SNS誹謗中傷、クマ禍、地方医療の臨界、公選法違反疑惑——軋む社会

<今週の注目記事>
1「名古屋『主婦殺人事件』26年目に逮捕された安福久美子容疑者(69)の異様な執着心」(「週刊新潮」11月13日号)「名古屋主婦殺害 安福久美子(69)“狂気の恋”」(「週刊文春」11月13日号)
2「スクープ撮 Cocomiがバレー天才リベロ小川智大と3泊4日フルセット愛」(「週刊文春」11月13日号)
3「林芳正総務相の運動員買収を告発する」(「週刊文春」11月13日号)
4「永田町で早くも流れる早期解散説」(「週刊新潮」11月13日号)
5「62歳で“再デビュー”した松本人志『ダウンタウンプラス』の評判」(「週刊新潮」11月13日号)
6「『医者が消えた町』で人は生きられるのか?」(「週刊現代」11月24日号)
7「ドンキ安田会長が滝クリ“パートナー”を35億円詐欺で刑事告発した」(「週刊文春」11月13日号)
8「危うい『クマ対策』」(「週刊新潮」11月13日号)
9「『危ないからクマ視察行かない』赤間公安委員長のトンデモ発言」(「週刊文春」11月13日号)
10「2026WBCは山本も佐々木も大谷も投げられない!?」(「週刊ポスト」11月21日号)
私は長く編集者をやってきた。だが、ワープロのせいだろうが書けない漢字が増えてきて、自分ながら愕然とすることが多い。
だが、多少見慣れない漢字でも読むことはできたはずだが、今週の週刊新潮の櫻井よしこの連載タイトルを見て、ボー然としてしまった。
「高市総理への期待、只管強い国づくり」とある。
この「只管」が読めないのである。いくら首をひねって考えても出てこない。仕方なくグーグルで調べてみた。
只管は「ひたすら」と読む。ムムム……。長い編集者稼業でも、この字は使ったことがなかったが、読めてはいたと思っていたが、錯覚だったのか。
今は、PCでもスマホでも、調べようと思えばほとんど調べられる。私は使ったことはないが、外国語の文章も、写真に撮れば、すぐに翻訳してくれるアプリがあるそうだ。
このままいくと人間はどこまでバカになるのか、空恐ろしい。
兵庫県警は、今年1月に死去した竹内英明・元県議(当時50)に関するデマをSNSで拡散して名誉を傷つけたとして、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志(58)を名誉毀損容疑で逮捕した。
明らかに嘘とわかる誹謗中傷を繰り返し、相手を追い詰め、死に至らしめる。ここまで酷くなくても、選挙になると、相手候補を陥れるためにSNSを使ってデマ、誹謗中傷が当たり前になってきている。
そのようなものを疑うことなく信じ込み、街頭演説をしている候補に、聞き捨てならない言葉を浴びせる輩が多くなってきているといわれる。
私は、安易に国家の暴力装置を使うことはすべきではないと思っている。だが、SNSを使って明らかな相手候補への誹謗中傷は、何らかの規制をすべきだと思わざるを得ない。
立花の逮捕で、そうしたバカげた風潮に少しでも歯止めがかかることを期待したい。
さて、今週の最初は、来年3月に行われるWBCの話題から。
最後までハラハラドキドキのワールドシリーズが終わり、多くの人同様、私もドジャース・ロスである。
3月半ばから10月終わりまで、選手も大変だろうが、それを見続けてきた私も、ワールドシリーズが終わってから3、4日は腑抜けたようになった。
朝起きて、ああ、もう試合はないんだと気づくと、起きる気力が萎えた。
だが、年が明ければ、3月からWBCが始まる。連覇がかかる侍ジャパンは、大谷翔平を中心に、山本由伸、佐々木朗希が躍動してくれるはずだ。
ダルビッシュ有は残念ながらひじの手術で来られないようだが、戦力的には、今回のほうが上だろう。
だが、ポストによれば、大谷も山本も投げることはないだろうというのだ。
まず、山本は12年3億2500万ドル(約497億円)という投手史上最高額の長期契約を結んでまだ2年目が終わったばかりだから、ドジャース球団がWBCで投げることに難色を示すのではないかというのだ。
「そもそもメジャーの各チームは、打者ならまだしも主力投手が春先に全力投球して故障リスクのあるWBC出場に積極的ではない。ドジャースも例外ではありません。前回WBCでは、ドジャース所属でサイ・ヤング賞3度受賞のクレイトン・カーショーが『保険』の問題により米国代表としての出場を断念した例がありました」(スポーツジャーナリストの友成那智)
