「男は好きだけど男に負けるのは嫌」――元地下アイドルのインフルエンサー・胡桃そらが語る“プリキュアマインド”

地下アイドルからインフルエンサーへ転身し、異色のキャリアを歩んできた胡桃そら。
現在は『BreakingDown』や『戦極 MCBATTLE』『令和の虎CHANNEL』など、数々の人気コンテンツに出演。マルチタレントとして活躍している。
毒舌と破天荒なキャラクターで注目を集める彼女だが、現在の姿からは想像もつかない波乱に満ちた過去を歩んできた。
港区育ちの少女が中目黒の高校で知った「自由」
――胡桃さんは、もともと港区・六本木育ちのお嬢様だったそうですね。どんな小学生だったんですか?
胡桃そら(以下、胡桃) 母親に「あなたの好きな色はピンクです」「ツインテールにして、フリフリの服を着て、ピンクのランドセルを背負って学校に行きなさい」と、ずっと「洗脳」されていました。だから、小学5年生くらいまで、「本当は自分が何色を好きなのか」すら分からなかったんです。
――どうして、そこまでお母さんの影響が強かったんですか?
胡桃 港区は教育熱心な人が多くて、幼稚園の頃から子どもを受験させるような家庭も多いのですが、うちの母親もそんな感じでした。バレエ、そろばん、剣道、スキー、水泳とか、習い事もたくさんさせられていました。
――かなり教育熱心な家庭だったんですね。
胡桃 でも、それが普通だったんです。受験をしない子がいじめられるような学校で、算数のプリントを提出するのが一番遅かった子がいじめられたり、「お前、塾行ってないの? 貧乏じゃん」みたいに言われたりしました。
――恐ろしい……。ちなみに、ご両親はどんな人なんですか?
胡桃 母親はヒステリックで、今はスピリチュアルにハマっています。家に魔法陣があったり、塩とか水晶とか骸骨が置いてあったり。「カラスを飼う」と言い出したこともありました。でも、そうなったのも父親に裏切られたことが原因だと思います。
――お父さんは何をしたのですか?
胡桃 浮気をしていました。わたしが幼稚園の頃には両親はもう離婚していたのですが、ずっと「離婚していない」という設定で、小学3年生くらいまで騙されていたんです。その頃には、父親には別の奥さんとの間に子どももいました。さすがに人間不信になりましたね。
――小学生でそれを知ったのは、かなりショックだったでしょうね。それでも、中学までは非行に走らず、勉強したのですか?

胡桃 中学まではギリギリ頑張っていました。でも、高校に入ってから本格的にグレていきました。中目黒の高校に行ったら、武蔵小杉とか元住吉とかから、ちょっとヤンキーっぽい人たちが集まってきて、「世の中にはこんな人たちもいるんだ!」と初めて知ったんです。
――港区にはいないタイプの人たちに出会ったんですね。高校生活も大きく変わりましたか?
胡桃 それまではまったく男に興味がなかったんですけど、高校に入って恋愛をするようになりました。「彼氏がいることがイケてる」みたいな価値観が生まれたんです。他校の男子を校門の前で待たせるとか、2個上の軽音部でドラムをやっている先輩と付き合うとか、そういうことでマウントを取っていましたね(笑)。
――恋愛そのものより、「どんな彼氏がいるか」が大事だったということですね。
胡桃 そうですよ。人間のカスでしたから(笑)。恋愛というより、ステータスのために男と付き合うという感じでした。
――胡桃さんは以前、「セフレが20人いる」と公言していたこともあって、性にオープンなイメージがあります。
胡桃 今はめっきりですけど、昔はたくさんいました。でも、初体験は意外と遅くて19歳だったんです。中学生の頃にも彼氏はいましたけど、何もしなかった。ステータスとして男と付き合うことはあっても、セックスは嫌だったんです。
――そのイメージからすると、19歳というのは意外ですね。初体験の相手はどんな人だったんですか?
胡桃 暴走族に入っている人で、眉毛がなくて、未成年なのにタトゥーが入っていて、リーゼントで顔にピアスを付けていました。わたし、そんな人、それまで見たことがなかったんですよ。周りにはタバコを吸っている人すらいなかったし、悪いやつがすることといえばゲーセンに行くくらいだったので(笑)。初めて会った時に「カッコいい!」と惚れました。
「地下アイドル 有名」で検索……仮面女子からラッパーへ

