重厚長大なディズニーにニッチなソニー…アニメ戦略で見る4大映画スタジオ

――実写映画の興行リスクが跳ね上がり、世界的なエンタメの主戦場は「IP(知的財産)ビジネス」へと移行する中で、アニメーション映画は大きな稼ぎ頭となっている。ディズニー、ユニバーサル、ソニー、パラマウント&ワーナーという〝世界4大映画スタジオ〟の今を、それぞれのアニメ戦略から読み解く。
かつてハリウッドのドル箱といえば、巨額の制作費を投じた実写のアクション大作やヒーロー映画だった。しかし現在、世界の映画ビジネスを分析する上で、最も注視すべきは「アニメーション戦略」だろう。世界で約13億ドルの興行収入を叩き出した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や、中国国内の売り上げだけで驚異的な記録を打ち立てた『ナタ2』など、映画興行収入ランキングの上位にアニメーション作品が並ぶのは今や日常の光景だ。
そして、今夏もユニバーサル(イルミネーション)の『ミニオンズ&モンスターズ』や、ディズニー(ピクサー)の『トイ・ストーリー5』といった世界的な超大作の公開が控えており、映画ビジネスの行く末はアニメが握っていると言っても過言ではない。
映像業界向けのビジネスメディア「Branc」の編集長・杉本穂高氏は「IPの重要性はもはや言うまでもなく、今年5月にカンヌ国際映画祭で行われた講演において、ソニー・ピクチャーズのプレジデントは『今、IPではない作品を劇場展開するのは極めて困難である』という趣旨の発言をしていました。IPを育て、複層的に展開していくという点では、実写よりもアニメーションのほうが有利だと思われるため、各映画スタジオがアニメーション作品に注力せざるを得なくなっています」と話す。
現代の映画興行において、ゼロからオリジナルの実写映画をヒットさせるハードルは絶望的なまでに高い。一方で、アニメーションはキャラクターグッズやゲーム、テーマパーク展開など、多角的なメディアミックスへの水平展開が比較的容易で、一度確立したIPは長年にわたり複層的な収益を生み出し続ける。
こうした中で、ハリウッドを中心とする映画界は従来のメジャーから、実質的な「4大映画スタジオ」による覇権争いが起こっている。アニメ界の絶対王者として君臨するディズニー・ピクサー、「ミニオンズ」シリーズやマリオ映画で快進撃を続けるユニバーサル、日本産アニメを世界へと送り出すソニー・ピクチャーズ、そして、今年パラマウントが電撃買収を果たしたワーナー・ブラザースだ。
本稿では、これら4大映画スタジオのアニメーション戦略を俯瞰し、映画産業の行方を見通していく。
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