中居正広問題「9000万円もらっていない」被害者告白と、フジテレビの腐敗構造
《遠藤氏はかつて不動産業界の風雲児といわれた人物だった。ライオンズマンションで知られる「大京」のトップセールスマンを経て、1996年に「京和建物」を創業。10年ほどで売上100億円を超える大企業の社長に成り上がった。
細川と結婚式を挙げ芸能マスコミを騒がせた2007年が絶頂期。同年、細川と共に訪れていたサイパンで暴行事件を起こして逮捕された(翌年、無罪が確定)ところから人生の歯車が狂い出す。直後に暴力団関係者との「黒い交際」も発覚し信用不安を起こした会社は09年に倒産。細川とも離婚を余儀なくされ、表舞台から姿を消した。
あれから15年。現在は熱海に根を張り、一から起こした不動産会社を社員十数名を抱えるまでに成長させ、復活を遂げている》
その遠藤が、当時は元大関千代大海、現在の九重親方が一時はすり寄ってきてさんざん面倒を見たのに、ぷっつり連絡をしてこなくなって怒っているというのである。
遠藤が九重親方と知り合った2001年頃の話だそうだ。
《「アイツは博打が大の好物。『アニキ、(トランプを)めくりたくなってきました』とよく誘ってきた。私も好きだったので『じゃあ行くか』って渋谷の道頓堀劇場の裏あたりに当時あった闇カジノに2、3回連れて行った。私がその店のバカラ大会で優勝して300万の賞金を獲得したことは彼も覚えているはず。『お前も取っておけ』と20~30万円渡しましたから」
港区にあった闇カジノにも2、3回一緒に行ったと証言する。
「ある晩、そこから『アニキ、助けてください』と電話をかけてきたことがあった。負けがこんで泣きついてきたんです。車を飛ばして駆けつけてやりましたよ。チップを貸してやって、そのまま一晩2人で遊びました。ただある時から『闇カジノはもうやめよう』と言った。お互いバレたらヤバい立場だったから」
その代わりに始めたのが「マンション麻雀」だった。遠藤氏は当時、会社の隣に所有していたマンション最上階に麻雀ルームを持っていた。》
15年前、野球賭博問題の最中に新潮は4週にわたり、九重親方の闇カジノ通い疑惑を報道した。だが、あの時、九重親方は最後まで「行ったことはない」とシラを切り調査から逃げ切った。だが、遠藤によれば違法賭博にどっぷり浸かっていたのである。
その上、01年頃から数年間で数回にわたって九重親方に約1億円を貸付けたと語っている。
当時九重親方は現役だったが、小錦が所有していた「佐ノ山」の名跡を取得するために7000万円を貸し付け、「その代わりに彼は取得した証書を持ってきた。その証書はしばらく社長室の金庫で預かっていました」(遠藤)
当時賭博問題で角界を引退した貴闘力も、「遠藤氏の告発で協会にとって最も問題があるのは年寄株を担保に金を借りていたことです。事実ならば絶対あってはならない不祥事」だといっている。
相撲協会はこの告発を見て見ないふりをするのか。現役力士たちの奮戦に反して、協会側に不祥事が続発するのは、根本的な相撲界が抱える問題があるからである。
ところで、銀行の不祥事で一番最初に思い出すのは、1981年に起きた三和銀行事件だった。
《1981年(昭和56年)3月25日、当時大阪府茨木市の三和銀行(現・三菱UFJ銀行)茨木支店に勤務していた女性行員が開店とほぼ同時に、同支店のコンピュータ端末からオンラインで三和銀行の大阪の吹田支店、豊中支店と東京の新橋支店、虎ノ門支店の計4支店に開いた架空名義の口座へ、合計1億8000万円の架空入金を行った。
その後、女性行員は歯痛を理由に午前10時30分で早退して、吹田、豊中の両支店で架空入金した金の一部を引き出した後に伊丹空港から飛行機で東京へ向かい、更に新橋、虎ノ門の両支店でも現金を引き出した。現金5000万円と小切手8000万円相当の合計1億3000万円を詐取した女性行員はその全額を都内で実業家の男性(既婚者。以下、恋人)に渡し、引き出し損なった1冊の預金通帳と恋人から渡された現金500万円を持ち、そのまま羽田空港から台北、香港経由でフィリピンの首都マニラへ逃亡した。しかし恋人は海外へは行かず、渡された金を使って日本で家族と豪遊していた。(ウィキペディアより)》
