小野田紀美大臣「高市政権にとって“諸刃の剣”」と見る向きも

<今週の注目記事>
1「高市内閣で最も注目されている小野田紀美(42)は何者か」(「週刊新潮」11月6日号)
2「いきなり事務所に恫喝FAXが『国分太一の弁護士』会見を妨害した日テレの罪」(「週刊新潮」11月6日号)
3「皇后雅子様(61)高市早苗首相(64)急接近で『愛子さま(23)を天皇に!』」(「女性セブン」11月13・20日号)「雅子さま(61)ご痛心 高市政権スタートで『愛子さま(23)に強制お見合い』危機」(「女性自身」11月11・18日号)
4「『強い国』を目指す高市政権の近未来」(「ニューズウイーク日本版」11月4・11日号)
5「三菱商事撤退で経産省は大慌て…お先真っ暗!『洋上風力発電』」(「週刊新潮」11月6日号)
6「池田大作“死後2年”『創価学会』捨て身のYouTubeに会員の本音」(「週刊新潮」11月6日号)
7「小池百合子都知事の肝いり!?お台場『巨大噴水』に賛否アリ」(「FRIDAY」11月14・21日号)
8「愛され地方局アナグランプリ」(「FLASH」11月11・18日号)
今週は週刊文春が合併号だったのでお休み。前回ここでも書いたが、週刊文春の発行元「文藝春秋」が大変なことになっているらしい。
業績悪化が続く中で、50代社員を対象にした希望退職の募集を実施することが話題である。
「10月21日、2段階に分けた説明会が行われた。前段は全社員向け説明会、後段で対象者の50代に絞った説明会である。社長が『特別早期退職プログラム』の趣旨を説明。総務局が制度の概要についてレクチャーを行い、その後は大手人材サービス会社からは退職後のキャリア支援の説明もあった」(東洋経済 メディア取材班)
週刊文春の売れ行きは他誌に比べるとましなほうだが、本業の出版事業は8年連続赤字だという。
「その詳細を見ると、月給の数十カ月分が上乗せされるなど、なかなかの好条件のようにも見える。しかし、文藝春秋の社員の表情はさえない。『月給という点がポイント。うちは年収に占めるボーナスのウエートが大きく、月給は抑えられているからだ。しかも月給は年齢給や職能給などコアの部分になるので、思ったほどもらえないとの印象だ』(社員の1人)。
説明会に参加した社員によれば、『全社員を対象にした説明会では「あくまで自由意志であって強制ではない」「50代以上の方々は退職を検討して(現役)社員に貢献していただきたい」と、下手に出てお願いするようなニュアンスだった』。
直近の社員数は増加傾向にある。オンライン事業の拡大に伴ってIT人材を採用し、社内で制作する態勢を整えているためだ。『中途採用を増やした挙句にこれまで貢献してきた社員を切るなんて』と社員はやるせない表情を浮かべる」(同)
さらに元文藝春秋専務で元週刊文春編集長だった木俣正剛が、2018年当時、社長だった松井清人が退任して会長になり、院政を敷こうとしているのをやめさせ、追い出した「社内クーデター」の内幕を赤裸々にJBpressに書いたのである。
その上、松井は社内の女性を「愛人」にしていたことまで、暴いたのである。
私も、現役時代の木俣を知っているが、正義感が強く弁舌の立つ名編集長であった。
その彼が、文藝春秋社長の恥部を明らかにするのはよくよくのことであろう。それだけ現在の文藝春秋に対する危機感が強いのだろう。
雑誌界のジャーナリズムを代表する出版社でも、漫画を持っていないと利益は上げられない。
あえていわせてもらうが、この「歪な出版社の収益構造」が未来永劫続くはずはない。売れない良書は出さない。カネのかかるノンフィクションはやらない。人気アイドルを抱える芸能プロには逆らわない。ないない尽くしである。
大型書店は次々に潰れ、本を買うために電車やバスを乗り継いでいかなくてはならない。よってAmazonの一人勝ちである。
こんな本をよく出すなと思う駄本が毎日洪水のように垂れ流されるが、その多くが返本されてしまう。
だが、いくつかの大出版社の思惑で、出版界の悪しき流通システムを変えようという試みは、未だになされていない。
文藝春秋が危なければ、さらに厳しい経営状況だといわれる新潮社がおかしくなるのは時間の問題であろう。
小なりといえど、文藝春秋の存在感、発言力を「出版改革」に向けてもらいたいと思う。
このままでは、ほとんどの出版社が「野垂れ死に」してしまう。
さて、今週の最初は、FLASHの「地方局アナグランプリ」から。
地方の局アナなんて見る機会がないじゃないか? そう思っていたが、最近はそうではないそうだ。
TVerなどの配信サービスができたり、これまで地方でしか視聴できなかった番組が全国で見られるようになってきたという。
