當真あみ、ブレイク懸けた連ドラ初主演へ! 新しい『ちはやふる』は成功するか?

女優の當真あみが7月9日スタートの日本テレビ系ドラマ『ちはやふる-めぐり-』で連続ドラマ初主演を飾る。上白石萌音、原菜乃華ら豪華な共演陣に加え、主題歌が映画版『ちはやふる』シリーズを担当していたPerfumeの新曲となることが決定し、ファンの期待が盛り上がっている。業界内では、當真が本作をきっかけに本格ブレイクしそうだと期待されているようだ。
映画版の10年後のオリジナルストーリー
『ちはやふる』は競技かるたを題材にした末次由紀氏による人気コミックで、2016年に広瀬すずの主演で実写版映画『ちはやふる-上の句-』『ちはやふる-下の句-』が公開。2018年の『ちはやふる-結び-』で映画シリーズは完結したが、今回のドラマ版はその10年後の世界を描くオリジナルストーリーとなる。
今作では、廃部の危機にある梅園高校競技かるた部の幽霊部員・藍沢めぐる(當真)が、10年前の部員で教師として赴任してきた大江奏(上白石)と出会い、運命が大きく動き出す。めぐるは仲間たちと全国大会出場を目指し、前作の主人公・綾瀬千早らが作り上げた瑞沢高校競技かるた部の月浦凪(原)らが最大の強敵として登場する。主題歌は映画版を担当していたPerfumeの新曲『巡ループ』に決定した。
ドラマオリジナルのストーリーという点が賛否分かれる可能性があるが、映画版は大ヒットしているだけに、もし本作が成功すれば反響は大きく、若手中心のキャスト陣にとって出世作となるだろう。そのなかでも、とくに注目されているのは本作が連ドラ初主演となる當真だ。
當真は現在18歳と若いが、すでに昨年の時点でオリコンが発表する「ネクストブレイクランキング」の女性俳優編で3位、今年の同ランキングで2位と、ブレイクが期待されている注目株だ。今年の同ランキング1位だった髙石あかりは、2025年度後期のNHK朝の連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロイン役に抜擢され、本格ブレイク確実といわれている。
10月公開の映画『ストロベリームーン』で長編映画初主演を飾ることも決定した當真は髙石に続くことができるのか、それが本作に懸かっているともいえそうだ。
松岡茉優らとの共演で成長…業界評価が高騰
當真のこれまでの歩みについて、業界事情に詳しい芸能記者が解説する。
「もともと芸能界に興味がなく、中学時代は漠然と理学療法士になりたいと考えていた當真が、この世界に入ったきっかけは地元・沖縄でのスカウト。彼女が所属するディネアンドインディーは本社を沖縄に置く芸能事務所で、子役が多く在籍し、ブレイクしたタレントには同じく沖縄出身の玉城ティナがいる。2021年7月、リクルートが14年ぶりに制作した企業CMでデビューし、高校1年生の秋に単身上京すると、2022年に金曜ドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)でテレビドラマ初出演。中学生で人気小説家ながらも、実はケガでバスケットボールを続けられなくなり、希望高校に進学する夢も断たれて絶望する少女という難しい役柄を好演した。
さらに同年、数多くの人気女優を輩出したアサヒ飲料『カルピスウォーター』の14代目CMキャラクターを務め、大きく知名度を上げた。過去には當真が憧れの女優に挙げる長澤まさみも9代目CMキャラクターを務めており、はつらつとした當真のイメージと重なるところもある。さらに同年12月には、オーディションによって主人公役に選ばれたアニメーション映画『かがみの孤城』で声優に初挑戦。本作は北村匠海、板垣李光人、宮﨑あおい、芦田愛菜など、そうそうたる人気俳優がキャストを務めているが、その中でも當真は作為を感じさせない透明感のある声の演技で存在感を示した。本作は第46回日本アカデミー賞の優秀アニメーション作品賞を受賞し、興行的にも成功を収め、業界内での當真の注目度が高まるきっかけとなった」