彼女が美形だったから、いやがうえにもこの事件はメディアが挙って取り上げ、一時はスター扱いだった。
今回の三菱銀行の10億円以上を「窃盗」した女性行員も、週刊誌は「和久井映見似」と書いているところがあったが、46歳にしてはなかなかの女性らしい。
文春によれば、女性の名は今村由香理。川村短期大学を卒業して1999年に三菱に入行している。
結婚していて仲が良かったらしい。しかも、夫名義だが資産家で、月ぎめ駐車場には25台ほどが駐車でき、二人の稼ぎと合わせれば十分セレブな生活ができていたはずだという。
そんな優雅な主婦がなぜ、10数億円という大金を貸金庫から盗まなくてはいけなかったのか。
文春によれば、今村が2013年頃までに深刻な金銭問題を起こして、「小規模個人再生」を行っていたというのである。
これは裁判所の認可のもと、5000万円以下の借金を返せなくなった人の返済総額を最大10分の1まで大幅に減らして返済計画を立て直すという法的手続きだそうである。
しかし、信用情報などに事故情報が追加され、その後数年間は経済活動が制約されるほか、公的な資料に実名が掲載されるなどのデメリットもあるという。
だが、三菱銀行側は、彼女のこうした事実を把握していなかった。
何で、そのような事態に陥ったのか、ここには書いていないが、推測できるのは株などで大損したのではないか。
それがあって、他人名義の貸金庫から金塊や現金を盗み取っていたのだろうが、案外、これはバレないのかもしれない。
貸金庫に金塊や何億円という現金を入れておく人間だから、少しぐらいなくなっても騒がないのかもしれないし、銀行側が、「記憶違いでは?」といえば、「そうかもな」と引きさがる人間も多かったのではないだろうか。
だが大胆なことをやったもんだ。闇バイトのようなコソコソいじましい犯罪と違って、Netflixのドラマを見ているようで一種の爽快感がある。などといっては被害者や銀行さんから叱られるだろうが。
そのコソコソ泥棒の片棒を担いでいるのにUberEatsの人間がいると現代が報じている。
昔も、宅急便を装ってマンションに入り込み、押し込み強盗を働いていたなどという事件がよく起きていた。
宅急便の人には失礼だが、こういう人や出前を運んでくる人たちの中に、そうした不心得者がいることも事実なのであろう。
今回の現代の記事は、そこまで悪質ではないが、ウーバーイーツのフードデリバリーサービスに登録して生活費を稼ぐ人たちの中には、配達の注文内容や届け先の住所を書いた配達員用のアプリ画面をスクショして、置き配の写真とともにLINEで、ある人物に送ると、その人物から一件あたり500円がPayPayに送られてくる“闇バイト”が横行しているというのだ。
フードデリバリー業界では配達報酬の実質的な減額が進んでいて、こうでもしないと生きていけないという事情も背景にある。
配達先で、「よいアルバイトがあるんだけど」と持ち掛けられて、そうしたバイトにのめり込む人間も多いという。
個人情報を売り買いする「名簿業者」がこう明かしている。
「フーデリの注文内容で、注文者の家族構成や年齢層、在宅時間や生活パターンまで推測できる。深夜にラーメンを頼めば男性の単身暮らし、ヘルシーな弁当なら女性が住んでいる、といった具合。もちろん1回の注文情報だけだと『その時たまたま』ということもあるが、複数の配達員から情報を取ってデータを積み上げることによって、確度が高まってくる」
そうしたデータの使い道としては、訪問販売、美容販売の飛び込み、若者の一人暮らしは信者獲得に熱心な新興宗教などいろいろあるようだ。
このところ急増している闇バイトの連中にも情報が流れることが想像できる。
一歩間違えればウーバーイーツや出前館など、デリバリー業界を激震が襲う恐れもある。コロナもようやく下火になったことだし、やはり家ばかりで飲み食いしていないで、外へ出よ、ものを食べよ!