例えば、東海3県のCBCテレビの『ゴゴスマ』が全国放送になり、視聴率トップになるというように。
「地方局アナグランプリ」の近畿ブロックで3連覇を果たした東(あずま)留伽アナ。
彼女は2023年に9カ月間休職して、パリへ留学していたという。休職するまでにはいろいろ悩み、人事部とも話し合いを重ねてきたというが、こう語っている。
「入社してからかなり働きまくっていたので、ときどき、自分でバランスが取れなくなってしまうこともあったんです。どこかで一区切りをつけて、ここまではがんばる、そこから先はちょっと休む、ということを考えていました。決して後ろ向きではなく、前向きに自分の働き方や生き方を考え直すため、パリに留学しました」
パリでは日本と全く違う時間が流れていたという。
パリで、子どものころから描いていた絵の勉強をし、語学学校にも通ったそうだ。
3連覇の喜びをこう語っている。
「休職していた9カ月があったので、3連覇というのは本当に驚きましたし、ありがたい話だと思って、うれしかったです。アナウンサーのお仕事は、前に進んでいるかどうか、わからない仕事でもあるんですよね。担当する番組は、タイミングやご縁で決まっていくものなので、実力が本当についているのか、みんなに認められているのか。けっこう私は、気にしちゃうタイプなんです。わからないからこそ、こういう指標があると、本当にありがたいなって思います」
東北1位は東北放送の元AKB48・佐藤朱アナ。
AKB48のチーム8として活動後、2021年4月に総合職で同局に入社。営業局で会社員としてのスタートを切ったという。
「営業として、いままで経験してこなかった社会人の基本が学べたことは、とても貴重な時間だと思っています。たとえば放送局でしたら、スポンサーさんとの関係もありますし、裏側の部分を理解できたことは、ありがたい経験をさせていただいたと思っています。いまのアナウンサーの仕事にも、営業の経験は生きています」
アナウンス部に異動したい、ということはいい続けていたという。2022年10月、アナウンス部へ異動となる。最初に直面したのは「間違えてはいけない」という、当たり前のことだったそうだ。
「AKB48時代は、間違えたり失敗したりしてもご愛嬌、みたいなところがありました。でもアナウンサーの仕事では、それは許されません。正確に伝え、地震などの速報が入れば、臨機応変に対応する。そこは、一から学ばなければいけないところでしたし、アナウンサーの仕事の厳しさに直面しました。まだまだ成長段階ですが、プロフェッショナルになれるように、日々がんばっています」
(以上の出典はSmartFLASH10.28 08:55より引用)
「いずれあやめかかきつばた」。地方局の女子アナのほうが純真で愛らしい。そう思うのは、キー局の女子アナ連中を見ていて、擦れすぎていると感じる私の偏見だろうか。
お次はFRIDAYから。
小池百合子都知事の肝いりで東京・お台場海浜公園に建設されるという世界最大級の巨大噴水。
またまたまた小池の無駄遣いとしか思えないが、その費用も桁外れだという。
「おしゃれな観光スポットとして整備された臨海副都心ですが、来訪者は’15年をピークに頭打ち。そこで東京都は新たなランドマークとして、お台場に巨大噴水を整備することにしたのです。しかし、小池百合子知事の肝(きも)いりといわれるこの計画の予算は約26億4000万円。年間1.5億円から2億円の維持管理費もかかります。ムダ遣いとの批判を浴びた都庁のプロジェクションマッピングを、約8億円も上回るんです」(全国紙社会部記者)
音楽に合わせて幅250メートル、高さ250メートルの噴水が水を噴き上げるというのだが、そんなものは最初だけ見に来るが、2、3年もたてば廃墟のようになるのではないか。
都議関係者は、
「財源には、土地の売却収入を充てるから税金は投入しないと強調します。しかし、現場は都有地で都民の共有財産です。環境への影響も事前調査したとされますが、細菌や塩害の恐れを指摘されると海水から水道水の使用へ変更するなど、ちぐはぐな点が多いんです」
そのうえ、工事請負については、競争入札にもかかわらず、異例の1社入札。請負業者には港湾局の元幹部など都庁の職員が10人ほど天下りしているというのである。
地域政党「自由を守る会」の三戸安弥都議が、
「小池都政で都民一人当たりの行政コストは10万円ほど増えました。税金が浪費されるなかで、大金を注ぎ新規事業を進めているんです」
と批判する。
神宮外苑や築地市場の再開発など、巨大な東京都掘り起こし事業は、小池都政の次にも引き継がれる。
次の都知事には、巨大な無駄遣いをストップするのが、最初にやるべきことになるのでは。
ところで、11月3日の朝日新聞に出ていたPILOTの見開き全面広告を君は見たか?
