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夫の浮気現場は思い出の店だった――1100件の浮気調査を手がけた探偵小沢が明かす現場のリアル

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夫の浮気現場は思い出の店だった――1100件の浮気調査を手がけた探偵小沢が明かす現場のリアルの画像1
(写真:荒熊流星)

 人はどんな瞬間に「探偵に頼ろう」と決意するのか? そして、依頼を受けた探偵は、どのように真実へたどり着くのか?

 浮気相手を尾行し、決定的な瞬間をカメラに収める……。ドラマや漫画では華やかに描かれる探偵だが、実際の現場を支えているのは、何時間にも及ぶ張り込みや周囲に溶け込むための演技、そして地道な証拠収集だ。

 16年間にわたって探偵として活動し、これまでに1100件以上の浮気調査を担当してきた探偵小沢。YouTubeやXでは実際の証拠映像も公開し、「顔出し探偵」として注目を集めている。依頼者はなぜ探偵を頼り、調査員はどのように証拠をつかむのか? 知られざる探偵業の実態を聞いた。

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探偵への依頼の8割は浮気調査

――顔を出して活動している探偵は珍しいですよね。Xにも多くのフォロワーがいます。

小沢 探偵業界で顔を出しながら、今も第一線で尾行してるのは、たぶん僕くらいではないでしょうか。本来、探偵はあまり表に出ないほうが望ましい仕事ですから(笑)。

――小沢さんが探偵になったきっかけは何だったのでしょうか?

小沢 大学生だった頃、自分にしっくりくる職業がなかなか見つからなかったんです。ただ、求人を探している時に、ふと「探偵」という言葉が浮かびました。そこで、大手の探偵会社に就職し、4年ほど勤めた後に独立しました。

――普段はどのような依頼が寄せられるのでしょうか?

小沢 業務の8割ほどは浮気調査です。それ以外では、家族に関する調査や、企業から依頼を受けて社員の行動を確認する素行調査などがあります。結婚を控えた人から依頼を受ける婚前調査もありますね。結婚相手がどのように働き、普段どんな生活をしているのか、ほかに交際相手がいないかなどを調べます。僕自身は浮気調査を専門にしているので、やはりその依頼が最も多いです。

――依頼者には、どのような人が多いですか?

小沢 7割ほどが既婚女性です。もちろん、男性から依頼を受けることもあります。調査結果は、離婚するかどうかを判断する材料や、離婚協議を進める際の証拠として使われることが多いです。

――依頼する段階で、すでに浮気を確信している人が多いのでしょうか?

小沢 必ずしもそうではありません。「確証はないけれど、“女の勘”で怪しいと感じるので調べてほしい」という人もいます。本人は浮気ではないと思っていても、弁護士や友人から「相手がいるのではないか」と言われ、念のため調査を依頼するケースもあります。わずかな違和感から相談に来る人は少なくありません。

4〜5日の調査で100万円を超えることも

夫の浮気現場は思い出の店だった――1100件の浮気調査を手がけた探偵小沢が明かす現場のリアルの画像2
(写真:荒熊流星)

――探偵への依頼には、かなり費用がかかるイメージがあります。

小沢 料金は本当にピンキリです。広告を大々的に出しているような大手探偵会社の場合、4〜5日間の調査で100万〜120万円ほどかかるケースもあります。調査時間や調査員の人数、車両を使うかどうかなどによって、金額は大きく変わります。僕の場合は、依頼者から詳細な状況や対象者の行動パターンを聞いたうえで、必要な日数や時間に絞っての調査を提案しています。

――一般の人にとっては、かなり大きな金額ですね。

小沢 実際の調査では、僕ひとりではなく、複数の調査員が動くことがあります。対象者が車で移動する可能性があれば車両も必要ですし、交代要員を用意することもあります。尾行や張り込みには専門的な技術が必要で、調査員が長時間拘束される仕事でもあります。対象者の移動手段や現場の状況によっては、複数の調査員や車両が必要になるため、どうしても人件費もかかるんです。

――探偵には、目立たない外見の人が向いていると聞いたことがあります。小沢さんは顔を公開していますが、現場で気づかれることはないのでしょうか?

