『THE SECOND』3年目の王者は誰の手に? 異色の組み合わせが揃った決勝見どころまとめ

いよいよ今週末の17日に迫った結成16年目以上の漫才コンビによるトーナメント『THE SECOND』(フジテレビ系)のグランプリファイナル。今年で3年目となる同大会では第1回にギャロップ、第2回ではガクテンソクが優勝を飾り、見事にセカンドチャンスをつかんでいる。
そんな第3回『THE SECOND』は、すでに1回戦の対戦カードが発表済み。ここではその組み合わせを眺めながら、見どころを探ってみたい。
第1試合
ツートライブvsモンスターエンジン
大阪吉本所属同士となった第1試合。ツートライブは『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)王者のミルクボーイや『THE SECOND』の顔役となった金属バットらとともに全国をユニットツアーで回りながら腕を磨いてきたしゃべくりコンビ。2023年にラストイヤーを迎えた『M-1』では準決勝に届かなかったが、今大会で初の全国ネット賞レースファイナルの座をつかんでいる。
全国区での知名度はないが、そのぶん周平魂のキャラに鮮度が残っているのが強み。1回戦でインパクトを与えることができれば一気にトーナメントを駆け上がる可能性もある。
一方のモンスターエンジンはトリオ「にのうらご」を解消してから2年目の08年に『M-1』ファイナル7位、翌09年にもファイナルに進んでいるうえ、『キングオブコント』(TBS系)でも2度の決勝進出を果たしている“賞レース激強”コンビ。15年の新『M-1』以降は準々決勝どまりが多くストレスを口にすることもあったが、『THE SECOND』では23年にベスト32、昨年はベスト16と着実に歩を進めていよいよベスト8に勝ち上がってきた。
周平魂の勢いと突破力か、西森洋一の円熟味か、コントラストの映える組み合わせとなった。
第2試合
マシンガンズvsはりけ~んず
『THE SECOND』の歴史において、もっともその恩恵を受けたのは間違いなくマシンガンズだろう。芸歴20年を超えて参加した第1回大会で準優勝。精密に作り上げられた漫才ばかりの『M-1』の対極にあるような野性味あふれるネタで次々に強豪をなぎ倒すと、ギャロップとの決勝ではネタが尽きて惨敗を喫するというドラマを演じ、全国区に躍り出ることになった。
それまで自他ともに認める「腐っていた」「何もしていない」「ライブもただ出てるだけ」だったコンビに大量の仕事が舞い込み、滝沢秀一に思ってもみなかった「イケオジ」という評判まで立った一連のムーブメントは、まさしく「ザセカドリーム」だったはずだ。
一方、その『M-1』で長年にわたって影の功労者であり続けているのが、はりけ~んず。すでに「『M-1』予選のMCといえばはりけ~んず兄さん」というイメージは定着しており、その巧みな回しで数多くのニュースターを送り出してきた。そのぶん、最新の漫才をもっとも多く浴びているコンビともいえる。
2組とも、観客の笑い声とのセッションを楽しむようなフレキシブルなネタを得手とするコンビだけに、そのネタさばきに注目したい。
第3試合
囲碁将棋vs吉田たち
ともに『M-1』では「今年こそ」の呼び声がかかりながらファイナルに届かなかった不遇の2組。囲碁将棋は第1回大会のグランプリファイナル準決勝で、優勝したギャロップに1点差まで迫って爪あとを残し、活躍の場を広げている。そろってステージを上げつつある大宮セブンに新たなタイトルを持ち帰りたいところだ。
早くから関西若手賞レースに数多く顔を出していた吉田たちが『M-1』では準決勝にもたどり着かなかったという結果を、誰が予想しただろうか。不遇なキャリアを送ってきたものの、その実力は見取り図、霜降り明星といった現在のテレビスターからも折り紙付き。「寄席なら」「6分なら」という吉田たちに対する業界内の期待は相当に高いようだ。
緻密に組み上げられた現代的な漫才の囲碁将棋と、自由自在に舞台を泳ぎ回るような話術で見せる吉田たち、第3試合もまた対照的な2組が火花を散らすことになった。
第4試合
金属バットvsザ・ぼんち
1回戦の中でもっとも注目を集めているのは、間違いなくこのカードだろう。
特定の劇場に所属せず、常にアウエーの立場で舞台に立ち続けてきた金属バットは唯一の『THE SECOND』3年連続グランプリファイナリスト。ここにきて、全国ネットの生放送という大舞台をホームに変えてしまった胆力には恐れ入るところだ。第1回ではベスト8でマシンガンズに2点差の番狂わせを許し、第2回では準決勝でガクテンソクの前に苦杯をなめたが、今回こそ客席の「勝たせたい」という意識も有利に働くはずだ。
そんな金属バットの前に大きな壁として立ちはだかることになったのが、芸歴50年越えのザ・ぼんち。言わずと知れた1980年代「漫才ブーム」の立役者、昨年のエントリーには誰もが驚かされたが、今年はベスト32でモグライダー、ベスト16では昨年のグランプリファイナリスト・ハンジロウを下して見事、ベスト8にたどり着いている。
思わぬレジェンドとの対戦となった金属バットがどんなツカミで入るのか、ザ・ぼんちがそれをどう受けるのか、親子ほども年齢の違う漫才師同士のエールの送り合いに注目したい。
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『THE SECOND』は17日夜7時から生放送。新たな王者の登場を待ちたい。
(文=新越谷ノリヲ)