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『トイ・ストーリー4』賛否が割れた結末とディズニーが進める「IPビジネス」の行方

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映画『トイ・ストーリー4』[Blu-ray]

 おもちゃたちの友情と冒険を描き、世界中で大ヒットした『トイ・ストーリー』(1995年)。シリーズ第1作の公開から30年以上が経ちましたが、今なお多くの人に愛され続けています。

『トイ・ストーリー3』はなぜ泣けるのか?

 4週連続で放送してきた『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、7月3日(金)にシリーズ第4弾『トイ・ストーリー4』(2019年)を本編ノーカットでオンエアします。

 先週放送の『トイ・ストーリー3』(2010年)が感動のエンディングだっただけに、『トイ4』には厳しい声も多いようです。『トイ3』で美しく完結したはずなのに、シリーズが続行されることになったハリウッドの内情について探ってみましょう。

新しい持ち主の「お気に入り」になれないウッディ

 人間の少年・アンディの持ち物だった保安官人形のウッディ(CV:唐沢寿明)たちおもちゃは、『トイ3』のラストで近所で暮らす女の子ボニーに譲られます。ボニーと一緒に遊ぶことを楽しみにしていたウッディですが、ボニーは女の子ということもあり、男の子のアンディのように「いちばんのお気に入り」としては扱ってくれません。それでも、新しい持ち主であるボニーへの忠誠心を守り続けるウッディでした。

 ボニーが初めて幼稚園に行くことになり、心配になったウッディはこっそりとバッグに忍び込みます。幼稚園でなかなか友達を作ることができずにいるボニーでしたが、ウッディのアシストもあって、先割れスプーンやモールなどをもとに手作り人形のフォーキー(CV:竜星涼)を生み出します。初めて自分で作ったフォーキーに、ボニーは大喜びします。

 ところが廃材を組み合わせたフォーキーは、自分をゴミだと思い込み、すぐにゴミ箱へと飛び込みます。ウッディは目を離すことができません。

 そんな折、ボニーたち一家はキャンピングカーでお泊まり旅行へと出かけます。ウッディやフォーキーたちも、お供することに。案の定、フォーキーは車から飛び降り、ウッディが追いかけるはめに。そして、思いがけない相手と遭遇するのでした。

自己肯定感の低い新キャラ「フォーキー」

 フォーキーが「かわいくない」と感じる人も多いんじゃないでしょうか。廃材をもとに幼稚園児のボニーがチャチャッと作ったキャラなので、ボニー以外には「かわいくない」と映っても不思議ではありません。

 フォーキーは「自己肯定感」が低く、すぐにゴミ箱に飛び込みたがります。自分は何のために生まれ、生きていくのか? 新キャラクターのフォーキーは、不安定な時代を生きる新世代を象徴したような存在です。

 それまで「ピクサー」で中心的な役割を果たし、『トイ・ストーリー』や『トイ・ストーリー2』(1999年)を手がけたジョン・ラセター監督は、2018年にピクサーを去りました。良くも悪くも「ピクサー」が新時代へ移行したことを感じさせるキャラだと言えるでしょう。

 悪役として登場するおしゃべり人形のギャビーギャビー(CV:新木優子)は、フォーキーを温かく迎え入れます。見た目はかわいいギャビーギャビーですが、おしゃべり回路が故障しているという深いコンプレックスを抱えています。

 子どもたちに愛してもらえない悲しみを知るギャビーギャビーだけに、自己肯定感の低いフォーキーとは親しくできるようです。

 二面性のあるギャビーギャビーがどんな運命を受け入れるのかが、『トイ4』の大きな見どころとなっています。

終わってしまった友情と絆の物語

 バイク乗り人形のデューク・カブーン(CV:森川智之)など魅力的な新しいおもちゃが登場する『トイ4』ですが、ラストシーンでウッディが下す決断は、このシリーズを観てきたファンの間では大きく意見が割れることになりました。