「AIを嫉妬させてやろう。 人間は、頭と心と身体で、考えることができるのだから。」
続けて、
「手を動かしてみる。
頭の中ごちゃごちゃのままで、いい。
紙の上に散らかったアイデア。
偶然つながって、何かが生まれることもある。
正解を速く出すことだけが、考えることじゃない。
手探りで、自分の中の答えを見つけていく。
頭も心も身体も、ぜんぶぜんぶ使って。
だから面白いんだ、考えるって。
AIが隣にいる時代。
新しい可能性が動きはじめている。
その真ん中にいるのは、人間だ。
AIも、ペンも、考えるための道具。
生みだすのは、あなただ。
人と創造力をつなぐ。PILOT」
いいね! AIみたいに半端な「道具」に頼っていれば、自分の頭の中に何も残らない。
少し前までは、わからないことがあると辞書で調べた、百科事典を開いた、物知りに電話して聞いた。
だが、今はAIに聞いて、それが正しいか間違っているのかを判断せずに、書いたりしゃべったりしている。私も恥ずかしながらAIを時々使うが、使えば使うほど馬鹿になっていく自分がわかる。
読んで、書いて、考える。万年筆なんかじゃなくていい。小さくなった鉛筆で紙に書き、調べて、それを反芻する。
AIなんぞに邪魔されてたまるか。考え、考えて、考え抜いた時、世の中の“真実”に出会うのだ。
「AIを捨てよ! 街に出よ!」。このままでは一層周りは馬鹿ばかりになってしまう。
さて、次はあの創価学会が「変身」しているという新潮の記事。
池田大作名誉会長が没したのは2023年11月15日だった。
あれから2年が経って、公明党は自民党との連立を解消した。だが、公明党の支持基盤である創価学会の信者数の落ち込みが著しい。
高齢化が進み、若者が入信しないという深刻な問題をどうするのか?
お堅い? 学会がYouTubeで「創価学会の日常ちゃんねる」を始めたというのである。さる学会関係者がこう語っている。
「最初の動画は東京・信濃町の学会本部などに潜入するというもので、学会員以外はまず目にする機会がない施設を惜しげもなく披露していました。
その後も、非学会員のユーチューバーが信者のイベントに参加したり、学会の支部長として知られるお笑いコンビ・ナイツの塙宣之(47)に密着したり、聖教新聞社に潜入したりと、内容はバラエティに富んでいます」
また、原田稔会長(83)が登場し、ユーチューバーに「学会が世間から嫌われていることについてどう思うか?」と聞かれ、「草創期の激しい折伏のイメージが残っているからだと思う」と答えるなど、これまでの学会では考えられなかったことだった。
それだけ学会側の危機感が相当なものだということだろう。
もちろん、学会員からの批判もある。
「イメージアップのために、とってつけたような上辺だけのパフォーマンスをしているように見えてなりません。地道に正しい行動をすることで信用を勝ち取るべきだと思います」(ある学会員)
「ここまで学会のありようを紹介することは過去になかったし、この動画は友人を勧誘する際にも使いやすいと思う。でも、映しているのは良い部分ばかり。例えば学会には、定期的に地区ごとに行われる、聖教新聞などの目標部数についての協議会があります。ここで目標達成に向けてプレッシャーをかけられる。リアルな様子を公開してみてはどうかと思いますよ」(別の学会員)
自民党と決裂したのだから、野党として、自民党の内情を知り尽くしているのだから、それを暴露し、高市自民党を厳しく追及するパフォーマンスを見せることも必要であろう。
ところで、再生エネルギーが危機に瀕している。朝日新聞デジタル(8月27日 14時35分)はこう伝えた。
《三菱商事は27日、千葉県と秋田県の沖合計3海域で計画する洋上風力発電事業から撤退すると発表した。物価高や円安などに伴う建設コストの高騰を受け、採算が取れないと判断した。
三菱商事はプレスリリースで「地元の方々をはじめ、関係する皆様のご期待に応えられない結果となったことを重く受け止めております」などとコメントした。