小沢 僕自身は、それほど目立つほうではないと思います(笑)。身長が極端に高いなど、非常に目立つ身体的特徴があると不利なことはあるかもしれません。ただ、見た目そのものより、その場に自然に溶け込めるかどうかのほうが重要です。状況によっては、あえて目立つほうが自然な場合もあります。

――場所や時間帯に合わせて、振る舞いを変えるのですか?

小沢 服装だけでなく、立ち方や歩き方、視線の動かし方まで含めて、不自然に見えないようにします。その場所にいてもおかしくない人物を演じるんです。例えば、夜の渋谷で対象者を尾行する場合、仕事やアルバイト帰りのような、少し疲れた雰囲気を出すことがあります。「何か食べて帰ろうかな」と店の看板を眺めているように見せながら、対象者の動きを追う。そんなイメージです。

――役者のような能力が求められるのですね。

小沢 ある役になりきることで、対象者の視界に入ったり、振り返られたりしても怪しまれにくくなります。探偵は対象者に一度も見られないことより、見られても「この人は探偵ではない」と思わせることのほうが大事なんです。

――尾行や張り込み以外に、潜入調査を行うこともあるのでしょうか?

小沢 あります。16年も続けていると、さまざまな経験をします(笑)。宗教団体に入ったこともありますし、料理教室に通ったこともあります。スナックに何度も足を運び、常連客として店側の信頼を得てから情報を聞き出したこともあります。調査対象者と同じ合コンに参加したこともありました。

――対象者と直接会話をするのは、危険すぎるのでは?

小沢 原則として、探偵は調査対象者に接触しません。顔を覚えられたり、調査の存在を知られたりする危険があるからです。話しかけないのが基本です。ただし、依頼内容や状況によっては、対象者本人から話を聞く必要が生じることもあります。当然、法律に触れない範囲で、必要な情報を得る方法を考えます。

写真ではなく映像で「2人の空気」を残す

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(写真:荒熊流星)

――証拠を撮影する際、特に重視していることはありますか?

小沢 浮気調査というと、決定的な場面を写真で何枚も撮るイメージがあると思います。でも、僕は写真よりも映像を重視しています。

――動画で一連の行動を記録するのですね。

小沢 写真を何枚も撮るより、映像で見たほうが、2人の距離感や親密さ、空気感までよく分かります。先日、温泉旅館で撮影した映像をXに投稿したところ、大きな反響がありました。よく見ると、男性が女性の頭をなで、女性が男性のお尻に触れていたんです。静止画だけでは見落とすような細かな動作も、映像には残ります。基本的には動画を回し続け、後から必要な場面を切り出して証拠をまとめます。

――身体的に最もつらいのは、どのような調査でしょうか?

小沢 長時間の張り込みですね。探偵の調査には強い集中力が必要です。例えば、対象者が不倫相手のマンションに滞在している場合、出てくるまで入口を監視し続けなければなりません。いつ出てくるか分からないので、何時間でも待つことになります。疲労が限界に近づくと、24時間を過ぎたあたりから幻覚のようなものが見えることがあります(笑)。

――どういうことですか?

小沢 「早く出てきてほしい」と強く思い続けていると、閉まっている扉が開いたように見えたり、扉の形が人影に見えたりするんです。自分が眠っているのか、起きているのか分からなくなることもあります。長時間の調査は、かなり身体にこたえます。

――そのような調査によって浮気が判明した時、依頼者はどのような反応をするのでしょうか?

小沢 やはり、大きなショックを受けられます。以前、夫が不倫相手の女性と訪れたレストランを依頼者に報告したことがありました。すると依頼者が、「え、ここの店に行ったんですか……?」と驚いたんです。理由を聞くと、「夫からプロポーズされた思い出の店です」と言われました。

――最低!

小沢 ほかにも、待ち合わせ場所に現れた不倫相手の女性のお腹が大きく、妊娠していることが分かったケースもあります。依頼者の妹と夫が不倫していたことが判明したこともありました。

――うへぇ……。

小沢 調査によって、依頼者が想像すらしていなかった事実まで明らかになることがあります。報告する側としても、つらい場面は多いです。

――浮気は、どのようなことをきっかけに疑われるのでしょうか?

