週刊文春』2/6日号)
同・第6位「石川遼 3千筆反対署名にも父は沈黙 ファミリーで経営名門ゴルフ場に大量ソーラーパネル設置」(『フラッシュ』2/11日号)
同・第7位「小池百合子側近『樋口高顕区長』が隠蔽する談合疑惑と担当者の自死」(『週刊文春』「2/6日号)
同・第8位「チャラすぎ畳屋“三股不倫”の代償」(『週刊文春』2/6日号)
同・第9位「森永卓郎 僕が今、一番言いたいこと」(『サンデー毎日』2/9日号)

 今週も週刊誌はフジテレビ問題で埋め尽くされたといってもいいだろう。

 さらに、文春の第一報が誤っていたことを識者たちが問題にして、今度は文春への批判も大きくなってきている。

 フジテレビは、大手企業からのCMが入らず、一説には今季500億円も売り上げが減り、赤字化するといわれてもいる。

 日枝久取締役相談役が事実上のフジサンケイグループの総帥だといわれているが、彼の引責辞任なくしては、フジテレビの地盤沈下は止められないようだ。

 この問題は後でやるとして、“闘う経済アナリスト”として名をはせた森永卓郎が1月28日に亡くなった。享年67。

《東大卒業後、1980年に日本専売公社(現JT)に入り、経済企画庁(現内閣府)出向などを経て、91年に三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に。2001年に就任した自民党の小泉純一郎首相による構造改革に異を唱え、非正規雇用の拡大などを批判した。「年収300万円時代を生き抜く経済学」はベストセラーになった。
デフレ脱却に向けて、早くから金融緩和と財政出動が重要だと主張。自民党の安倍政権による「アベノミクス」でそうした政策が推し進められたが、実質賃金が減ったことなどを問題視し、内部留保をため込む大企業や、消費税の増税を進めた財務省への批判を強めた。
富裕層がさらに豊かになって貧困層がふくらむ経済のあり方に、警鐘を鳴らし続けた。多数の著作やテレビでの軽妙な語り口を通して、「モリタク」の愛称でお茶の間にも親しまれた。
ミニカーなどの収集家や牛丼研究家としても知られた。23年末にがんを公表後も精力的に活動を続けていた。》(朝日新聞Digital01.29より)

 森永の最後のインタビュー(と思われる)がサンデー毎日に載っている。インタビュアーは萩原博子。

 そこで森永は、死生観についてこう語っている。

「森永卓郎 それは、私の人生観に関わるのですが、私は、『あの世』って存在しないと思っている。神も仏もいないし、あの世も存在しない。あるのは現世だけ。
 だから、この現世をいかにフルスイングで前のめりで生きるかっていうのが常にテーマなんです。
 (中略)
 死の宣告を受けた時、最初に思ったのは『書いてはいけない』という本を、これからバンバン書いてやろうということ」

 そこから1年ちょっとで、森永は25冊書いたという。

 森永の死生観が興味深い。

「森永 ブッダも法然も親鸞も日蓮も、実はあの世は存在しないことを深く理解するところから始まっている。
萩原 確かに、釈迦は無神論者だものね。
森永 ただ、現世で苦しんでいる人をいかに救うかっていうのを突き詰めて、あえて嘘をつく。輪廻転生みたいな話をして希望を与える。それを知った時に、私は、現世しかない、それでいいと思った。そこは、普通の人より心が強かったんだと思います」

 さらに、

「森永 戒名もいらない。葬式は絶対やらない。お墓もいらないし、遺骨は違法かもしれないが燃えないゴミで出しちゃってもいい。で、何も残さない。何も持たずに生まれてきて、何も持たずに死んでいく」

 森永は、『発言禁止 誰も書かなかったメディアの闇』という本を出すという。これは読みたいな。

 テレビで見ていると物わかりのいいオッさんというイメージだったが、晩年は一本筋の通った硬骨漢。もう少し生きていてもらいたかった。

 さて、私はまだ東京都心から120キロある伊豆諸島最大の島、伊豆大島には行ったことがないが、さぞいいところだろうな。

 そんな景色のいいところで血なまぐさい殺人事件など起こりようがないと思うのだが、そうではないらしい。

 その島の名所である「砂(さ)の浜」で人骨が発見されたのは昨年10月だった。そして、死体損壊と死体遺棄の容疑で逮捕されたのは、島で代々続く畳屋の三代目、柳瀬宗達(45)だという。