撤退するのは、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の3海域すべてになる。それぞれ三菱商事や中部電力の子会社などが企業連合を組み、国の公募に応じて、2021年12月に事業者に選ばれていた。28年以降に運転を始める予定で、3海域含めた発電規模は約170万キロワットと原発1.7基分にあたる。
公募時に提示した売電価格は1キロワット時あたり11.99~16.49円で、国の想定や他社の提示額を大幅に下回る価格だった。
しかし、その後の世界的な資材高騰などで建設コストが上昇。三菱商事は25年3月期決算に洋上風力で524億円の損失を計上した。
今年2月には3海域の事業について事業性の再評価をすると公表しており、再評価の結果、採算がとれないと判断した。追加の損失については大部分を既に計上しており、生じても限定的だという。
撤退となれば、政府は再公募などで別事業者を選定する必要が出てくる。手続きや建設までの時間を考えると、当初想定していた運転開始時期は遅れるとみられる。
政府は洋上風力発電を再生可能エネルギー導入の「切り札」として位置づけている。今後の洋上風力導入政策にも影響が出る可能性がある。》
影響が出るどころの話ではないはずだ。
新潮は、経済ジャーナリストの井伊重之が「洋上風力発電はお先真っ暗」だとリポートしている。
だが、三菱と中部電力が中心となる企業連合が、断トツで入札し、3海域を総取りしたのに、採算が合わないという理由で「ヤメタ」で済むのだろうか?
保証金の200億円の没収と、地域支援のために一定の負担をすべきなのは当然だが、国家プロジェクトなのだから、もっと厳しい負担をさせるべきだと考えるのは、私だけではないだろう。
慌てたのは経産省だというが、三菱の動きを察知することができなかったのだろうか。
政府は、今年に入ってエネルギー基本計画を閣議決定した。それによると、2040年度には再生エネルギーが電源全体に占める比率を4~5割にするという大目標を立てていたという。
風力発電も現在の1.1%から4~8%にまで上げると見込んでいたというのだ。
だが、三菱商事が撤退すれば、他の企業も撤退するかもしれないのだ。そのうえ、メガソーラーも地元と軋轢を生んでいるし、まさに再生エネルギー絶対絶命という事態なのである。
新潮は、再生エネルギー導入拡大で、国民負担は確実に増えているというのだ。
「再生エネによる電力はFIT制度(固定価格買取制度=筆者注)により、最終的に賦課金として国民が支払う電気料金に上乗せされるためだ。25年度の標準家庭(月使用料400キロワット時)の賦課金は月額で約1600円、年間で2万円近くに達する。政府は物価高対策で電気・ガス代を補助してきたが、その一方で賦課金は増加傾向にある。現在の賦課金は太陽光や陸上風力の電力買い取りのために発生しているが、これの洋上風力も加われば、さらに国民負担は増す。このため、国民民主党はFIT賦課金の中断を政府に求めている。
これまでの政府のエネルギー政策は、温室効果ガスの排出削減に向け、再生エネの導入に重点が置かれてきた。だが、総合的なエネルギー政策を打ち出すには、地球環境だけでなく、安定供給や経済性なども考慮し、多様な電源を組み合わせる必要がある」(新潮)
このままいくと、やはり原発しかないということになりかねない。三菱商事をはじめ、商社や電力会社などが謀議して、再生エネルギーを政府に断念させ、または、政府も合意のうえで、原発推進に一本化するための「やらせ」ではないのか。
私のようにひねくれた者は、そう邪推してしまうのだが。
お次はニューズウイーク日本版から。
今日(11月4日)から国会が始まり、代表質問も始まった。総理に就任したばかりで、トランプや韓国の李在明(イ・ジェミョン)、習近平と首脳会談をしただけで、評価すべき何物もないから、低調なやりとりである。