さて、すっかり影が薄くなってしまった石破茂首相だが、ヨロヨロしながらも今夏の参院選までは何とか生き永らえそうである。
“下駄の雪”と揶揄されてきた公明党も自民党離れが進む中、石破は「大連立」を企んでいると新潮が報じているが、本当だろうか?
自民党関係者がこういっている。
「苦戦を強いられる国会運営において、どうにかフェーズを変えたい。そこで、かねて石破さんが口にしてきた『選挙制度の見直し』を打ち出し、これを大義名分に掲げて立憲民主党などに大連立を持ちかけようというものです。石破さん自ら予算委員会で切り出す可能性もあります」
しかし、選挙制度の変更など一朝一夕にできるものではない。参議院選までしか時間のない石破にできるはずがないではないか。
都議選も裏金問題が出てきて勝つ見込みがなくなってきた。参議院選挙も旗色が悪い。党内に高石早苗しか対抗馬がいないとしても、今年いっぱい首相を務めるのは至難であろう。
支持率も30%台前半で、何か問題が起これば20%台に落ちるのは確実。トランプ大統領との会談が実現しても、日本のことなど北朝鮮以下だと考えているトランプには、要求を飲まされるだけで、日本側のいい分など聞いてもらえるわけはない。
孤独な宰相の今年の運勢は「凶」というところだな。
ところでまた斎藤元彦兵庫県知事のところで自殺者が出た。
《斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を調査する県議会調査特別委員会(百条委)の委員を務め、厳しく追及していた元県議の竹内英明氏(50)が死亡したことが19日、分かった。捜査関係者によると、自殺とみられる。斎藤氏が再選した昨年11月の知事選の期間中、竹内氏に対する誹謗(ひぼう)中傷がインターネット上で過熱。投開票翌日に議員を辞職していた。
関係者によると、18日夜、姫路市の自宅でぐったりしているのを家族が発見し救急搬送を要請。病院で死亡が確認された。(中略)
一連の問題を巡っては、告発文書を作成した元幹部のほか、文書で不正経理疑惑が指摘された一昨年11月のプロ野球阪神とオリックスの優勝パレードを担当し、業務を理由に療養中とされていた元課長も死亡している。》(SponichiAnnex 1月20日 04:42)
斎藤という人間は周りの人間を不幸にするという巡り合わせを持っているようである。
その斎藤は、知事選中にSNS戦略を「merchu」なる折田楓のPR会社に依頼していたのではないかという疑惑が取りざたされている。そうだとしたら公職選挙法に違反するのではないか、辞職を迫られるともいわれている。
斎藤は、選挙中にSNS戦略を折田に頼んだことはない。選挙中は折田がボランティアとして手伝ってくれただけだと苦しいいい訳をしている。
それに対して文春は、SNS戦略を折田に頼んだ動かぬ証拠があると今週報じている。
その証拠とは、斎藤の長年の支持者である老舗靴店の四代目のKという人間と斎藤が神戸市議と面会した時、市議のほうは斎藤を支援する、SNS戦略で協力しようと申し出たというのだ。
だが、斎藤陣営としては「merchu」にすでに頼んでいたため、この神戸市議に対してKが断りのLINEを入れたというのである。
そこには、
「昨日の会議内容 SNS監修はメルチュさんにお願いする形になりました。今度 撮影仕方や、編集後の確認などした上でアップとなりましたので、ご報告させて頂きます」
と書いてあった。
タイトルの上にもLINEの画面が載っているから、文春はブツを手に入れたのであろう。
斎藤陣営の支援者は肩を落としこういったという。
「単なるビジネス上の報告でしかなかったこのLINEが重い意味を持ってしまったのは、斎藤さんと折田さんの言い分が食い違ってしまったからですよ。これが明るみに出てしまえば斎藤さんの主張は崩壊します」