 殺されたのはDNA鑑定の結果、高瀬静香(享年37)だったそうだ。

 柳瀬には妻も子供もいるそうだが、埼玉にいて、島で一緒には住んでいないという。

 それをいいことにしてか、柳瀬は札幌から島に来た高瀬と不倫関係になり、自宅の2階に彼女を住まわせていたそうだ。

 彼女は静岡県下田市のスナックで働いていたそうだが、客としてきた柳瀬と知り合い、付き合うようになったという。

 柳瀬は彼女以外にも女性がいて、当然ながら、高瀬とのトラブルも何度かあったようだ。

 2023年9月には柳瀬から大島署にトラブルの相談があり、それを機に高瀬は島を出たそうだが、2人の関係はダラダラと続いていたそうだ。

 柳瀬の知人の話にによると、高瀬から、妻に関係をばらすと脅され、毎月4万円を請求され、「いつまで払えばいいのか」と柳瀬は不満げだったという。

 そんな末の惨劇だったのだろうか。逮捕された柳瀬は、彼女は自殺したといっているそうである。美しい砂浜と人骨。人の世とはかくも悲しいものなのである。

 お次は、このところ次々に都民受けをする政策を出している小池百合子都知事の側近といわれる、樋口高顕千代田区長(42)のお話。

 2月2日に行われた区長選で再選を目指す樋口には、頭の痛い問題があると文春が報じている。

 昨年、区発注の工事を巡る官製談合事件が発覚し、議長経験者の嶋崎秀彦元区議と元職員が逮捕された。

 嶋崎は都議会のドンといわれた内田茂から再開発利権を引き継ぎ、談合事件では業者に入札情報を伝える見返りに金品などの賄賂を受け取っていたという。

 だが、樋口区長も、日本テレビ本社ビル跡地の再開発など、嶋崎が関与する“業者ファースト”の再開発を黙認してきたというのである。

 樋口と嶋崎は親しかったという。しかし、事件が発覚すると樋口区長は事件を矮小化しようと動いたそうである。

 この事件は、千代田区の元行政管理担当部長・吉村以津己が警視庁に公益通報したことで発覚し、吉村も有罪判決を受けている。

 その吉村は、「実際は組織的犯行だった」と文春に語っている。

「樋口区長は支援者に謝罪行脚し『石川雅己前区長の時の事件だ』と責任逃れを繰り返した。ところが報告書(第三者委員会ではなく区の幹部職員から成る再発防止委員会が昨年7月に出した=筆者注)では樋口区長時代の二一年にも幹部職員が嶋崎議員に入札する業者名を教えていたことが明らかに」(区議)

 吉村はこういっている。

「今の千代田区は、フジテレビと同じでガバナンスが崩壊しているのです」

 しかし、選挙結果は、

《東京都千代田区長選が2日に投開票され、無所属現職の樋口高顕氏(42)が、いずれも無所属新顔で公認会計士の佐藤沙織里氏(35)、前区議の浜森香織氏(46)ら4人を破り再選を決めた。当日有権者数は5万3169人。投票率は39.11%(前回45.30%)で過去最低を更新した。》(朝日新聞Digital2月2日 22時45分より)

 この問題に関する区民の関心は薄かったようである。

 お次はFLASHから。ゴルファーの石川遼の事務所が買収した名門コースにソーラーパネルを敷き詰めようという計画が発覚し、住民が「やめてくれ」と大きな騒ぎになっているというのである。

