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池脇千鶴、激変した姿とド迫力演技に反響…転換点となった「女優魂」炸裂の作品とは

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池脇千鶴(写真:Getty Imagesより)

 女優の池脇千鶴が、3日に放送されたフジテレビ系ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』にゲスト出演。朝ドラヒロイン時代から「激変」した姿と圧倒的な演技力が話題になった。池脇はドラマ出演するたびに「別人のよう」と騒がれているが、役作りの徹底ぶりと演技の見事さの背景について、豊富な業界知識を持つ芸能ライターに話を聞いた。

 板垣李光人と中島裕翔がW主演する同ドラマは、科学警察研究所の法医第九研究室の室長と新米捜査員のバディが、死者の生前の記憶を映像化する「MRI捜査」を駆使して難事件に挑むサスペンス。第2話では、池脇がコンビニ従業員の小島郁子を演じた。

 池脇が演じる郁子は、ダボッとしたワンピースにボサボサのロングヘアとメガネという姿で登場。「誰にも迷惑かけてなかったのに…」などとつぶやきながら、コンビニで同僚たちを刺殺するショッキングなシーンが展開された。

 徐々に郁子の秘密が明らかになっていくのだが、その演技は圧巻のひと言。単発のゲスト出演だとは思えないほどのインパクトを残した。

冬ドラマ期待の主演&ネクストブレイク女優

アイドル女優の面影なしで驚きの声

 演技の見事さと同時に大きな話題になったのが、池脇の「激変」ぶりだ。池脇といえば、2001年度後期のNHK朝の連続テレビ小説『ほんまもん』のヒロインなどを務めた人気女優だが、当時は清純派の可憐なアイドル女優という印象が強かった。

 しかし、今回のドラマでの池脇は「ふっくら体型の冴えない中年女性」を完璧に演じ切っており、朝ドラ時代のイメージがある人にとっては別人のような変わりようだ。実際、SNS上では「池脇千鶴だと気づかなかった」「演技すごいうまい女優さんだと思ったら池脇千鶴でびっくり」「ここまで役作りするってスゴすぎでしょ」などと驚きの声が広がっている。

「池脇は1997年、高校生のときに受けた『リハウスガール』オーディションで市川準監督の目に留まり、第8代リハウスガールとして芸能界デビュー。あどけなさの残る顔立ちと人懐っこいキャラクターで脚光を浴び、1999年、市川準監督の映画『大阪物語』で沢田研二と田中裕子が演じる夫婦漫才師の娘・霜月若菜を演じて映画デビューを果たしました。

 この作品では第54回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞や第73回キネマ旬報新人女優賞などを受賞。10代にして演技力でも高い評価を獲得した彼女は、2001年に『ほんまもん』で朝ドラのヒロインを務め、2002年にジブリアニメ『猫の恩返し』で主人公・吉岡ハルの声を担当して声優に初挑戦するなど華々しい活躍を続けてきた。

 早くに成功を収めると、事務所に言われるがまま、若者をターゲットにしたキラキラ系ドラマや、売れっ子俳優が集結した大作映画への出演が中心になり、質よりも量になりがち。しかし池脇は一貫して自ら脚本に目を通し、自分が納得した作品のみに出演することを公言しています」

年齢に応じた役作りで圧巻演技

 早くからアイドル女優ではなく、実力派女優として覚醒していった池脇。そのスタンスを貫いたことで、女優として実力が磨かれていったようだ。

「池脇はアイドル的な人気を誇っていた20代前半、映画『ジョゼと虎と魚たち』(04年)に出演。下肢麻痺で車椅子生活を余儀なくされながらも、気の強いヒロイン・ジョゼを体当たりで演じ、ベッドシーンではバストトップまで見せて話題となった。この演技が認められて、第18回高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞。映画もヒットとなり、韓国でリメイクされるなど、今も語り継がれる名作となっています。

 その後の彼女は、じっくりと役に向き合える映画中心の活動となり、より演技力を高めていった。加齢に抗うのではなく、その年齢に応じた役作りをモットーとしており、久々に連ドラ主演を務めた2021年の『その女、ジルバ』(フジテレビ系)では、ぽっちゃりした顔やシワを隠すのではなく逆に活かすことで、平均年齢70歳以上の『超高齢熟女バー』で働く40歳のヒロインを生々しく演じ、草笛光子、中尾ミエ、久本雅美といった癖のあるベテラン女優たちと丁々発止のやり取りを繰り広げた。

 独りよがりな“個性派演技”ではなく、ときに池脇千鶴だと気づかれないほど役になり切る姿勢が、今回の『秘密』や昨年の『アンメット ある脳外科医の日記』 (フジテレビ系)などのドラマで出番が少ないながらも印象的な演技を見せ、視聴者に強烈なインパクトを与えている理由でしょう」

女優魂が炸裂したおすすめの作品

 そんな池脇の数ある出演作の中で、とりわけ彼女の女優魂が感じられる、ターニングポイントとなった作品を記者に挙げてもらった。

「2014年の綾野剛の主演映画『そこのみにて光輝く』では、ヒロインを務めた池脇の女優魂が炸裂しています。彼女が演じた大城千夏は、昼間は水産加工場で働き、夜はバーの一室で体を売って実家の家計を支える一方、犯罪歴のある弟の面倒を見る男との不倫関係を断ち切れず、また寝た切り状態の実父の性欲処理までしてあげるなど、どん底の生活を送っている。いわば汚れ役。常に露出度の高い服に、ブリーチ抜けした髪や過剰な化粧など、見た目から役になり切り、うらぶれた雰囲気を全身から漂わせていました。

 不倫相手との刹那的な情交や、思いを寄せる佐藤達夫(綾野)との貪るようなセックスなど、『ジョゼと虎と魚たち』とは比べ物にならないほど濃厚なベッドシーンも披露し、そこにはデビュー当時の可愛らしさや初々しさは皆無。それでもヒロインとしての気品は失われておらず、本作でも多くの映画賞を受賞しました。本作を監督した呉美保氏の作品では、翌年公開の映画『きみはいい子』でもメインキャストを務め、こちらも高い評価を獲得。三度目のタッグも期待したい」

(文=佐藤勇馬)

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佐藤勇馬

1978年生まれ。新潟県出身。SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。著書に『ケータイ廃人』『新潟あるある』がある。

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最終更新:2025/02/07 09:00