メジャー所属の選手はWBC出場に際しては、故障した場合の損害が補償される保険への加入を求められるが、慢性的なケガを抱えるカーショーは審査に通らなかったという。
そうしたことを考えれば、佐々木も、来年は先発投手としてドジャースが期待している。それに佐々木はシーズン中に離脱することも多かったため、ドジャースとしては認めないのではないかというのである。
さらに大谷翔平である。前回は二刀流で大活躍し、世界一の原動力になった。しかし、そのままシーズンに突入し、序盤戦は好調だったが、夏場以降は疲労がたまり、8月には右肘の靱帯損傷が発覚して、手術ということになってしまった。
先の友成は、
「大谷も前回の反省を活かしてハードルの低い打者だけの出場、それも日本での1次ラウンドは回避して米国の決勝ラウンドのみとなる可能性が高いのではないか」
という。たしかに、前回はエンゼルスという球団にいて、大谷の意向を球団側は拒否できなかったが、今はドジャースという世界一の球団にいて、来シーズンは本格的な二刀流で活躍しようというのだから、大谷自身も前回同様とはいかないのだろうな。
ダルビッシュがいない、山本も出ない、大谷は打者のみ。まあ、それでもネトフリで楽しもうとは思っているが。
ところで、クマの被害のニュースを見ない日はない。北海道や東北のほうは大変だろうなと思っていたが、東京でもクマが出没しているというではないか。
私は、奥多摩あたりを散策するのが好きだが、この秋は行くのをためらっている。
私が、クマが怖いから行かないというのは非難されることではないだろうが、全国の警察を統括する国家公安委員長が、「クマが怖いから行かない」といったのでは、クマの出没で苦労している現場の警察官にしてみれば、「やれやれ」と思うだろうな。
文春によれば、10月23日、今回の人事で新しい国家公安委員長に任命された赤間二郎(57)は、警察庁の第四会議室で、
「警察としては地域住民の安全を確保することが重要だと認識しております」
と、クマ対策への意気込みを語ったという。
赤間は立教大ボクシング部出身で、プロテストに合格した経歴を持つという。
「議員会館内でも仕事の合間を縫って筋トレに励んでいる。会館の自室にはウォーターダンベルや腹筋マシーンなどを完備しています」(神奈川県連関係者)
彼は、神奈川県議を経て2005年の衆院選で初当選し、現在当選6回。高市政権誕生に貢献した麻生派に所属し、初入閣したそうだ。
「同じ神奈川県の小泉進次郎防衛相と親しく、名前にジローがつく議員を集めた『ジロー会』を結成。総裁選で進次郎氏を支持したが、麻生太郎副総裁が『前回入閣できなかったから今回は赤間で』とプッシュしてくれた」(政治部記者)
頭より身体の頑健さで掴み取った大臣の椅子のようだ。
しかしこの御仁、オフレコ会見で「トンデモ発言」をしたというのである。
記者から「大臣も(被害が多発している)東北への現場視察を検討しているんですか?」と問われ、赤間委員長は、こう軽口を叩いたというのだ。
「危ないから、自分は行かないよ」
軽口で済まされるはずはない。
「現場の警察官は110番通報を受ければ、クマ相手でも急行する。人的被害も相次ぐなか、警察を所管する大臣の『危ないから嫌だ』発言は『ちょっとマズいよね……』と警察庁職員や記者の間で話題になっていた」(政治部デスク)
高市政権がスタートしたばかりでなければ、国会で取り上げられ、下手をすれば首になったかもしれないほどの暴言である。
文春の電話取材に赤間はこう答えている。
――定例会見後に「クマは危ないから行かない」と。
「雑談で誰かが『現場に行くのか?』と言うから『俺は必要ないよ』と。余計なヤツがいたら危ねぇじゃねぇかって意味。言葉だけ取れば不適切と言われれば不適切になっちゃうかもね」
――現場の士気を下げかねない発言だったのでは。
「クマが出ているところに俺が行くのは、現場にも迷惑な話だと思うんだよね」
それとこれとは別の話ではないか。少なくとも、現場の警察官たちの士気を下げたことは間違いない。
さて、そのクマと人間の関係は「戦争状態」に入ったといっても過言ではないようだ。
クマとの戦いの最前線に立つハンターには、例年以上に負担がかかっているというが、ついには彼らが“ストライキ”を起こす騒動まで発生していると新潮が報じている。
