オードリー若林正恭『青天』をようやく読みました……【週刊お笑い雑話】

今週あったお笑い界隈の話題をピックアップ! ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。
若ちゃん直木賞獲っちゃうの?
新越谷 ようやく読みましたよ、『青天』。
編集S さすがに遅すぎる。リトルトゥースにあるまじき。
新越谷 最近あんまり聞けてないんですよねえ、もうリトルトゥースを自称することはできない感じ。
編集S 聞いてくださいよ。
新越谷 忙しいんだよ。お笑い関係の仕事がいろいろあればお笑いに時間割けるけど、そうでもないし。
編集S やればいいじゃん。
新越谷 取ってくればいいじゃん。編集でしょ。
編集S まあそれはいいとして、どうでした?『青天』。
新越谷 はっきり申し上げて、超おもしろい。めっちゃおもしろくしようとして、ちゃんとおもしろくなってる。隅々まで血が通ってる感じ。
編集S 直木賞、獲りますかね。
新越谷 なによ、その質問は。ほかの候補との兼ね合いによるでしょ。
編集S そういうレベルに達してるのかっていう。
新越谷 直木賞作品全部読んでるわけじゃないし、知らないですよ。
編集S 印象に残ってる直木賞作品ってあります?
新越谷 えー、『GO』とか、窪塚で映画化した。
編集S 古すぎてクラクラしますね。
早くも映画化決定?
編集S 『青天』も映画になるんですかね。
新越谷 それはねえ、読んでてすごく感じた。おおー、おもしろいなー、と思いながら読んでるんだけど、それとは別の思考ラインで、これは映画化決定だぞ、とずっと思ってた。
編集S なんで?
新越谷 素材が揃いすぎている。高校アメフト部、チビでひねくれた主人公、90年代のJ-HIPHOP、キャラもすごく立ってるし、主人公のアリはあのなんだっけ、長谷川と一緒にB級グルメ番組やってた子。
編集S 大橋和也ですか、なにわ男子。
新越谷 そうそう、あの子みたいな感じだろうなとか、参謀の河瀬はカラタチ大山みたいだろうなとか、画が浮かぶんですよ。これはホントに筆致の力だと思う。
編集S やっぱり、そういうところを狙って書いてるんですかね。さすが若ちゃんというか。
新越谷 どうなんだろう、そういう感じはしないんだよな。確かにポップではあるんだけど。
編集S なんでそういう感じがしないの? ある程度計算立ててやるでしょう、出すだけで反響だって読めるだろうし。
新越谷 あのねえ、すごくアメフトの試合シーンが多いわけですよ。迫力があるし、プレーに込められた意味があるんです。
編集S なるほど。スラムダンク的な。
新越谷 それはそうなんですけど、スラムダンクはマンガだから、何が行われてるかわかるじゃないですか。「この音が何度でも俺を蘇らせる」とミッチーが言ったとき、どの音かわかる。
編集S そうですね、スリーポイントですね。
新越谷 アメフトの試合って、ちゃんと見たことあります?
編集S ちゃんとはないかもしれないです。
新越谷 ルール知らないでしょ、普通。
編集S タッチダウンを取るんですよね。
新越谷 主人公はRBで、主にQBとの関係性の話なわけですよ。WRからコンバートされてきた後輩との軋轢があったり。
編集S ああ、何が何だか。
新越谷 そのへんを全然説明しないのね。オプションプレーとか3rdダウンロングみたいなところの意味がわからないと理解できないシーンがけっこうあると思うのよ。最低限の説明はあるけど、明らかにこれは、読む側がルールを知らないと100%伝わらないという確信のもとで書かれた小説な感じがする。
編集S マスに向けてない?
新越谷 知らなくてもけっこうちゃんと面白い青春小説だと思うけど、知ってた方が絶対面白い。それこそ、画が見えるかどうかはそこが肝要なので。
どうなっちゃうの、若ちゃん
編集S それにしてもですね、さすがに直木賞なんて獲っちゃったら立ち位置変わりますよね。
新越谷 ですよねえ。斎藤茂太賞だってすごいと思うけど、ちょっと一般層への影響というか、リスペクトされてしまう。
編集S よくないことなんですかね。
新越谷 わかんないけど、さすがに想定してなかっただろうな、とは思いますよね。20代の若ちゃんが、40超えて直木賞候補になるとは。
編集S でしょうね。
新越谷 やれるだろというずっと自覚はあっただろうけど、結果が出ちゃうことは話が別だもんね。何しろ獲っちゃったら、残りの人生を直木賞作家として過ごさなきゃいけないわけで。
編集S どういう立場て言ってんですか。
新越谷 もう全然わかんない。
(文=新越谷ノリヲ)