それよりも連立相手である日本維新の会の藤田文武共同代表が「しんぶん赤旗」に、2017年6月~24年11月、公設第1秘書が代表を務める会社に「ビラ印刷費」などとして計約2100万円を支払い、同社から秘書に年720万円の報酬が支払われていたと報じた問題のほうが、大きな広がりを見せている。
しかも、維新の創業者である橋下徹弁護士が連日、Xに連続投稿して、「適法か違法かが問題ではない」と指摘すると同時に、「外形的公正性に疑義が持たれるような金の扱い」「知事・市長でこんなこと許されたら、ボロ儲けできるわ」「公金である政党交付金を使って、身内の会社に仕事発注をするやり方を維新は認めるのか」と激烈に批判している。
維新の会も自民党と連立などしなければ、赤旗が真剣に取材することもなかったのではないか。
ところで、ニューズウイーク日本版が高市早苗研究をやっている。筆者は日本政治研究者のトバイアス・ハリス。
その中で、こういう指摘に目がいった。
「維新の会の藤田が『狂いたまえ』という吉田松陰の言葉を持ち出したのは、今の日本の置かれた状況が明治維新前夜のそれと同じくらい厳しいという認識があればこそだろう。
しかし、政治的・経済的な現実を直視するなら、そんな大胆さは逆効果だ。政治的資本のない野心、財政的余力のない野心、勝者なき国際競争に突っ込む野心は暴走に等しい。
強くて安全な日本を目指した安倍の夢を追うこと自体は悪くない。むしろ、今こそ必要だとも言えるだろう。しかし政治家・安倍晋三の強みは、高尚な理念を唱えたことではなく、柔軟な現実主義と保守的な理想のバランスを取った国家運営へのアプローチで巧みに状況の変化に適応した点にある。
支持率の低迷する少数与党を率いて経済的・地政学的な逆風に立ち向かわねばならない高市には、安倍以上のバランス感覚が求められるのではないか。
こうした国内外の環境の違いを正しく理解できなければ、高市政権の持続可能性(そして彼女の野心の実現性)は怪しくなる。少数与党という微妙な立場にありながら、およそ両立しがたい難題(賃上げを継続しつつインフレを抑制する、防衛関連支出を増やしつつ財政赤字を縮小する、など)に正面から取り組み、激変する世界秩序の荒波をうまく乗りきっていくには、確固たる国民的コンセンサスを築く必要がある。
そこで求められるのは、吉田松陰的な熱い『狂気』よりもさめた知恵ではないか。かつての師・安倍晋三に憧れるのもいいが、今の高市早苗は前任者・石破茂の言葉にも耳を傾けた方がいい」
首脳外交を無事に終えたのも、高市早苗が女性だからであろう。男たちは女性を怒らせると怖いと身をもって知っている。
よほど理不尽なことをいわない限りレディ・ファーストを貫き、俺は女性に対して礼儀を尽くす男だと誇示したいのだ。
だが、そんなハネムーンの時期はすぐに終わる。高市の絶叫が国会に響き渡る日が遠からず来る。そこからが高市の正念場になる。
さて、ゴロゴリ保守の高市早苗が総理になって、愛子天皇実現は遠のいたのだろうか。
女性誌の見方も千々に乱れているようだ。
まず、女性セブンは脈ありとみている。
だが、その根拠は高市が「官邸に足を踏み入れたその日、傍らに携えていたのは、シンプルながら存在感のある黒いバッグだった」というのだが……。
このバッグは、「長野に拠点を構える『濱野皮革工藝』というブランドの『ディライト トートバッグ』です。このブランドは、美智子さまの時代から女性皇族方が愛用され、海外賓客への贈り物としても重宝される“皇室御用達”の品。美智子さまは同ブランドのバッグを雅子さまへご成婚時に贈られたほか、イギリスの故・ダイアナ元妃にもプレゼントされています」(皇室ジャーナリスト)。
そうした由緒あるバッグを“初出勤日”に選んだ高市首相だが、この選択は、「自身のファッションが注目されるのを意識した上でのことではないか」と、ある政治部記者は語っている。