北海道の日本海側に位置する積丹町では、クマの駆除でハンターが不当な扱いを受けたとして、猟友会が1カ月強も役場からの出動要請を拒否し続けているというのだ。
「この間、町内ではヒグマが小学校などに出没を続けていたが、役場はハンターに駆除を要請できていなかった。出動拒否の事実を、町は議会を通じて町民に説明していなかったことが発覚。解決に動かない役場へは爆破予告が来る始末で、今月1日からの町主催の文化祭が中止に追い込まれた」(新潮)
ことの発端は9月27日、積丹町議会で副議長を務める海田一時(74)が、ヒグマ駆除で出動した猟友会のハンターたちとトラブルを起こしたことだったという。
「あの日は、町から“海田副議長の自宅敷地内に設置された箱罠でヒグマが捕獲された。殺処分してほしい”との要請があったんです」(現場に立ち会った男性ハンター)
しかし、
「駆け付けたハンター9名に対して、副議長は“こんなに人数いらないだろ”と言ったんです。それならとわれわれの仲間の一人が“これからクマを殺処分して箱罠から引っ張り出しますから、一緒にやってみませんか?”と答えたわけです」
生け捕りにされたヒグマは、道内でも大物の部類で体重が284キロもあった。少ない人数で処理できないのは明らかだったが、それを理解できない副議長は言い返してきたという。
「彼は“誰にモノを言っているんだ”と激高して“議会の予算を削って辞めさせてやる”“大勢いるのは金がもらえるからだろう”などと怒鳴り始めました」(同)
しかし、ハンターたちは“暴言男”に付き合っている暇はなかった。
「目の前にいるヒグマは活発に動いていました。箱罠など簡単に破壊する力を持っているので仕留めるまでは時間との勝負。ハンターは銃刀法上、周囲に人がおらず跳弾の危険がないなど、安全が確保された環境でなければ発砲できません。“お願いですから下がって”と言っても、副議長は“俺を誰だと思っている”などと大声でわめいていた。なんとか離れてもらって、役場の職員さん指導の下で無事に発砲。仕留めることはできましたが……」(同)
もともとこの副議長は、以前からハンターに言いがかりをつけてくる存在だったという。
「もう何年も前から、彼は狩りの現場に勝手に現れては“お前らは下手くそだ”などと誹謗中傷を繰り返してきた。ずっとわれわれは嫌な思いをしていたわけです。これまでは町から要請があれば、仕事を中断して出動してきました。もともとハンターは忙しないので、会社をクビになると揶揄されるほど。特に今年は出番が多くて疲れ果てています。そもそも義務でもなければ仕事でもない。ボランティアとして協力してきたので、町にお金を要求したこともありません」(同)
地元テレビに暴言の有無を問われた副議長は、「俺は言っていない」などと主張しているが、ハンターたちからすれば問題の本質はそこではないという。
「今後も副議長が勝手に現場に現れるのなら、われわれは安全に活動できない。町が対策を講じてくれるまで、猟友会として協力を中断することにしたのです。報道されているように怒りに任せて『出動拒否』しているわけではありません」(同)
ある町議がこう話している。
「議場の控室で副議長本人は“俺は悪くない”と釈明していましたが、過去の議会で彼は“町外のハンターに予算が使われることは情けない”と言っていた。町のことは町でやるべきと考えていた節があるのですが、今年はヒグマの出没が多い。われわれはハンターさんに助けてもらわないといけない立場ですから、町民からも“早くなんとかして”という声が上がっています」
肩書を振り回してもクマ退治はできない。現場を混乱させ、ハンターたちのやる気をそぐことは厳に慎むべきである。
新潮によると、多くのハンターたちは手弁当に近いわずかなおカネしかもらっていないという。
北海道では1頭捕獲すると一人当たり5~6万払うところもあるが、秋田市では1頭1万円、日当だけなら8000円とバラツキがあるようだ。
それに、ライフル銃は一丁、ピンキリだが20万~40万、弾丸は1発750円前後、散弾だと1000円近くするというのだ。それにハンターは「狩猟税」を毎年秋に払っているという。
だが多くのハンターたちは「おカネの問題ではない」といっている。
それならば、特殊ヘルメットやジュラルミン製の盾など、自分の身を守る道具を配ってほしいという。当然の要求である。
では、今回、自衛隊の出動要請が自治体からあり、派遣されることになったが、自衛隊はクマとの戦争に勝てるのだろうか?