私には選挙中にSNS戦略を第三者に依頼し、対価を払っても、なぜ公選法に抵触するのかよく理解できない。
だが、いけないものはいけないというのが、真っ当なジャーナリズムということなのだろう。
今回、斎藤が公選法違反になるのかどうかはわからないが、今や世界はSNS全盛である。この時代に合わない公選法は早急に改正する必要があるこというまでもない。
公選法の所轄である総務省は今回の斎藤の件にあまり熱心ではないように思うのだが。それにしても斎藤という男、次から次へとゴタゴタを引き起こしてくれるものだ。ミスターゴタゴタ。この次は何をやってくれるのだろう。楽しみにしてはいけないのだが。
さて、今週の最大の話題も中居正広のSEXスキャンダルである。
フジテレビの港浩一社長が追い詰められて1月17日に会見を開き、新たに第三者の弁護士を中心とした調査委員会を立ち上げて事実関係や会社の対応について検証すると明らかにしたが、被害女性はフジテレビの社員か、フジは彼女から相談を受けていたのになぜ、中居側に問い合わせをしなかったのか、有力タレントを侍らせる「上納接待」は行われていたのかなどの質問に、「これは調査委員会に委ねる案件になっておりますので、ここでの回答は差し控えさせてください」と答えるだけで、かえって疑惑を深めてしまった。
さらに、記者からの「一連の報道では港社長の名前も。食事会のなかで女性の社員を同席という記載はあったが」という質問に、
「番組制作や企業活動にともなって出演者やプロダクションなど取引先と懇親の場を持つことはもちろんあります。これ以上のことは私も調査対象ですのでお答えは控えさせていただきます」
と答えたことで、港社長も現役時代にそうした会をセッティングしていたことが言外に明らかになり、Aなる編成幹部がやったことではなく、これまで会社ぐるみで行われてきたのではないかという疑惑が出てきたのである。(やりとりはNHK NEWS WEB 1月17日 19時30分からの引用)
そのため、明治安田生命や日本生命、トヨタ自動車、NTT東日本などが自社のコマーシャルの差し止めや差し替えを相次いで明らかにしており、さらにこの動きは広がるようである。
まさに、フジテレビは危急存亡の危機にあるといってもいい状態だ。
そのきっかけを作ったのは女性セブンだったが、ここまで追い込んだのは文春の取材力によるところが大である。文春砲畏るべし。
もはや、ネット上では、フジの幹部の実名はもちろん、被害女性も元フジのアナウンサーの誰々と実名が上がっている。
私は、それが当たっているかどうか判断はできないが、色々な話を総合すると、当たっているのではないかと思う。だが、もしそうなら、当該の元女子アナと関係が深そうな出版社が、なぜこれをスクープできなかったのか理解に苦しむ。
まず、ポストの記事から見て見よう。
ポストでは、中居の被害に遭ったX子さんがポストに対して、中居から解決金といわれる9000万円なんてもらっていませんと衝撃告白しているのだ。
「いきなり9000万円という金額が独り歩きしたことについてはビックリしています。困っています。私は解決金について知人にも一切話したことがありません。そのに、この金額がどこから出てきたのか本当に不思議で……私はそんなにたくさんのお金は受け取っていないんです」
では、なぜ、金額が独り歩きをしているのか。
弁護士法人ATBの藤吉修崇弁護士がこう話す。
「性加害の示談金は100万~500万円が多く、高額でも通常は1000万円ほど。ですが、示談の金額は双方合意の元で決めるものです。著名人が刑事訴訟を避けるためならいくら払ってもおかしくないし、仮に9000万円でも人によってはあり得る金額だと思います。ただし、性加害の示談の場合、相手が簡単に応じるものではなく、また被害感情が残りやすいため、今回のように示談後もトラブルが再燃するケースもある」
