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「低い声への壁を壊してくれた」— Ethereal Sin/Yamaが語る、Gargoyle KIBAへのリスペクト

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KIBA (Gargoyle) x Yama (Ethereal Sin/Rakshasa/Thyende)
KIBA (Gargoyle) x Yama (Ethereal Sin/Rakshasa/Thyende) 撮影=石川真魚
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 メタルにおける「声」の在り方を、Gargoyle・KIBAの歌が変えたと語るミュージシャンは少なくない。Ethereal Sinのフロントマン・Yamaもその一人だ。ハイトーンボーカルを絶対視していた高校生の耳に飛び込んできた、低く重厚でありながらメロディックなKIBAの歌声。そこにはさらに、洋楽メタルだけを聴いてきた耳には新鮮だった「和」の感覚があった。

 YamaはGargoyleから受けた影響を自らの音楽性――そして今はイベントプロモーターとしての哲学にも昇華させている。ジャンルの壁を越えて対バンを組む理由、「アウェイ」のステージにこそ意味を見出す姿勢について、二人が語り合った。

――YamaさんがGargoyleを知ったきっかけから聞かせてください。

Yama:私がメタルの世界に入ったのは中学3年生のときで、最初に聴いたのがHELLOWEENでした。洋楽から入ったので、しばらくはそっちばかり聴いていて、日本のバンドはほとんど知らなかったんです。

そして、高校生の頃、地元の友人からGargoyleを教えてもらいました。『天論』が出た少し後だったと思います。最初に渡されたのは音源ではなくて、たしか「月下濫觴」の映像が入ったビデオでした。

それまで私はハイトーンボーカル至上主義みたいなところがあって、低い声のボーカルは苦手だったんです。でもKIBAさんの歌を聴いて、低い声でもこんなにメロディックで、勢いがあるんだと衝撃を受けました。

もう一つ大きかったのが、音楽の中にある「和」の要素です。それまで聴いてきた洋楽メタルにはない感覚なので、一気にのめり込みましたね。

――Yamaさん自身の音楽にも、その影響は残っていますか。

Yama:ええ、確実に残っています。今のボーカルスタイルはデスメタルやブラックメタルからの影響が強いので、KIBAさんと同じ歌い方ではありません。ただ、「低い声もメタルとして格好いい」と最初に思わせてくれたのがGargoyleでした。

 あれがなければ、今でもハイトーンボーカルだけを神格化していたかもしれません。低い声に対する壁を壊してくれたという意味では、私の音楽性そのものに影響しています。

 Ethereal Sinのコンセプトテーマを変更するタイミングでも、ずっと「いつか和を取り入れたいなぁ」という気持ちがありました。別でやっているRakshasaも含めて、僕が和の世界観に惹かれる根源には、間違いなくGargoyleがありますね。

KIBA:ありがとう(笑)

Yama x KIBA
Yama x KIBA

――KIBAさんと初めて会ったのは、いつ頃だったのでしょう。

Yama:『月の棘』が出た直後の大阪のサイン会ですね。ビルの一室に30人か40人くらい集まっていたと思いますが、男性は私と、Gargoyleを教えてくれた友人の二人くらいしか見当たらなくて・・・。

 当時、友人とGargoyleのコピーもやっていたので、KIBAさんに「曲をコピーしています」と話したんです。そうしたら、「ほんまか。映像は撮ってへんのか」と聞かれて。

「撮っていません」と答えたら、「今度ライブをやるときは絶対に撮れ」と言われましたね。会場から退出する時も、KIBAさんがわざわざ立ち上がって「絶対送れよ。忘れるなよ!」と声をかけてくれたのを覚えてます(笑)

KIBA:コピーしていると言ってもらえたら、やっぱり見たいでしょ。映像を送ってもらった場合は、メンバーで見ながら「このギター、うまいやん」とか、みんなで言ったりしてましたよ。

――自分たちの曲をコピーされるのは、やはりうれしいものですか。

KIBA:それはうれしいです。誰かが自分たちの曲を選んで、一生懸命演奏してくれているわけだし。バンドやってて、うれしくない人はいないでしょ。

Yama:私はもともとギターボーカルだったんです。でもGargoyleを見て、「ピンボーカルという形もありだな~」と思いました。振り返ると、自分が思っていた以上にいろいろな影響を受けていますね。

――韓国でGargoyleとEthereal Sinが同じイベントに出演しました。現地の反応はいかがでしたか。

Yama:事前に韓国の関係者からは、「申し訳ないけれど、Gargoyleは韓国ではほとんど知られていない」と言われていました。

 でも私は、知名度がなくても音楽的には絶対に刺さるだろうと思っていたんです。韓国のメタルファンは、メロディックなスラッシュメタルを好む人も多いので、Gargoyleの音楽性なら、先入観なしでも届くだろうと。

 実際、お客さんが一緒になって盛り上がっているのを見て、本当に実現できて良かったと思いました。私自身も最前列の輪の中に入っていたので、あまり客観的には見られていないんですけど(笑)