「高市さんは自民党総裁選の期間中、フランスの高級ブランドである『クリスチャン・ディオール』のバッグを使っていたことがSNS上で取り上げられ、“庶民の感覚とかけ離れている”と、やっかみを浴びました。
一方、初出邸の際のファッションも注目を浴びましたが、今回使っていたのは皇室御用達の国産ブランド。一転して好意的な意見が相次ぐ結果となったのです。高市さんは皇室に“急接近”する姿勢を見せたことで、批判をかわすことに成功したのです」
あまりにも根拠が弱いと思うのだが、高市の育った環境も根拠になるというのである。
「奈良県出身の高市さんは、幼少の頃から初代天皇の神武天皇が祀られている橿原神宮に毎年お参りをしてきたそうです。そうした中で、子供の頃から皇室への思いを育ててきたようで、初当選を果たし、初めて国会で陛下の声を聞いた際は、思わず涙がこぼれてきたと聞いています」(前出の政治部記者)
それに、高市は元々保守派ではなかったという。
「政界入りしたばかりの頃の高市さんは、自民党を離党した政策集団『リベラルズ』のメンバーに加わり、左寄りの主張も唱えていた。その後もなかなか軸足が定まらなかった彼女を寵愛したのが安倍元首相で、安倍内閣で重役を任されることで保守傾向を強め、与党内での立場を確固たるものにしました。
最近では欧州でも女性の保守系リーダーが多く登場していますが、彼女たちは次第に“現実路線”にシフトする傾向にあります。高市さんも時流に合わせて求められるものを適切に判断していくでしょう」(前出の政治部記者)
高市首相は「愛子天皇」を容認する発言もしていた。
「『文藝春秋』(2022年1月号)で、《私は女性天皇に反対する立場ではありません》と明言しています。また今年9月には、産経新聞のインタビューで《過去の男系の女性天皇を否定するような発言は絶対に避けたい》とも話している。
「総裁選の直前には、自身の岩盤支持層と読者が重なる産経新聞で改めて、同様の主張をしていました。今後も雅子さまや愛子さまに寄り添うような発言が増えていくのではないか」(前出の政治部記者)
高市が師と仰ぐ安倍晋三も「女性天皇」は容認していたといわれている。それに女性首相が愛子天皇を実現させれば、女性の支持率が急上昇することは間違いない。
不人気をリカバリーするために、支持率アップを狙い、高市が博打を打ってくるということはあり得るかもしれない。
女性自身は、そういう見方に懐疑的である。
「首相指名選挙の前日、自民党は日本維新の会と連立合意を結びました。連立政権合意書には、皇室が直面する問題に関する文言がありましたが、保守的な両党の方針が鮮明になった内容でした」(宮内庁関係者)
その合意書の一節には、
《「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、’26年通常国会における皇室典範の改正を目指す》
と、今夏までの通常国会で行われていた皇族数確保のための議論のなかで、自民党と日本維新の会が主張していた旧宮家の男系男子の養子縁組案が強く打ち出された内容が記されていたと指摘している。
そうした流れのため愛子さんの“お見合い”が増えていくのではないかとみている。1947年に皇籍離脱した旧宮家のひとつ、賀陽家の男性も有力な候補者の一人だという。
「賀陽家の当主・賀陽正憲さんは陛下のご学友で、かつ子息は愛子さまとも年が近く、以前から“お婿候補”と目されてきました。保守的な新政権の誕生で、愛子さまが旧宮家の男性との接点を持っていただくための動きが活発になるように感じています。
皇室の方々は、旧華族に連なる人々や学習院関係者などが設けるお茶会やパーティといった場を“出会いの場”とされてきました。そこから関係を深められていくわけですが、愛子さまにも、旧宮家の男性との“お見合い”となるような場が、次々とセッティングされていくことも十分にあるのです」(学習院関係者)
さて、高市早苗総理の内心はどちらだろうか?