X子は最後にこういっている。
「私がお伝えしたいのは、受けた傷は一生消えないし、元の人生は戻って来ないということです。お金を払ったからすべてがなかったことになる世の中にはなってほしくはありません。そのことを多くの人が理解してくれたらな、と願います」
中居はこの言葉を何と聞くのか。カネを払い、示談が済んだのだから、「これからの活動には支障がありません」と浮かれているのではなく、彼女に対して誠意をさらに尽くすべきである。
次に、文春の記事を見て見よう。
文春は先週、当事者の話を聞き出しただけではなく、今週は、別のフジの女性アナからも証言を聞き出しているのである。
彼女の名は水谷愛子、もちろん仮名である。彼女は2021年冬、新型コロナが猛威を振るっていた頃、あの編成部長Aの側近から携帯にメッセージをもらったという。
文春は、その時のLINEの履歴を確認している。側近は、「場所は六本木です。詳細はまたご連絡します」と送信していたが、当日になっても集合場所の連絡が来なかったという。
彼女はこう語っている。
「あの日は、当日ギリギリになって『六本木のグランドハイアット東京に来てほしい』と言われ、最初はホテル内のレストランで会食するんだと思いました。
『一階のエントランスに着いたら連絡ください』と言われたので電話したところ『いま迎えに行く』と。合流後、彼は宿泊フロアに繋がるエレベーターにカードキーをかざしたので『もしかして部屋なんですか?』と聞いたら『人目もあるし、一室借りて飲むんだよ』と言われたのです。ここでキャンセルする訳にはいかないし、だまし討ちにあった気分でした」
部屋では女性ADや番組スタッフが食事やシャンパンをテーブルに並べていたという。
仕事を終えた他の二人の女性アナも来た。そこに現れたのが中居と別の男性タレントだった。
ホスト役のAが「水谷ここに座りなよ」とタレントの横を指定された。
中居とそのタレントが、「Aは、次の次の社長だからなぁ」といった。夜8時過ぎから始まり、中居は自分が持参した焼酎を飲み始めた。
飲み会の終盤、一人の女子アナが帰り、スタッフなども部屋から出て行ったという。最後に残ったAも、「ちょっと仕事で抜けます」と部屋を出ていった。彼女は、
「最初から二対二にマッチングするように仕組まれていたことに気付いたのです。本当に恐怖しかなかった」
と振り返る。
中居は別の女子アナを口説いていた。隣のタレントが太腿を触ってきた。彼女は、「これを断ると、A班の仕事ができなくなるんじゃないか」とパニックになったという。
彼女は一旦トイレに避難する。しばらくして戻ると、寝室に移動したタレントが全裸で手招きをしたそうである。
「私、こういうのできない。無理です!」
そういって彼女は寝室を後にした。
「そのうちタレントが服を着てリビングに戻ってきて、また四人で会話をすることになった。すると『仕事で抜けます!』と言っていたAさんたちが、なぜか部屋に戻ってきたのです」(水谷)
これはひどい! 松本人志の場合は、松本の手下のお笑い芸人たちが女性を集め“上納”していたのだが、このケースは、フジテレビという大テレビ局の幹部が、タレントの歓心を買うために“女衒” をしていたというのである。
会社ぐるみといってもいい悪質なやり方だが、このテレビ局では、このようなことが代々行われていたと考えられる。
いっそフジは「美人局」とでもでも改名した方がいい。
水谷はこう憤る。
「女性アナをいかがわしい接待の道具として使い、二人きりにして『あとはご自由に』。状況を作るだけで自分は手を下さないという本当に卑怯な手口です。性的行為を断るとき、無言の圧力を感じました。『この人たちとは一生仕事できないんだ』という諦めの気持ちでした。実際、あの事件以降、Aさんから彼ら二人に関わる仕事に呼ばれたことはありません」
