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大谷翔平、バリー・ボンズ以来の快挙! 史上2人目の“3年連続MVP”に──山本由伸も1年目でサイ・ヤング賞3位の快挙

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大谷翔平、バリー・ボンズ以来の快挙! 史上2人目の“3年連続MVP”に──山本由伸も1年目でサイ・ヤング賞3位の快挙の画像1
大谷翔平と山本由伸の活躍でしばらくドジャースは日本びいきになるだろう。(写真:Getty Imagesより)

 メジャーリーグの年間表彰で、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が3年連続・通算4度目のMVPに輝いた。

日本でもワールドシリーズが盛り上がる理由

 3年連続受賞はバリー・ボンズ以来(2001〜2004年)となる超異例の快挙で、通算4度目はMLB史上ボンズに次ぐMLB歴代2位になり、“殿堂級”の領域に到達した。一方、ワールドシリーズMVPに輝いた山本由伸はナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で3位。

 日本人二大エースが同一球団で同年同時に個人タイトル上位を占める歴史的シーズンとなった。

 “歴史に並び歴史を越え始めた”3年連続MVP

 今季の大谷は、右肘手術明けで投手としての登板が制限されていたものの、打者として異次元の破壊力を示した。

 打率.282(リーグ13位)、55本塁打(リーグ2位)、102打点(リーグ6位)、146得点(リーグ1位)、OPS1.014(リーグ1位)……。大谷の長打力と選球眼のバランスは、今年ついに「傑出した一流」から「歴史的な選手」へ進化した。

 さらに47回2/3を投げて防御率2.87と、投手としてもシーズン終盤に復帰し“二刀流”の総合価値を示した。これらの合算された価値が、3年連続となるMVP評価の土台となった。

 投手としての登板が制限されたにも関わらず、圧倒的な数値で MVPに選ばれたことは、ある意味で二刀流の本質を示している。

「投げていない期間も、彼はMVP級の価値を出せる」

 これは、これまで投打両面の評価が絡まり合っていた大谷にとって、むしろ新しい証明となった。

 そして来季は完全なる二刀流復帰だ。“打撃MVP+エース級投球” という怪物的な存在が完全復活する。3年連続4度目のMVPは、まさに時代の象徴。ボンズ以来、現代MLBでは“再現不可能”とされていた領域に、大谷が到達した形だ。

サイ・ヤング賞3位! “適応力”がリーグ最高クラス

 山本由伸の投票結果は3位。全30票中29票で名前が記され、3位票16、4位票11、5位票2、合計72ポイントを獲得した。受賞はパイレーツのポール・スキーンズが全会一致、2位はフィリーズのクリストファー・サンチェスが全会一致の2位票で固め、山本はその背後に続いた。メジャー2年目にして球界上位の投手評価を確立した格好だ。

 12勝(リーグ13位)、WHIP0.990(リーグ3位)、防御率2.49(リーグ2位)、奪三振201(リーグ7位)ドジャース投手陣は故障や離脱が相次いだが、山本だけは一度も崩れない“柱”として存在し続けた。

 防御率、抜群の制球力や対応力、三振能力の三拍子。スキーンズの歴史的支配力と満票獲得や、サンチェスの“全2位票”という特殊事情がなければ、さらに上位も狙えた内容だった。

 また、ポストシーズンでは短期決戦特有の起用が続き、ついには 中0日での登板という異例のマネジメントを託されるまでになった。これは単なる“根性論”ではない。球団が山本を 「最もバランスよく勝てる投手」 として見ている証拠だ。

 2年目でサイ・ヤング賞3位……。これは“エース候補”ではなく、「すでにエースである」という評価を受け始めたと言っていい。

MVP とサイ・ヤング級が揃う“史上稀なチーム”

 近年圧倒的な大谷翔平とサイ・ヤング級の山本由伸。ふたりの“日本人スター”が、MVP級とサイ・ヤング級の成績を同時に残すという構造は、MLBでも極めて異例だ。

 だが、“MVPとサイ・ヤング”が同じ日本人選手という事例は前代未聞。これはドジャースが2024年オフに描いた“勝利のロードマップ”が、想像以上の速度で結実している証でもある。

 もしかすると来年は「MVP+サイ・ヤング」という、野球史でも異例のローテーションになるかもしれない。

 しかし、これは“序章”にすぎない。大谷翔平は、ボンズに並ぶ歴史的偉業を成し遂げた。山本由伸は、メジャー2年目にしてサイ・ヤング賞3位という離れ業をやってのけた。このふたりが同じチームでプレーし、同じタイミングで“歴史の扉”をこじ開けている現実。

 そして来季、大谷は二刀流復活、山本は完全適応。ふたりのピークが重なるタイミングは、まだ先にある。

 2020年代後半「日本人スターがMLBの中心を担う時代」 が訪れる……。その未来は、もう“予測”ではなく“現実”に近づいている。

山本由伸の完璧

(文=ゴジキ)

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ゴジキ

野球著作家・評論家。これまでに『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『甲子園強豪校の監督術』(小学館クリエイティブ)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブン、日刊SPA!、プレジデントオンラインなどメディアの寄稿・取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。

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ゴジキ
最終更新:2025/11/16 22:00