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『金ロー』を独自視点からチェックする!【88】

SNSが再発掘した80年代映画『グーニーズ』 “時代の闇”を背負ったスロースの存在

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 冴えないガキンチョたちの冒険を描いたハリウッドの人気映画といえば、そう『グーニーズ』(1985年)です。日本での興収は19億円と、突出した大ヒット作ではなかったものの、SNSなどで再評価されるようになった1980年代の娯楽映画です。

マイケル・ジャクソンも憧れた“永遠の少年”

 1980年代はこの手のガキンチョを主人公にした冒険映画が、次々と公開されました。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)や『スタンド・バイ・ミー』(1986年)は不朽の名作として評価されています。その点、『グーニーズ』は名作とは違った、どこか未完成な魅力があり、思わず応援したくなる作品なんですよ。

 6月5日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で5年ぶりに放送される『グーニーズ』の愛すべき見どころと、80年代の洋画が今でも人気の秘密を探ってみましょう。

クラスのはみ出し者たちが集まった「グーニーズ」

 80年代はMTVが大ブームを呼んだ時代でした。そんな時代にブレイクしたシンディ・ローパーが歌う主題歌「グーニーズはグッドイナフ」が流れる『グーニーズ』は、こんな物語です。

 海沿いにある地方都市で暮らす少年・マイキー(ショーン・アスティン)は、いつも仲間とつるんでいます。喘息持ちのマイキーの他、変わり者のマウス、食いしん坊のチャンク、発明好きなデータという、クラスのはみ出し者たちの集まりで、「グーニーズ」を名乗っていました。

 マイキーたちが暮らす住宅街はゴルフ場として再開発されることが決まっており、近日中に引越さなくてはいけません。「グーニーズ」として最後の週末を過ごすはずが、マイキーの兄・ブランド(ジョシュ・ブローリン)が車の運転免許の試験に落ちてしまい、遠出することのできないトホホな状況です。

 そんなとき、マイキーたちは屋根裏部屋で古い地図を見つけます。伝説の海賊「片目のウィリー」が残した秘宝のありかを示したものです。財宝が手に入れば、マイキーたちは引越しをせずに済むかもしれません。

 いざ、チャリンコに乗って宝探しの冒険に向かう「グーニーズ」でしたが、地図が示した先はギャング団のアジトです。アジトへの侵入に成功した「グーニーズ」は、秘密の洞窟の入り口を発見します。ギャング団に追われながら、「グーニーズ」の宝探しの冒険が繰り広げられます。

発明好きのデータは、アカデミー賞俳優に

 兄・ブランド役のジョシュ・ブローリンは本作で映画デビューし、のちにコーエン兄弟の『ノーカントリー』(2007年)で注目を集め、遅咲きのハリウッドスターとなっています。中国系のデータを演じたキー・ホイ・クァンはその後しばらくスタッフとして裏方仕事をしていたのですが、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)で俳優復帰し、アカデミー賞助演男優賞に輝いています。

 一方、肥満児のチャンクを演じたジェフ・コーエンは、俳優業は引退し、弁護士に転身。マウス役のコリー・フェルドマンは『スタンド・バイ・ミー』のテディも演じていましたが、ドラッグ依存症で苦しみながら俳優を続けているようです。

 主人公のマイキーを演じたショーン・アスティンは、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(2001年~2003年)に出演後は、Netflixの人気シリーズ『ストレンジャー・シングス』に第2シーズンから出演。現在は「全米俳優組合」の会長を務めるという堅実な役者人生を送っています。ちなみに、メガネ女子のステフを演じたマーサ・プリンプトンは、23歳の若さで夭折した伝説の俳優リバー・フェニックスの元カノです。

 売れっ子になったキャストもいれば、転職組もいるというのが「グーニーズ」のリアルな現状です。まさに「人生いろいろ」です。

『ホーム・アローン』のクリス・コロンバスが脚本

 ギャング団に捕まったチャンクが、自分のやらかした過去を延々と語り続けるシーンは、『グーニーズ』を代表する名場面でしょう。くだらないギャグが、実にいい感じで盛り込まれています。