政治的なパフォーマンスに過ぎないという声も多いようだ。
それよりも、その分の予算を、ハンターたちの出勤手当拡大や若手育成、罠の捕獲状況をリアルタイムで知らせるIT機器などに振り向けた方がいいと、クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授はいう。
山内は、いつ何時起こるかわからない事態に対しては地元のハンターが一番動きやすいし、彼らの充実なしには現状が変わることはあり得ないとまでいうのだ。
たしかに、クマが現れたからといって、自衛隊員に「射殺命令」がすぐに出るはずはない。それに、民家がある場所で、住民を避難させ、警察と連携してという手続きを踏んでいるうちにクマは逃走してしまうはずだ。
地元のことは地元に任せろ。政治は、そういう人たちが動きやすいようにバックアップする。自衛隊が大挙して押しかけたところで、クマは怖がりはしないのだから。
さて、お次はドンキの創業者が、小泉進次郎のカミさんの滝川クリステルと親しい人間を35億円の詐欺で刑事告発したという文春の記事。
だが、よく読んでも、よくわからない記事である。
文春によれば、事のあらましはこうだ。
安田隆夫(76)は「ドン・キホーテ」を創業し、一代で売上2兆円の巨大企業を築いた小売界の帝王。
「驚安の殿堂ドン・キホーテ」の多くの店舗には、店頭に巨大なアクアリウムが設置されているという。水槽内を泳ぐのは、日本の南、約3000キロに位置するパラオ共和国で採取されたトロピカルフィッシュだそうである。
安田はパラオに魅入られたという。
「私がパラオの海に潜って生きたまま採取し、パッキングして飛行機で運んだものです。日本の人々に、自然の尊さや生態系の素晴らしさを肌で感じてほしい。そんな願いのもと、パラオ政府とパラオ水族館の協力を得て、こうした活動を10年以上続けてきました」
そんな安田が、個人資産を用いてパラオ・コーラルクラブ・カンパニー(PCCL)を設立し、パラオでのホテル建設を進めてきたそうだ。
だが悲願は、ある人物の登場により暗礁に乗り上げたばかりか、30億円超の損失を生んだという。今年4月、安田はその人物を詐欺容疑でパラオの司法省に刑事告訴。捜査当局によって作成された6月4日付の書面には、こう記されているという。
〈パラオ共和国の関連法規および手続きに従い、犯罪捜査課は正式にこの刑事告訴を受理し、事件の調査を開始しました〉
安田に刑事告訴されたのは、シンガポール人実業家のケン・チャン・チェン・ウェイ(58)。小泉進次郎防衛相(44)の妻、滝川クリステル(48)を物心ともに支えるビジネスパートナーであるというのである。
「私が彼と知り合ったのは今から15年以上前、彼がGICにいた頃のことです。国内の不動産事情にも明るいし、人懐っこくて面白い男だなと思った。その後、年2、3回会って親しく話をする間柄になりました」(安田)
そんなこともあって、
「私はパラオと渋谷とで2軒のホテルを建設する計画を立てた。ホテル業界に精通するケンに相談したところ『私とコンサルタント契約を結びましょう』と言われました」(同)
ここまではよかったのだが……。安田側はケン・チャンが率いるPCGの日本法人と業務委託契約を締結。ケン・チャン側は、安田が進める「ホテルインディゴ東京渋谷」と、PCCLが進めるパラオのホテル建設プロジェクトを合わせ、月額900万円のコンサル料を受け取ることになったそうだ。
「その後、安田氏はケン・チャン氏から、Skystone社の担当者として、ディレクターのS氏を紹介された。そして、モジュールのモックアップ(サンプル品)の製造などは、S氏が代表を務めるSkystone International社に一任することになった。
有名ホテルに関わった実績のあるSkystone社ときわめて類似した社名であることから、安田氏も何の疑いも抱かなかった。しかし、徐々に暗雲が垂れ込め始める。
業務委託締結から三年十カ月が経った、昨年六月。タイの工場で製造された五十六基のモジュールが、ようやくパラオの工事現場に届いた。だが、現地から送られたレポートを目にした安田氏は驚愕した。客室の天井部分が剥がれ、断熱材があふれ出ている。基礎部分の多くが歪み、床板も変形していたのだ」(文春)
さらに、Skystone International社は、マリオットを手掛けた米国のSkystone社とは全くの別物だったというのだ。
被害総額は35億円にも及ぶというのである。このプロジェクトは頓挫してしまった。
そして今年の4月、実際に詐欺容疑でパラオの司法省に刑事告訴したのだ。
「彼から金を取り戻すのは諦めています。しかし、彼の所業を放置したままでは死ぬに死ねない。被害に遭う人を最小限に食い止めなければと考えたのです」(安田)
ケン・チャンは文春に対してこう答えている。