 これまでのシリーズでは保安官人形のウッディと新しく仲間になったアクションフィギュアのバズ(CV:所ジョージ)との友情、そして持ち主であるアンディとの絆が描かれてきたわけです。いつまでも、ずっと続く友情と絆にファンは心地よさを感じてきたのです。

 しかし、前作『トイ3』でアンディは大人の世界へと旅立ち、ウッディたちとの別れを済ませています。ウッディとアンディの絆の物語はすでに終わっており、『トイ4』はまったく新しい物語となっています。

 新しい持ち主のボニーは、フォーキーに夢中でウッディを必要とはしていません。ボニーの部屋で、他のおもちゃたちのサポートに回ることも可能です。そうすれば、バズたちとはずっと一緒に過ごすことができます。しかし、西部開拓時代のカウボーイという設定のウッディは、新しい冒険に向かうことを選択するのでした。

 本当の自由を求めてウッディが旅立つ姿は、人権意識が高く、個人の自由を尊重する米国ならではのストーリーだなと思わせます。

変わってしまったハリウッドの構造

 三部作で美しく完結したはずの「トイ・ストーリー」シリーズが、さらに続編が続いたのには、ハリウッドの内情も大きく関係しています。近年のハリウッドは製作費が100億円を超えるのはザラで、200億円を超える超大作もあります。製作予算が異常なほどに膨れ上がっています。

 かつてのハリウッドは敏腕プロデューサーが会社のトップに就くことが多かったのですが、現在のハリウッドは映画製作だけでなく、テレビ局やアミューズメントパークの運営、インターネットなどの配信事業ほか、多角的な経営手腕が求められています。

 面白い映画をつくり、映画館に人を呼べばいいという時代は、終わってしまったのです。

 そんな現代ハリウッドの経営者像を象徴する存在が、ディズニー社のロバート・アイガーCEOです。米国の大手テレビ局「ABC」のトップだった彼は、2005年にディズニー社のCEOになると「ピクサー」を皮切りに、「マーベル・スタジオ」「ルーカスフィルム」「21世紀フォックス」を次々と買収します。

 はっきり言って、今のディズニー社はアニメ映画を製作する老舗スタジオではなく、多くのキャラクターや世界観を自社で所有することでIP(知的財産)ビジネスを展開する巨大企業へと変貌しています。

 映画はもはや単体のコンテンツではなく、人気キャラクターや世界観を売り出していくためのプラットフォームという位置づけになっています。売り上げを継続して伸ばしていくためには、新しいキャラを次々と登場させる形で、人気シリーズを続行させていく必要があったわけです。

ファンが望むウッディたちの結末

 日本でもおもちゃ会社の意向が強く影響する形で、巨大ロボットアニメがテレビ放映されていた時代が長く続きました。「週刊少年ジャンプ」(集英社)などの商業誌では、読者人気がある限り、『北斗の拳』や『ドラゴンボール』などの漫画連載が続きました。ビジネス主導で作品が製作されることは、全否定はできません。とはいえ、今のハリウッドは「IPビジネス」が主流化し、シリーズものばかりとなっています。

 新人監督やオリジナルの新作映画は『オブセッション 災愛』(7月17日公開)や『バックルームズ』(9月4日公開)といった低予算のホラー映画にほぼ限定されているというのが、ハリウッドの現状ではないでしょうか。

 最新作『トイ・ストーリー5』が米国で興行的な成功を収めていることもあって、さらにシリーズは続くでしょう。そこで多くのファンが待ち望んでいるのは、アンディが結婚して子どもが生まれ、ウッディやバズたちが再びアンディのもとへ帰ってくるというグランドフィナーレです。

 しかし、そこまで映画というメディアが生き残り、映画館で上映されるという形態が維持されるかどうかは分かりません。

 ウッディやバズたちだけでなく、私たちもまた「無限の彼方へ」と向かう旅の途中なのかもしれません。

『トイ・ストーリー2』の見逃せない伏線

(文=映画ゾンビ・バブ)

映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ(映画ウォッチャー)。映画館やレンタルビデオ店の処分DVDコーナーを徘徊する映画依存症のアンデッド。

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最終更新:2026/07/03 12:00