ところで、日弁連に人権救済を申し立てた国分太一(51)だったが、日本テレビ側は、いきなり代理人の弁護士の事務所に「恫喝FAX」を送ってきたと新潮が報じている。
そのため、その姿勢を見た国分は「恐怖すら覚えている」(菰田優弁護士)というのだ。
新潮が入手したFAXには、〈記者会見が行われると聞き及んでいますが、これ以上、関係者を傷付ける行為は行われるべきではなく、(中略)厳に慎むよう、強く申し入れます〉
こう中止を要請し、
〈これ以上、国分氏の自己保身のために関係者を蔑ろにする挙動に出る場合、(中略)交渉は継続し難いと考えております〉
と結んでいるという。
菰田弁護士はこう話す。
「そもそも一方的な会見を最初に開いたのは日テレです。それなのに国分さん側が開くのは許さないなど、報道機関とは思えない横暴ぶり。実はファックスだけでなく、23日の昼に日テレ側の代理人弁護士事務所から、私が文書を目にしたかを確認する電話がありました。さらに13時過ぎにも私のメールアドレスに、同じ内容の文書が送られてきました」
さらにFAXの中で、菰田弁護士の発言が、「関係者の特定とプレイバシー侵害というさらなる人権侵害を招く行為」だと糾弾しているというのだ。
「しかし具体的のどの部分が該当するのか明らかにされていない。事実、被害者の特定に繋がるような発言など一切しておらず、これでは国分さん側からの発言を封じること自体が目的なのでは、と考えざるを得ません」(菰田弁護士)
新潮の報道によれば、国分自身が、どのセクハラを指しているのかわからないといっているというのだ。
これでは、国分がこれまですべてのセクハラ行為を白状しなければ、相手のプライバシーを侵害することにはならないのではないか。
さて、日テレはどう答えるのか? “会見封じ”と取られても仕方のないファックス送信の意図や、菰田弁護士の発言内でどの部分が「人権侵害」に当たるのかを、新潮が問うたが、
「代理人に情報の漏えいについて抗議し、関係者のプライバシー保護を最優先にした対応を、お願いしました。弊社の対応については(中略)社長定例会見で改めて説明しておりますのでご確認ください」(広報部)
という答えだったという。
日テレ側が被害者のプライバシーを守ろうというのは理解できる。だが、国分にも人権もプライバシーもあるのだ。
獣にも劣る卑劣な行為をした奴には人権などないというのなら、どのようなものだったかを国分も知る権利があるはずだ。
何度も書いているが、国分に具体的にどの行為が重大なコンプラ違反だったのかを通告しなくては、国分も謝罪のしようがないだろう。
いきなり、大メディアから、「お前は重大な犯罪を犯した」と名指しされ、世間からは冷たい視線を浴びた。だが、本人はどういう犯罪なのか判然としない。
そのまま半年、1年、放っておかれたら……。
このままでは国分も会見は開けず、世論も納得できない。被害者のプライバシーは守られるべきだとは思うが、一人の人間の人生がかかっているのだから、メディア側にも説明責任はあって然るべきだろうと思う。
今週の最後の記事は、高市政権で経済安全保障相と高市氏が力を入れる外国人政策担当相に就任した小野田紀美参院議員(42)の話題である。
高市以上ともいわれる保守政治家で、故・安倍晋三とも親しかったという。
就任早々、地元に週刊新潮の記者が入り、取材していることを非難して注目を浴びた。
弁護士ドットコムニュース(10/28(火) 12:21配信)から引用する。
10月26日の投稿で、小野田議員は週刊新潮の取材行為によって、同級生などから“SOS” が届けられたと説明し、「なぜ取材を断るのか理由を述べるよう言われ、追い詰められるように感じる方もいたそうです」などとつづった。
私の地元の方や、同級生の方々から「週刊新潮の取材が来た。どこで個人情報が漏れているのか分からないが怖い、気持ち悪い」と多数のSOSが届いています。取材に応じないと、なぜ取材を断るのか理由を述べるよう言われ、追い詰められるように感じる方もいたそうです。このような迷惑行為に抗議します。(投稿全文)
日本維新の会共同代表の藤田文武衆院議員も、これを引用する形のX投稿で「こちらも行き過ぎたやり方には抗議し、必要に応じてオープンにすることにします。」と週刊誌の取材方法を問題視した。ほかにも賛同を示す議員らがいた。
小野田議員の投稿には33万件の「いいね」がつけられており、SNS上や、小野田議員の投稿を扱ったニュース記事のコメント欄には、週刊誌やオールドメディアの取材について「マスゴミ」と批判するような意見が多数寄せられた。
一方で、政治家に対するメディアの萎縮につながりかねかねず、ジャーナリストからは「行き過ぎではない」との声も上がっている。》