こうしたことは代々続いてきたのだともいう。
「この数年間、Aさんはずっとそんなことばかりしてきた。上司である湊(浩一)社長を含め、彼らは二十年以上ずっと同じような遊び方をして、この時代に取り残されている。こんな事態に発展した今でも『何が悪いの?』という感覚なのでしょう」
フジ関係者もこう話す。
「中居さんとダウンタウンの松本人志さんの二人に可愛がられていたA氏は、彼らの鶴の一声でプロデューサーになり、さらには編成部長という役職を手に入れた。彼は、女性アナや女性局員をタレントに“上納”し、出世を遂げてきた」
フジテレビという会社は、他のテレビ局に先駆けて女子アナをアイドル化することを社の方針としてきた。
早い話、美人女子大生を採用して、女子アナをアイドル化し、彼女たちを有力タレントたちのキャバクラ嬢に仕立て上げたのである。
その方針に従うものは視聴率のいい番組に出られ、従わないものは早々に女子アナ枠から外される。
2000年代初めごろ、私が講師をしていた法政大学の編集学の授業に、当時のフジテレビのアナウンス部長を招き、話をしてもらったことがあった。
彼は開口一番、「フジテレビはブスは採りません」といった。
女子アナ志望の学生も多くいたが、皆、ボー然としていたのを思い出す。
女子アナという言葉は、1980年代から使われ始めたといわれているようだ。
フジテレビに河野景子や八木亜希子、有賀さつきなどが入社した頃だ。その後も数々のアイドル女子アナが誕生しているが、2001年に入社した“アヤパン”こと高島彩が活躍していた頃が最盛期ではなかったか。
女子アナをアイドルにすれば視聴率がとれると気付いた他局も競って美人女子大生を漁り出し、フジの一強体制は崩れていくのである。
だが、アイドル女子アナをタレントたちに貢ぐ商法に肩入れし過ぎ、そういう連中ばかりが出世したため、他の分野が手薄になってしまった。特に報道番組などは隅に追いやられ、お笑いバラエティ番組ばかりでは、視聴者から飽きられるのも無理はなかった。
最近の学生が就職したい人気テレビ局は、昔はフジテレビが上位だったが、最近のランキングは、第1位NHK、第2位テレビ東京、第3位テレビ朝日、第4位日本テレビ、第5位フジテレビ、第6位TBSテレビという順である(リクペディア2024年12月3日より)。
文春はさらに、フジテレビの「上納文化」は、港社長が先駆者なのだという。港が常務時代、女子アナを手配した上で、『ドリフ大爆笑』を手掛けるイザワオフィスの井澤健を囲む会を月一回、催していたというのである。
「『港会』と呼ばれたこの会合には、当時を代表する女性アナが多い時で八人ほど集められていた」(元フジ幹部)
そこには芸能界のドンといわれた周防郁雄バーニング創業者も顔を出し、彼らの席には女子アナの誰々が座ると席次も決まっていたという。
こうした“過去”があるから、自らが編成部長に抜擢したAを切れないのだという。呆れた話である。
コンプライアンスの専門家である青山学院大学の八田進二名誉教授は、「フジは、ジャニーズ問題の失敗を学んでいない」とこう話している。
「被害者が同社の幹部社員に対し、事実関係を説明し救済を求めたのに手を差し伸べず、調査すらしない。フジが掲げる人権方針は実効性を伴っておらず、絵に描いた餅に過ぎません」
その上で記者会見を開くべきだといっているが、港社長が渋々開いた会見は騒動をさらに悪化させ、CMのスポンサーまで離れていく異常事態になってしまったのだ。
フジの現状を同局のヒットドラマ風にいえば、「踊るフジテレビ」「振り返ればテレビ東京がいる」とでもなろうか。(文中敬称略)
(文=元木昌彦)