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芳根京子主演『まどか26歳、研修医』でさらりと触れられた”現代医療の闇”とは

芳根京子主演『まどか26歳、研修医』でさらりと触れられた現代医療の闇とはの画像1
芳根京子(写真:Getty Imagesより)

 女優・芳根京子主演のドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)の第7話が2月25日に放送され、平均視聴率は世帯6.0%、個人3.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前週を上回る結果となった。

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「本作は研修医の奮闘と成長が描かれていますが、これまではしばしばそのリアリティのなさが視聴者からのツッコミを誘っています。特に研修医たちの描写には疑問の声が多い。世間ではその激務ぶりから『働き方改革』が強調される中、作中では研修医たちは定時で帰宅し、プライベートを満喫しています。そのため、序盤では『こんな研修医に診てもらいたくない』や『自己研鑽しない医者が医療現場にいるのか』といった批判も視聴者から相次いでいました」(テレビ誌ライター)

 だが、ここに来て同ドラマを評価する動きも見受けられる。

 芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。

「視聴率に関してはいまだに好調とは言い難い状況ですが、ここに来て本作の良い意味での“軽さ”を感じさせる明るいシーンが、とかく作品全体を通じて重たく、シリアスになりがちな医療ドラマの在り方に新たな一石を投じているといった好意的な見方もネットやSNS上で見受けられます。第7話で外科の菅野先生(鈴木伸之)が医者や研修医たちのボウリング大会で連続3回のストライクを出した瞬間にまどかを抱き締め、そのままクルクルと回ったシーンは放送後、Xのトレンドで一時期2位にランクインするなど大きな反響を呼びました」

 その第7話では研修医生活も2年目に突入したまどか(芳根)が“心の治療”を目的とする精神科での研修に臨む。

 指導医の野口先生(板倉俊之)から「距離感が大事」と諭されるが、心の治療を専門とする精神科の特徴に戸惑う様子や新たな医療の課題に直面するエピソードが描かれたが、作中でさらりと触れられた“現代医療の闇”を指摘したのは医者で芸人の井たくまだ。

「井たくまは自身のYouTubeチャンネルで、毎話『まどか〜』の考察動画を投稿し、医者ならではの視点が話題となっています。今回、外科の菅野が極度の寝不足に陥っている描写がありましたが、その原因は女性医師の産休によるしわ寄せが集中したことによるものでした。菅野はうつになりかけていましたが、まどかの気遣いにより回復。井たくまは医師不足問題が盛り込こまれている脚本に拍手を送っていました」(同テレビ誌ライター)

 近年、医師不足は実際の医療現場でも深刻な問題となっており、とくに女性医師が増加する中、出産、育児による休職が医師不足に拍車をかけている。

 過去には東京医科大学が女子受験生を一律減点していた問題が大きな騒動となった。

 この対応は明らかな女性差別であり大きな批判を浴びたが、一部では女性医師が増えると産休、育休を取る割合も増え、医療現場の負担が重くなるといった背景も取り沙汰された。

「ドラマでは、菅野先生が休暇を取ってうつ病を回避していましたが、その負担を今度は別の誰かが背負っているわけで、構造が変わらない限り問題は解決したことにはなりません。また、7話のラストでは、理事長が『この病院は絶対潰さない』と電話で話していましたが、医師不足の解消には病院の統合や医療リソースの集中が求められており、今後の展開ではより深刻な医療問題が扱われる可能性もありそうです」(医療系ライター)

 過酷な労働環境の中で、精神的に追い込まれる医師は少なくない。

 作中ではまどかがバッティングセンターに菅野先生を連れ出してリフレッシュさせる場面は視聴者にとっては微笑ましく映ったが、現実の医療現場では「そんな余裕すらない」というのが実情だという。

 また、まどかは明るく周囲を元気づけているが、そんな役割を果たせる人材は少なく、結果的に医師たちはストレスを抱えながら働き続けるしかないのが現状だ。

 現状では本作はコメディ調の社会派ドラマと言えそうだが、果たして今後のストーリーでこうしたリアリティーのある医療現場の問題がどのように描かれるのか要注目である。

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(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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最終更新:2025/03/05 22:00