――そこから芸能界へ進むことになりますが、もともとモデルやアイドルに興味があったんですか?
胡桃 高校を卒業してから、美容師になろうと思って美容学校へ行きました。入学すると、モデルをする側と施術する側に分かれる機会があったんですけど、モデル側をやってみて、「わたしはこっちだな」と思ったんです。
――実際に経験して、「自分は表に出る側だ」と思ったんですね。
胡桃 それに、高校生の頃からSNSのフォロワーが1500人くらいいて、街なかでスナップを撮ってもらうこともあって、ちょっと有名だったんです。だから、もともと目立つことは嫌いじゃなかった。ただ、同じ場所に通い続けることができなくて、美容学校は1カ月で辞めちゃいました。
――その後は何をしていたんですか?
胡桃 半年くらいフリーターをやって、そのあとエキストラのバイトに行ったんです。そしたら、面接官のひとりがアイドルのプロデューサーで、その場でスカウトされました。でも、「どうせやるなら、もっと有名なグループに入りたい」と思って断ったんです。それから「地下アイドル 有名」で検索したら仮面女子が出てきたので、オーディションを受けました。
――実際、アイドルになってみてどうでした?
胡桃 地獄でした。大奥みたいな女社会(笑)。でも、やってよかったと思っています。仮面女子の「アーマーガールズ」というグループに3年半いたんですけど、集客力のあるグループだったので、遠征もたくさんできました。海外にも行ったし、大きな仕事ができたのは仮面女子のおかげですね。
――「地獄」と言いつつも、得たものは大きかったんですね。そこからラップの世界に入ったきっかけは?
胡桃 仮面女子の監督がラッパーだったんです。だから、仮面女子の曲でもラップパートはわたしが担当していました。それからGALFYというブランドのモデルをやった時に、一緒にモデルをしていたインフルエンサーの子がラップをやっていたんですよ。「アイドルがMCバトルに出るのがはやってるから紹介したいんだよね」と言われて、『戦極MCBATTLE』の人を紹介してもらいました。

――そこから、『BreakingDown』などにも出演して活動の幅を広げる一方で、胡桃さんはアンチも多いイメージがあります。実際はどうですか?
胡桃 アンチで成り立っていると言ってもいいくらい、たくさんいます。割合で言ったら、アンチ6、ファン4くらい。アンチはお金がない若いやつらが多くて、ファンはお金持ちとか弱者男性、ヤクザ、ラッパー、ホスト……。めっちゃいい仕事の人か、闇の仕事の人か(笑)。もちろん、介護士や医者の方もいますよ。
――かなり振り幅のあるファン層ですね(笑)。アンチの存在を嫌に感じることはないんですか?
胡桃 配信でアンチコメントが来ると、お金持ちのファンがそれを面白がってギフトを投げてくれるんですよ。だから、わざと煽ることもあります。でも、もともとの性格もこうなんです。裏でも表でも変わらない。そのほうがストレスもたまらないし、キャラを作っていたら長くは続かないと思います。
――アンチも含めて、自分の活動に取り込んでいるんですね。これから挑戦してみたい仕事はありますか?
胡桃 やっぱりテレビを見て育った平成世代なので、テレビへの憧れはあります。CMにも出たいし、いつかmisonoさんにも会いたい。かわいくて歌も歌うけど、お笑い芸人と一緒に変顔もしちゃう。そういう人を目指しています。
――そんな胡桃さんが、仕事をするうえで絶対に譲れないものはありますか?
胡桃 男は好きだけど、男に負けるのは嫌なんです。言い合いでも、『BreakingDown』でも、ラップバトルでもそう。いつも「プリキュアマインド」で敵と戦っています。
――どういう意味ですか?
胡桃 プリキュアは女の子だから、力では弱いじゃないですか。だから、わたしはマイクという魔法のステッキを持つ……。自分の曲のリリックにもあるんですよ。「わたしはマイクを握ったらプリキュアになって、呂布カルマみたいな怪物だって倒せるよ」ってね。
(取材・文=桃沢もちこ)

胡桃そら(くるみ・そら)
1997年、東京都生まれ。10代から芸能活動を始め、2018年にアイドルグループ「仮面女子」に加入。「アーマーガールズ」ではラップも担当した。グループ脱退後は『アウト×デラックス』(フジテレビ系)など数多くのメディアに出演し、歯に衣着せぬ発言と破天荒なキャラクターで注目を集める。現在はバトルMCとして活動するほか、格闘技イベント『BreakingDown』のオーディションにも参加するなど、活動の幅を広げている。
Instagram〈sorakurumi65〉