當真は若くして、観る者に強烈な印象を残す女優へと成長していく。前出の記者が続ける。
「2023年はZIP!朝ドラマ『パパとなっちゃんのお弁当』(日本テレビ系)でヒロイン役を演じ、さらに『大奥「8代・徳川吉宗×水野祐之進編」』、大河ドラマ『どうする家康』とNHKのドラマに立て続けに出演。茅島みずき、奥平大兼、窪塚愛流などネクストブレイク候補の若手俳優を生徒役に集めたドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)では、芦田愛菜演じるクラスのいじめられっ子に好意を寄せ、煩悶する優等生を熱演して、同世代の俳優の中でも一際インパクトを残した。後に當真は、本作の主人公で担任教師の九条里奈を演じた松岡茉優の演技力に圧倒されたと語っており、松岡の存在がまだ演技を始めて間もない彼女に大きな影響を与えたのは間違いないだろう。
2024年3月に主演した単発ドラマ『ケの日のケケケ』(NHK総合・NHK BSプレミアム4K)では、感覚過敏の役を演じたが、リアリティのある芝居は、病気の当事者からも反響があるなど好評を持って迎えられた。今年4月に公開された映画『おいしくて泣くとき』では、長尾謙杜演じる主人公と恋に落ちるも、ある事件をきっかけに姿を消してしまうヒロインを等身大で好演。キラキラ系の青春映画とは一線を画した、切なくて儚いドラマを盛り立てるのに大きな役割を果たしている。本作は観客の満足度・口コミ推奨度ともに95%以上(配給調べ)を獲得するなど高い評価を受けた。まだデビューから4年足らず、今春に高校を卒業したばかりという若さで、決して映画・ドラマの出演本数は多くないが、それでも確実に印象を残す存在感と演技力は、持って生まれた才能だろう」
広瀬すず、上白石萌音らと“演技対決”へ
業界内の評価は高く、今作がブレイクの決定打になりそうな気配がビンビンだが、ひとつ気がかりなことがある。どうしても映画版の主人公を演じた広瀬と比較される可能性が高いうえに、同じドラマ内でも実力派の上白石や原と演技力を比べられることになりそうだからだ。
今作でブレイクを勝ち取るためには、過去作のヒロインや共演者たちとの「演技対決」は避けられない。前出の記者はこう見る。
「映画版の『ちはやふる』シリーズは、同作で映画単独初主演を務めた広瀬すずの人気と評価を決定づけた作品。原作マンガは熱狂的なファンが多く、今も続編が連載されているほどの人気作だが、綾瀬千早を演じた広瀬の役のなり切り具合は原作ファンも納得で大ヒットとなった。今回のドラマ版は映画版の10年後のストーリーで、當真が演じるのは高校2年生で競技かるた部の幽霊部員・藍沢めぐる。広瀬と違うキャラクターを演じるとはいえ、比較されるのは仕方のないことだろう。
しかも広瀬が綾瀬千早を演じたのも今の當真と同じぐらいの年齢で、女優デビューから3年ほど経った時期だった。広瀬はちょうどそのころに日本テレビ系『学校のカイダン』で連続ドラマ初主演を果たし、出演映画『海街diary』が高い評価を受け、劇場アニメ『バケモノの子』で初声優を務めるなど、當真が今置かれている状況、周囲からの期待値など共通しているところが多い。またルックス的にも二人は似ているという声をよく聞くので、余計に比べられやすいだろう。
また、今作では競技かるた部顧問を演じる上白石萌音、強豪校のライバル役に起用された原菜乃華、藤原大祐ら若手の有望株が脇を固めるなど、演技力に定評のある俳優が集結している。当然、彼らとも比較されることになるだろう。しかし、當真は過去にも松岡茉優や芦田愛菜といった実力のある若手俳優との共演で埋もれることなく存在感を示し、女優として成長してきた実績があるので、今作での大きな飛躍を期待していいだろう」
(文=佐藤勇馬)