では、その新潮はどう報道したのか? それを紹介する前に、安倍が狙撃される直前、小野田の選挙応援に来ていたことを報じたデイリー新潮(2022年08月12日)の記事を見てみたい。
タイトルは、「地元・岡山で10代から77%の支持 『小野田紀美』参院議員はなぜ若年層から圧倒的に人気があるのか」である。
夕刊フジ(電子版)が7月12日に、「安倍元首相が死去前日に語った『日本愛』経済・安全保障・改憲、岡山選挙区の小野田氏応援演説で『国を守るのは私たち自身なんです』」という記事を配信したことから書き起こしている。
「7月8日、安倍晋三元首相(享年67)は奈良市内で凶弾に倒れた。その前日、7日の夜は、岡山市内で小野田紀美・参議院議員(39)の応援演説を行っていた。
演説が終了すると、安倍元首相はTwitterに、以下のような投稿を行った。
《自民党公認のみで戦い抜く小野田紀美候補。厳しい闘い、彼女の鋼の信念に会場は燃えました。/日本を守り抜く小野田紀美候補に力を!/宜しくお願いします》
安倍元首相の熱意が伝わってくるが、だからこそ、どのような応援演説だったのか興味が湧く。夕刊フジの報道から引用させていただく。
「《「今日は七夕、晴れましたよね。やっと織姫に会いに来ることができました。彦星は私1人かと思ったんですが、昼間には岸田(文雄)総理が応援に駆け付けました」》
《「思い切りが良くて、そして潔い。『度胸がありすぎる』という人がいるくらいです。でもみなさん、そういう政治家が、日本には必要じゃないですか」》
《「私はよく言うんですが、闘う政治家と闘わない政治家。『安倍さんの言っていることはよくわかるけど、今回は我慢したらどうか』というのが闘わない政治家でありますが、まさに小野田さんは正真正銘の闘う政治家であります」》」
小野田は公明党の推薦を断っていた。厳しい選挙が予想されたが、結果は圧勝だった。
「自公の“票目当ての選挙協力”に異議を唱えた“岡山のジャンヌダルク”──こんなイメージがネット上に流布し、SNSでは小野田議員を応援する投稿が相次いだ。
結果、小野田議員は39万2553票を獲得。次点の立候補者に18万票を超える大差を付け、得票率は54・7%に達した」(同)
地元・岡山で10代から77%近い支持があったという。
「山陽新聞の出口調査によると、小野田さんは自民党支持者の8割以上をまとめただけでなく、維新や国民の支持層にも4割台と食い込んだそうです。特筆すべきは10代有権者の支持が高いことで、何と76・6%に達しました。『支持母体の創価学会が小野田議員に投票しないよう呼びかけた』と報じられたものの、それでも公明党の支持層は3割が彼女に投票しました」(担当記者)
当時からネット配信力でも優れていたという。
ウルトラ保守。改憲派。公明党嫌い。入管体制の強化。そんな小野田は米イリノイ州シカゴで生まれ、岡山県で育ったという。
父はアメリカ人、母は日本人。拓殖大卒業後、ゲーム、CD制作会社に勤務し広報、プロモーションを担当。180センチ近い。一時モデルをしていたこともあったようだ。その後、東京都北区議をへて、2016年参院選岡山選挙区に自民公認で立候補し、初当選している。
2017年、米国籍を抜いた。当時民進党の蓮舫議員が台湾との二重国籍問題を抱えていたが、「個人的な件」として戸籍謄本を公開しなかったことを痛烈に批判して、「なぜ公開しないのか。公人にプライバシーはない」と指弾したという。
だが、今回、小野田の取材をした新潮を批判した。言行不一致ではないのか。
小野田から名指しで取材活動を批判された新潮。どんな誌面を作るのかと期待したが、残念ながら新味は何もなかった。
強いていえば、小野田が2歳の頃に、父親はいなくなったが養育費は払ってくれなかった。母親は英会話教室などを開きながら、彼女を育てたというところか。「傍から見れば活発な少女だったようだが、過去にはインタビューで『ガイジンと言われ石を投げられた』と語っており、周りとの違いに苦しんだこともあったという」(新潮)
仲良しの妹がいるようで、妹は大型トラックの運転手という本業がありながらも、姉の小野田が国会議員になった後は、一時、秘書としてその活動を助けていたという。
高市総理よりも直情径行型だと見受けるが、さる国政議員はこう不安を口にしている。
「経済安保相は法務省や外務省、警察庁など複数の省庁を跨いだ調整が必要になる、難しいポスト。小野田大臣はまだこれといった実績に乏しく、どこまでやれるかは未知数です。
外国人政策の厳格化をアピールできる一方で、性格的に失言のリスクもあり、高市政権にとって“諸刃の剣”であることは確かでしょう」
しばらくは、お手並み拝見というところのようだ。(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
