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マイケル・ジャクソンの子どもたちの試練 ヘロイン中毒に骨肉の争い…

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Michael Jackson(写真:Getty Imagesより)

 「キング・オブ・ポップ」と呼ばれた大物歌手マイケル・ジャクソンの長女パリス・ジャクソン(26)がヘロイン中毒とアルコール依存症になっていたことを明かした。この5年間、治療に努め、ドラッグと酒のない生活を送ることができたという。2009年6月に死亡したマイケル・ジャクソンには3人の子どもがいるが、3人には莫大な遺産を引き継ぐという使命と常に「監視の目」にさらされるという重圧がのしかかり、華々しく羽ばたけないでいる。

パリスは薬物と酒を克服したと公表 ウイスキー飲むかつての姿もアップ

 マイケル・ジャクソンには妻だった皮膚科の看護師、デビー・ロウ(66)との間に生まれたプリンス・ジャクソン(27)とパリス、代理母との人工授精で生まれたブランケット(22)の3人の子どもがいる。

 パリスは唯一の娘だ。モデルや俳優、歌手として活動をしているが、1月7日、インスタグラムの自身のアカウントに動画などを投稿し、ヘロイン中毒だったことなどを告白した。

「私はアルコール依存症であり、ヘロイン中毒者だ。あらゆる薬物とアルコールを断って今日で5年を迎える。感謝していると話すのは下手な婉曲表現になるだろう。感謝の気持ちは表面的なものではない。今日、笑っていられるのは私がしらふだからだ」

 動画は、かつての自堕落な生活をしていたころのパリスの目元のアップから始まる。たばこをくわえ、ウイスキーのボトルを握っている。ウイスキーをボトルから直接飲んでいる姿が盛り込まれている。その後、健康を取り戻してゆく様子が描かれ、ボルダリングに打ち込み、愛犬との時間を過ごしているシーンのほかに、一定期間酒を断ったことの証明である「禁酒バッジ」も映されている。

「音楽を作り、イヌやネコを愛することを実感し、悲しみ、笑い、踊り、信頼することができるようになった。肌に太陽の光の暖かさを感じた。薬物とアルコールを断っているかどうかにかかわらず人生は続くが、今日、私はそれに立ち向かうことができる」

 パリスは、生まれた翌年に両親が離婚した。兄弟とともに父マイケルが親権を得て、カリフォルニア州サンタバーバラの大豪邸「ネバーランド・ランチ」で育てられ、プライベート教師によって教育を受けた。マイケルは子どもたちが社会の目にさらされるのをきらい、3人が公に場に登場する際は、マスクや布で顔を隠されていることが多かった。

父の死後に体重増えたのがきっかけ 自殺未遂を何度も

 父の死後、学校に通うようになり、2011年に子ども向けのファンタジー映画で俳優デビューした。2017年には大手モデル事務所と契約し、モデル業を本格的にスタートさせた。雑誌「ローリング・ストーン」の表紙を飾り、ファッションブランド「カルバン・クライン」の「顔」にも起用された。

 しかし、そのころから生活は乱れた。2017年には「ローリング・ストーン」のインタビューに、腕などに多数刻んだタトゥーについて、薬物使用と自傷行為による痕跡を隠すためのものだと話している。

 精神的な異変は父マイケルの死後、すぐに始まった。マイケルが亡くなってから体重が増え、「自傷行為に陥った」と2020年に明らかにしている。感情の起伏を抑えるために抗うつ剤を常用したという。

 自殺未遂は何度も繰り返していたことも明らかにしており、ユタ州にあるセラピー施設にも入所していた。

 薬物中毒、アルコール依存症からの脱却にひとまず成功したパリスは2024年12月、バンド仲間との婚約を発表した。今回のインスタグラムでの動画にも、キスをするなど仲が良い様子が映っている。

慈善活動に打ち込むプリンス 珍しく父について語る

 パリスの兄プリンスは2013年に俳優デビュー。テレビドラマシリーズに出演し話題となった。その後、音楽プロデューサー、YouTuberのキャリアを積んでいるが、現在はロサンゼルスの子どもや若者をサポートする活動に力を入れている。

 「偉大な父」といかに距離を置くかということに腐心しているといわれるが、2024年12月、慈善イベントに出席した際、AP通信のインタビューに応え、珍しく父マイケルについて語った。

「私は非常に富裕な家庭で育ってきた。(それ故に)履行しなければならない大きな仕事がある。それができているかどうかはわからないが、私はそれを身に着けており、それは名誉のバッジのようなものだ」

 父マイケルは子どもたちへの慈善活動に熱心だったが、それを自分が引き継いでいかなければならない、ということを熱弁した。

 「私たちの仕事が彼(父マイケル)に誇りをもってもらえることを願うばかりだ」と率直に述べている。

あまりメディアに登場しない末っ子ブランケットは祖母を提訴

 末っ子のブランケットは、3人の中でもメディアに登場する機会は少ない。2024年3月、ロンドンで開かれたミュージカル『MJ the Musical』の公演会場に、約10年ぶりに3兄弟がそろって登場した。

 2002年、マイケルがベルリンのホテルのバルコニーに現れ、赤ちゃんをぶら下げるように見せてファンに手を振ったシーンは、マイケルの精神状態をめぐる様々な憶測を呼んだが、その赤ちゃんがブランケットだ。現在はブランケットという本名ではなくビギという愛称で自らを呼ぶ。

 ブランケットは、祖母でマイケルの母であるキャサリン・ジャクソン(94)の自宅近くに住んでいるが、2024年、祖母に対して訴訟を起こしていることが明らかになった。マイケルの作品の権利をめぐり遺産執行人が権利を売却することに祖母らが反対し裁判を起こしていたが、ブランケットは「裁判の弁護士費用で遺産を減らしてしまった」として祖母に対し費用の返還を求めた。

 ブランケットは映画製作に興味を持って勉強しているが、この若さで遺産をめぐる骨肉の裁判に身を置くことになった。

(文=言問通)

言問通

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆。

最終更新:2025/01/22 20:00