KIBA:楽しんでもらえているのは、ステージに立っていてもすごく伝わりました。

 韓国や、以前よくライブをしていた沖縄で海外の方を前にしたときにも感じたんですが、「このイベントに遊びに来た」という空気が強いんですよね。

 日本だと、自分が好きなバンドを応援する、あるいは目の前のバンドが好みかどうかを見極めるみたいな楽しみ方とかをする人も多いと思います。それが良いとか、悪いとかじゃなくて。

 ただ、海外のお客さんは、知らないバンドも含めて、その場に遊びに来てたり、全体を楽しみに来ているのかなって感覚があります。

Yama:海外では、イベント全体をフェスティバルとして楽しむ文化が根付いています。10組、20組と出演する中で目当てのバンドはあっても、それ以外を見ないわけではない。知らないバンドでも、とりあえず見てみる。

 小さな街にもステージを併設したバーがあって、地元のお客さんが仕事帰りに酒を飲みながら、「今日はどんなバンドが出ているんだろう」とライブを見る。面白ければ、知らないバンドでもその場でグッズを買ったり。そういう文化があります。

 日本ではイベント全体よりも、特定のバンドやメンバーを目当てにする傾向が若干強い気がしますね。目当てのバンドが終わったら帰る人もいます。そういった文化の違いは大きいと思います。

――KIBAさんは、どのような基準で対バン相手を選んできたのでしょうか。

KIBA
KIBA

KIBA:自分たちでイベントを組む時は、単純に面白いかどうかです。

「この人と一緒にやったら、全部持っていかれるんじゃないかな」と思うような相手とやっていたいんです。「これはやばいぞ」「負けてゼロになるかもしれない」と思える人とやるのが好きですね。

――音楽的なジャンルが近いかどうかは、関係ありませんか。

KIBA:関係ないです。大事なのは、ライブする力が高いかどうかです。

 全然違うジャンルのバンドと一緒にやっても、そこから新しい音楽を聴くようになる人はいるでしょ。来てる人はみんな、ライブや音楽自体は好きなんだし。Gargoyleをきっかけに別のバンドを知って、そのバンドからまた別の音楽へ進んでいく。そういうことはよくあると思うし、逆もだけど。

――出演者同士のジャンルが離れすぎると、観客の反応が悪くなる可能性もあります。

KIBA:プロモーターとかなら、親和性を考えなければいけないんだろうなって。でも、僕は出演するボーカリストだから、どんなとこだろうとやれなかったのなら、それは自分の責任って思う。

 仮にアイドルのイベントへ出たとしても、そこでお客さんを振り向かせられなかったら、自分の力が足りなかったって感じると思うし。

Yama:私も演者としては、アウェイの方が面白いと思います。興味を持っていない人を、どれだけこちらへ向かせられるか。そこにはバンドやフロントマンの力量が出ますもんね。

 ただ、プロモーターとして考えると、あまりにも客層が離れすぎている組み合わせにはリスクがあります。実際、過去にはお客さんが好みではない出演者に失礼な態度を取り、演者に悪い印象を与えてしまったこともありました。

 演者として挑戦したい気持ちと、イベント全体を成立させなければならない立場は、時々矛盾しますね。

――YamaさんはEVPで海外バンドの招聘やイベント制作を行っています。出演者を組むときは、どのようなことを意識していますか。

Yama
Yama

Yama:有名な海外バンドをヘッドライナーとして呼んだとき、そのバンドだけを目当てに来るお客さんは多いと思います。だからこそ、少し近いジャンルの、まだ日本で知られていない海外バンドをサポートに加えたい。

 さらに、日本のバンドもオープニングアクトとして入れたい。海外のバンドが好きな人に日本のバンドを知ってもらい、日本のバンドのファンには海外の音楽を知ってもらう。そういう構成を心掛けています。

 制作側にとっては、出演バンド数が増えると、クルーの拘束時間やコストも増える。とはいえ、それによってチケットが大幅に売れるわけでもありません。それでも、自分のポリシーとして続けています。

 逆に言えば、券売を増やすためだけに、有名な日本のバンドを入れるという考え方には、あまり興味がありません。

 たとえばGargoyleに出演してもらうとしたら、海外バンドのファンに「日本にはこんなすごいバンドがいる」と紹介したい。逆にGargoyleのファンにも、「海外にはこんな面白いバンドがいる」と知ってもらいたい。

 ドンピシャのジャンルでなくても、そこで新しい接点や興味が生まれたら、それはイベントとして成功だと思います。

KIBA:Yamaさん自身、低い声で歌う僕を聴いて、それまでとは違う音楽に興味を持ったわけだし。

Yama:まさにそういうことですね。
(文・構成=編集部 写真=石川真魚)

※後編へ続く

サイゾーオンライン編集部 

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最終更新:2026/08/12 16:00