――安田会長から刑事告訴されている。事情聴取に応じるのか。
「呼び出し状は受け取っていませんが、事情聴取に呼ばれれば喜んで応じます」
――Skystone International社はケン・チャン氏あるいはPCGの関連会社か。
「資本関係は一切ない。PMODマレーシアに社名変更した際に初めて資本投入した。米国のSkystone社の代表者がコロナ禍で破産したため、S氏がモジュール製造事業を継続できるよう、支援する目的だった」
自分に非はないと主張している。
ケン・チャンは小泉進次郎防衛相(44)の妻、滝川クリステル(48)を物心ともに支えるビジネスパートナーだそうである。
「その滝川が力を入れているのが動物愛護だ。結婚前の二〇一四年五月には、犬猫の殺処分ゼロなどを掲げる一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルを設立した。この財団を通じて、滝川を陰に陽に支援してきたのがケン・チャン氏なのだ」(文春)
だが、今回の件に滝川が何ら関与しているわけではない。このケン・チャンという人物、希代の詐欺師なのか、それとも? なんともモヤモヤした記事ではある。
お次は現代から。
医者が消えた町で人は生きられるのか? 切実なテーマである。
秋田県鹿角市は、昔、日本最古の銅山があって活況を呈し、人口も最盛期にはおよそ6万人いたという。それが今は約2万6000人にまで減り、そのうちの4割超が65歳以上だそうだ。
市内で最大の病院が病床数が161床ある「かづの厚生病院」で、JA秋田厚生連が運営している地域唯一の総合病院だそうだ。
ところが、入り口にはこんな張り紙があるという。
「消化器内科よりお知らせ 医師不在のため休診」「整形外科よりお知らせ 医師不在のため休診」「整形外科よりお知らせ 医師不在のため休診」「脳神経外科の診療体制縮小についてのお知らせ」「病状の安定している患者さんで、担当医が可能と判断した方に、他院への通院をお勧めすることがあります」「予約数が診療可能枠を超過しており、待ち時間の延長や重症患者様の診療遅延に繋がる事態となっております」
2010年に新築されたという広い院内はがらんとして、数人の患者しか見当たらないという。
息子に付き添われて来た80代の女性患者は、
「この病院は、建物は立派なのに、どういう訳か、すぐに先生が代わっちゃうのよ。診察がお休みの日も、ものすごく増えていて心配です」
と語る。
常勤医師がいなくて、秋田市や隣の岩手県などにある大学病院の非常勤医師が診ている診療科も少なくない。
SNS上では、「ここでの入院治療は生命に大きな危険があります。医療ミスも無視、スタッフとの連携もままならず、信頼できるものではありません」というような書き込みもあるという。
今年9月。同病院で赤字が続いていること、今年度と来年度の赤字が3億円を超えることを受けて市が経営見直しに着手すると明らかにしたそうだ。
市民はこれから3年間のうちに、赤字を税金で補填するか、市に経営を引き継がせるかの決断を迫られるという。
しかし、いくら赤字になろうとも、市民の健康を守るためには、病院を存続させ、医師を確保することこそ、市政のやるべきことではないか。3億円程度の赤字でおたおたするなといいたいのだが……。
この国では、2000年に81件だった医療機関の休業、廃業、解散が、昨年には全国で722件と過去最高になったという。
高齢化率が6割に達する「日本有数の高齢自治体」として知られる秋田県の上小阿仁村は人口約1800人。
村で唯一の医療機関で、医師の失踪が度々あり話題になっている。
診療所には2004年まで弘前大学医学部から若い研修医が派遣されて来ていたが、医師側の希望を重視して研修先を選ぶという制度改革が行われ、派遣がストップした。
それからは、医師がやってきてはあっという間に退職するようになってしまった。村人がいじめているのでないかと報じられたこともあったという。
その村で80代の女性がこう語っている。
「ここに来るのは、クスリをもらうときか、コロナワクチンを打ってもらうときくらい。息子がいるときは、隣町の市民病院まで車で連れて行ってもらっているけど、急病になったり、転んで骨でも折ったら、お手上げだねえ。
この診療所は、言っちゃ悪いけど、あまり信用できないよ。先生は年寄りだし、休みも多いから。いじめる? 知らないね」
その中で、地方の医療崩壊を食い止めようとしている鹿児島県南九州市に本拠を置く松岡救急クリニックは、他県にも展開して、「24時間365日、どんな救急でも断らない」という方針を掲げているそうだ。
松岡良典理事長はおよそ4年前に4億円の借金を背負って開業したという。こういう人間が出てこないと、地方の医療崩壊は止められないのか? こういうことこそ、国が、自治体が、真剣に取り組むべきことではないのか? 高市総理、どうする?