小沢 スマートフォンの検索履歴から発覚するケースは非常に多いです。例えば、夫婦間ではセックスレスなのに、夫が「女性 性欲を高める方法」と検索していた。妻がそれを見て不審に思い、相談に来たことがありました。

――高校生のような検索ワードですね。

小沢 最近では、MBTI診断がきっかけになったケースもありました。夫が、妻とは異なるMBTIタイプの人との相性を検索していたんです。

――それこそ、名推理ですね。

小沢 検索履歴や行動の小さな変化から、「何かおかしい」と感じて相談に来る方は多いです。話を聞いたうえで、必要であれば調査を提案します。

探偵業界に嫌気が差し、独立を決意

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(写真:荒熊流星)

――尾行や張り込みをしていると、警察から不審者だと思われることはありませんか。

小沢 職務質問を受けることはあります。探偵業を営むには、都道府県の公安委員会への届出が必要です。営業の届出を行い、届出番号を取得しなければなりません。職務質問を受けた際には、「探偵です」と伝え、届出番号を確認してもらいます。それで事情を理解してもらえることが多いですね。

――警察と探偵では、扱う問題が異なるのでしょうか。

小沢 警察が主に刑事事件を扱うのに対し、探偵は夫婦間のトラブルなど、警察が介入しない民事上の問題に関わることが多いです。もちろん、探偵だから何をしても許されるというわけではありません。他人の住居に侵入すれば犯罪です。実際に逮捕された探偵もいます。探偵業法をはじめ、関係する法律や調査の限界を正しく理解せずに仕事をするのは危険です。

――危険なことも多いと思いますが、探偵を辞めたいと思ったことはありませんか?

小沢 何度もあります(笑)。始めたばかりの頃は、すべてが刺激的で、緊張感もあって楽しかった。でも、次第に慣れてしまいました。探偵業界には、依頼者を助けることよりも利益を優先する会社もあります。大手探偵会社で働いていた時に、そうした業界の内部構造が見えてきて嫌になったことが、独立した理由のひとつです。

――探偵はみんな、「名探偵」を目指しているものだと思っていました。

小沢 実際には、やる気のない調査員もいます。「張り込みをしている」と言いながら、車の中で眠っている人もいる。そうした同業者を目の当たりにしてうんざりしたからこそ、自分は依頼者に対して誠実に仕事をしようと決めました。

――それでも、小沢さんが16年間、探偵を続けてこられた理由は何でしょうか?

小沢 探偵会社に勤めていた頃は、あまりやりがいを感じられませんでした。会社では調査を終えた後、依頼者がどうなったのかを知る機会がほとんどなかったんです。独立してからは、依頼者から直接感謝の言葉をもらったり、調査後の話を聞いたりできるようになりました。そこで初めて、探偵は人を助ける仕事なのだと実感しました。探偵というサービスを正しく使えば、つらい状況から抜け出し、人生を立て直すきっかけにもなります。自分の仕事が誰かの役に立っていると感じられることが、一番のやりがいです。

――顔を出して活動することには、ご自身を律する意味もあるのでしょうか?

小沢 こうして赤裸々に情報を発信することで、自分自身を追い込んでいる部分もあります。顔を出している以上、いい加減な仕事はできない。これからも結果を出し続けたいと思っています。生涯現役で、おじいちゃんになっても現場に出たいですね。僕は死ぬまで探偵を続けたいと思っています。

『Alone in Japan』が映し出す日本のひとり暮らし

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探偵小沢(たんていおざわ)
探偵歴16年。これまでに1100件以上の浮気調査を手がけてきた現役の私立探偵。顔出しで情報発信を行う数少ない探偵として、YouTubeやXを中心に活動し、数万人のフォロワーを抱える。YouTubeでの発信のほか、書籍出版、雑誌取材、地上波バラエティ番組への出演など幅広く活動。著書に『事件はラブホで起きている』(二見書房)がある。

『探偵小沢の浮気調査チャンネル』
https://www.youtube.com/@tanteiozawa

桃沢もちこ

1993年生まれ、愛知県出身。東京都在住のフリーライター。社会問題からトレンド、著名人のインタビュー、体験レポなど幅広いジャンルで執筆。

桃沢もちこ
最終更新:2026/08/10 12:00