 リチャード・ドナー監督は『スーパーマン』(1978年)や『リーサル・ウェポン』(1987年)などを撮ったヒット映画職人です。脚本を担当したクリス・コロンバスは、『ホーム・アローン』(1990年)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)でガキンチョ映画の巨匠監督となったことで有名です。

 本作はスティーブン・スピルバーグが製作総指揮していますが、同じスピルバーグ製作総指揮の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が見事に洗練されているのに対し、全体的にゆる~いムードが流れています。『スタンド・バイ・ミー』みたいに、泣ける映画でもありません。

 でもね、そこがいいんです。クラスメイトの中でも成績優秀者でも、スポーツエリートでもない、平凡なんだけど仲のよかった親友。『グーニーズ』って、そんな親近感のある作品なんですよ。

藤子不二雄作品との親和性の高さ

 80年代の洋画が最近は再評価されるようになってきましたが、『グーニーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『スタンド・バイ・ミー』って、藤子不二雄作品との親和性がすごく高いと思いませんか?

 藤子不二雄ワールドの主人公は、基本的にクラスの落ちこぼれやいじめられっ子です。それでもって、彼らは土管のある空き地に集まり、子どもたちだけの共同体を築き、日常とは異なるSF(少し不思議)ワールドに足を踏み込むことになります。『グーニーズ』と通じるものがあります。
 
 スマホもSNSもなかった、ちょっと不便だけど、そんなアナログ感が郷愁をもたらす世界になっています。80年代をリアルに体験した世代だけでなく、若いSNS世代も『グーニーズ』で描かれる世界は、どこかノスタルジックに感じるのではないでしょうか。

 この世界観をうまく使っているのが『ストレンジャー・シングス』なんだと思うわけですよ、はい。

80年代は明るく、平和だったという幻想

  1980年代って日本がバブル経済に向かっていた時期で、平和な時代だったというイメージがあります。世界が混沌化している現代から見ると、ノー天気な時代だったように感じられます。それも「80年代」が人気となっている要因でしょう。

 でも、80年代が本当に平和な時代だったのかというと、実はそうでもありません。レーガン大統領が「強い米国」を謳う一方、社会格差が広がっていきました。旧ソ連によるアフガニスタン侵攻、英国とアルゼンチンとのフォークランド紛争もありました。韓国では「光州事件」、中国では「天安門事件」が起きています。日本では校内暴力が吹き荒れていました。

 そんな社会の影は、マイキーたちがゴルフ場建設のために家を追い出されかけているところにも感じることができます。また、この時代の闇部分を象徴した存在が「スロース」ではないでしょうか。

 ギャング団を率いる母親から虐待されて育ったスロースは、地下牢みたいな場所に監禁された生活を送っています。顔に障害を持つスロースですが、でも心はイノセントのままです。チャンクと出会い、すっかり仲良くなっていきます。

 ノー天気な冒険コメディと思える『グーニーズ』ですが、家庭内虐待という社会の闇部分を描いており、家族に複雑な感情を持つスロースという存在が『グーニーズ』を忘れられない作品にしていることは確かです。

 ちなみにスロースを特殊メイクで演じた元アメフト選手の俳優ジョン・マトゥザックは1989年に38歳で亡くなっています。死因はドラッグの過剰摂取でした。

マイキーたちが手に入れた財宝とは?

 マイキーたちの冒険が終わり、スロースは地下牢から解放され、上映時間114分で無事に大団円を迎えることになります。いかにも80年代のハリウッド映画らしい作品です。

 結局、マイキーたちは大海賊が隠していた大量の金貨を手に入れることはできません。でも、金貨よりも、ずっと大切なものがあることを少年たちは知るのです。それは、冒険心をいくつになっても失わずにいるということです。

 それって、現代のハリウッドが忘れてしまったものでもあると思うんですよね。映画会社の重役たちは、今こそ『グーニーズ』を見返すべきだと思いますよ。

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(文=映画ゾンビ・バブ)

映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ(映画ウォッチャー)。映画館やレンタルビデオ店の処分DVDコーナーを徘徊する映画依存症のアンデッド。

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最終更新:2026/06/05 12:00