 SmartFLASH(01.31 06:00)から引用してみる。

《ズシリと重い約3000筆。受け取ったゴルフ場支配人の表情は、ほぼ変化がなかった。
プロゴルファー・石川遼の父・勝美氏が運営会社の社長を務めるゴルフ場「棚倉田舎(たなぐらでんしゃ)倶楽部」(福島県棚倉町。以下、棚倉C)を、住民運動が直撃している。
勝美氏が、コースの3分の1にあたる9ホールにソーラーパネルを敷き詰め、メガソーラー発電所に転用することを計画。これに棚倉Cのメンバーや近隣住民たちが猛反発し、昨年12月25日、冒頭のように計画に反対する署名を手渡す事態に発展したのだ。
「一人ひとりに、本当に丁寧に書いていただきました。その重みを感じています。なんとか、太陽光パネルだけはやめていただきたい」
悲痛な面持ちで訴えるのは、プロゴルファーの藤井誠。署名運動の先頭に立ってきた藤井は、かつて棚倉Cで研修生として働きながら、1995年に日本プロゴルフ協会ティーチングプロになった経歴を持つ。
「5年間、キャディや練習場の球拾いをしました。研修生は、仕事の合間に練習場、ゴルフ場の使用が許されていました。棚倉Cの東・中・西とある3コース27ホールのなかで、もっとも戦略性に富んでいたのが西コースでした」
現在、インドアゴルフ施設のゼネラルマネージャーを務める藤井にとって、棚倉Cは原点だ。藤井が続ける。
「ソーラー発電所化されるのが、よりによってその “西” です。棚倉Cは、2013年まで『日米大学対抗ゴルフ選手権』の会場でした。フィル・ミケルソン、アニカ・ソレンスタムらメジャーチャンピオンや、伊澤利光選手、松山英樹選手らが名勝負を演じてきた、歴史と伝統の詰まった “聖地” と呼ぶべきコースなんです」
そんな名門コースが、石川家の手に渡ったのは2018年。遼の母・由紀子氏が社長、遼が取締役に名を連ねる自身のマネジメント会社・ケーアイ企画が、運営会社である棚倉開発の全株式を取得したのだ。》

 石川遼には、ゴルフ場のコース設計や経営に携わりたいという希望があり、数年前から探していたそうだ。では、なぜ、やっと手に入れたゴルフ場にソーラーパネルを敷き詰めるのか?

《昨年4月、宮城県仙台市の「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」で、4万平方mが燃える火災が発生。同ゴルフ場は、棚倉Cの計画と同様に27ホール中9ホールをソーラー発電所にしたのだが、感電の恐れから放水ができず、22時間も燃え続けたのだ。地元住民の不安は募る》(同)

 町としてもゴルフ場として存続することを望んでいるというのだ。

《1月22日、帰宅した勝美氏に、本誌記者がソーラー発電所計画について聞いた。
――反対の署名が3000筆集まっていることについては?
「計画どおりに進めます」
――計画どおりに進める?
「はい。計画中なんで」》

 石川遼のゴルフプレイヤーとしての寿命もそれほど長くないと父親が判断してのことなのだろうか。

 だが、ゴルフを愛する人間が、ゴルフ場を壊してまでもソーラーパネルを敷くことには違和感がある。石川遼はこうした住民たちへの説明を丁寧にするべきである。

 ここからは、フジテレビと中居正広問題をめぐる各誌の報道を紹介する。

 1月27日に行われたフジテレビの10時間半にも及ぶ会見は、結局、フジ側の思惑とは裏腹に、フジの中居の性的トラブルへの対応のまずさと、日枝久独裁体制のためガバナンスが全く機能していないことを浮かび上がらせ、スポンサーのCM離れがさらに加速してしまった。

 だが、その会見の最中に「ひっそり」と有料会員向けだけに、文春が「謝罪文」を出していたため、こちらにも激しいバッシングが起こることになってしまった。

 この経緯を私は日刊ゲンダイ(2月1日付)の連載で書いたので、ここで引用してみたい。

《週刊文春が「中居正広9000万円SEXスキャンダル」で大誤報&お詫び!
それも10時間半に及ぶフジテレビの出直し会見が世の耳目を集めていた1月27日、有料会員向けの電子版にひっそりと掲載していたのである。しかし、「それはおかしい」と指摘した人物がいた。
「『文春』のインタビューを受けていた橋下徹弁護士は、この件を『大きな前提事実の変更があったことなので、しっかりと事実訂正を大きく報じて謝罪しないといけないと文春に伝えました』」(FNNプライムオンライン1月28日 火曜 午後7:39)
そういう経緯があったためだろう、その後、文春オンラインにも載せた。「中居正広・フジテレビ問題について」として、「昨年12月26日発売号では、事件当日の会食について『X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた』としていました。しかし、その後の取材により『X子さんは中居氏に誘われた』『A氏がセッティングしている会の”延長”と認識していた』ということが判明したため、1月8日発売号以降は、その後の取材成果を踏まえた内容を報じています」。その上で、「A氏が件のトラブルに関与した事実は変わらないと考えています」としている。だが、本当にそうだろうか?
文春は1月2・9日号で、X子の知人の話として、その日、中居を含めた大人数で食事をしようとフジテレビの編成幹部のAから誘われ、「Aさんに言われたからには断れないよね」と渋々参加した。だが、直前になって「彼女と中居さんを除く全員が、なんとドタキャン」して、密室で二人きりにされ、「意に沿わない性的行為を受けた」と報じていた。
それが1月16日号では、やはり知人の話として、「あの日、X子は中居さんからA氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていました」と変わり、直前になって中居から、「みんな来られなくなってしまったけど二人でもいい?」というメッセージが届いたと報じているのだ。これほど重大な変更なのに記事中、なぜ、Aではなく中居から誘われたと記述を変えたのかの説明はまったくない。
当時、フジテレビ側は文春の取材に対して、「食事会に関しては、当該社員は会の設定を含め一切関与していない」と回答し、27日の出直し会見の中でも記者の質問にしどろもどろになっていた港浩一社長が、唯一何度も断言したのは、「当日の食事会にAは関与していない」ということだった。
これに関してはフジ側が正しいとしても、フジの「人権意識の低さ」「女子アナを有名人たちの接待要員」「性的トラブルを知りながら中居を使い続けた」「日枝久の独裁体制が続きガバナンスが欠如」などの深刻な問題が解決されたわけではないこと、いうまでもない。
文春で話しているX子の知人というのはX子本人だと私は推測しているが、なぜ、取材力に定評のある文春が彼女の発言の裏を取らなかったのだろう。最初に報じた号で、直撃されたAが「(自分が誘ったというのは=筆者注)間違ってる」といっているのだ。文春砲の信用を著しく傷つけたといわざるを得ない。事件を起こした芸能人に文春がいつもいっているように、会見を開き、なぜ間違ったのかを竹田聖編集長が丁寧に説明する必要があるはずである。(文中敬称略)》

 今週の文春でも、橋下徹弁護士が、この問題について「私はこう考える」と寄稿している。

《世間の面白おかしい噂話を即座に報じればいいというような“便所紙雑誌”の類とは一線を画さなきゃいけない。そのために必要なのは、誤りがあれば、きちんと訂正するということです。
第一弾の記事では、トラブルが起こった当日にプロデューサーが中居さんと被害者の女性を呼び、二人きりにさせたという趣旨が書かれていました。この記述は、フジの関与度合いと言う意味でも核心部分の一つです。ところが、第二弾以降の記事では、トラブル当日は中居さん本人から女性側に連絡があって、家に行ったというように前提が変わっていました。『知人の証言』という形で、しれっと誤りを上書きしていたのです。これでは、読者に対して不誠実でしょう。(中略)
報道は、何より事実は絶対的に重要です。もちろん、速報性が求められる中で間違えることもある。であれば、事実を訂正した上で謝るべきです。(中略)
松本(人志=筆者注)さんの問題を巡る報道でも同様です。松本さんは『暴行や脅迫を示す客観証拠はなかった』と主張しましたが、飲み会での振る舞いや対応については否定しませんでした。けれど、あたかも女性の意思に反するような飲み会の文化自体が問題視されるような時代になっていた。そのことを、松本さんは見落としていたのではないでしょうか。
文春を含め、各メディアには是非、大物芸能人に対する性接待にも繋がりかねないテレビ局の飲み会文化について、しっかり斬り込んで欲しいと思います。
ただ、そこで一つのハードルとなるのは、フジテレビがプライバシーを盾にして、トラブルに関するあらゆる説明を拒んでいるように見えること。事情は理解できなくもないですが、報道機関としてこの姿勢には疑問を抱かざるを得ません。
これまでメディアは、公共性・公益性が伴う問題については、当事者のプライバシーをある意味では犠牲にして報じてきました。ところが、フジテレビは自社が関与した今回の問題について真逆の態度を取っている。これでは今後、フジの記者は取材相手にも『説明を拒む社にお話ししませんよ』と言われてしまうでしょう》

 私のように、週刊誌を毎週読んでいる人間でも、このことに気付かなかった。何人かの識者たちの指摘で知ったのだが、フジテレビの2度目の会見の前に、これが分かっていれば、また違う会見になっていたかもしれない。

 文春は、年初に出す号の前の時点で、このことを知り、書き換えていたのだから。

 私は、文春砲がダメージを受けたのだから、文春砲の創始者である新谷学発行人は、何らかのペナルティを竹田編集長に課すのではないかと思っているのだが。

 文春は、フジテレビからCMを引き上げている企業に、これからどうするか聞いているが、その中で日本生命はこう答えている。

元木昌彦

編集者。「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

元木昌彦
最終更新:2025/02/04 19:41