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『金ロー』を独自視点からチェックする!【104】

2時間SP『名探偵コナン 30号殺人事件』 未解決となった芸術的犯罪「ニセ札事件」

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新作アニメ『名探偵コナン 30号殺人事件』HPより

「見た目は子ども、頭脳は大人 その名は名探偵コナン」

 そんな台詞でおなじみなのが、TVアニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)です。TVアニメは1996年1月に始まり、2026年は放送開始30周年のメモリアルイヤーに当たります。

 白人視点に偏った「歴史観」

 9月25日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)は、新作アニメ『名探偵コナン 30号殺人事件』がオンエアされます。『名探偵コナン エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』以来となる10年ぶりの2時間スペシャルです。主題歌は倉木麻衣の新曲「ハレルヤ」になります。

 小学生探偵の江戸川コナン(CV:高山みなみ)たち少年探偵団の一行は、日本紙幣印刷局の長野工場の見学へと向かいます。一方、警視庁の管轄内で殺人事件が起き、事件現場からはニセ札が見つかるというストーリーです。

 今週も独自視点で、『金ロー』をネチネチと楽しみたいと思います。

今年30歳の池田エライザがゲスト声優

 TVアニメの放送開始から30年が経ち、当時は子どもだった視聴者もすっかり大人になりました。1997年から始まった劇場版『名探偵コナン』を、親子で楽しむ家族も多いようです。

 今回の『30号殺人事件』は、1996年生まれの池田エライザがゲスト声優として出演します。警視庁科学警察研究所の文書鑑定技官の里見透子役だそうです。

 親子二代にわたって愛されている作品には『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)やスーパー戦隊シリーズなどもありますが、『名探偵コナン』の人気は突出したものがあります。

 原作者である漫画家・青山剛昌はすでに最終回のネームを用意しているそうですが、小学館や日本テレビはまだまだ簡単には終わらせてくれないでしょう。

安室透、赤井秀一も登場するオールスターキャスト

 30周年記念スペシャルとして、今夜は全国各地に散らばる人気キャラクターたちが総登場します。そのために選ばれた題材が「ニセ札」です。

 灰原哀(CV:林原めぐみ)が初登場したのが、1999年に放送された2時間スペシャル「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」でした。コナンと哀が初めて共同で挑んだニセ札事件の顛末が描かれ、視聴率は20%を超えています。スタッフも「ニセ札事件」には手応えを感じているのでしょう。

 コナンは大阪にいる服部平次(CV:堀川りょう)とニセ札の謎を追うことになります。さらには怪盗キッド(CV:山口勝平)、公安警察の安室透(CV:草尾毅)、FBIの赤井秀一(CV:池田秀一)、白バイ警官の萩原千速(CV:沢城みゆき)までオールスターキャストが登場します。

 トイレに行ってる間に、推しキャラを見逃さないようにしたいものです。

宮崎駿や岩井俊二も描いたニセ札事件

 ニセ札づくりは、繊細な偽造技術や最新の印刷技術が求められ、大変な労力を要する犯罪です。映画の世界では、ニセ札を扱った作品がたびたび作られてきました。

 宮崎駿監督の劇場監督デビュー作となった『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)は、欧州の小国・カリオストロ公国で秘密裏に製造されるニセ札「ゴート札」が物語の発端となっています。岩井俊二監督の人気作『スワロウテイル』(1996年)では、千円札を加工して万円札にして、主人公たちが自動両替機で荒稼ぎする様子が描かれました。

 また、木村祐一の初監督作となった『ニセ札』(2009年)では、貧しい村で暮らす小学校の教頭(倍賞美津子)や村の有力者たちが協力して、ニセ札づくりに励みます。興行的にパッとしなかった『ニセ札』ですが、1951年に山梨県で実際に起きた「チ-5事件」を題材にした実録犯罪映画として好事家たちの注目を集めました。

 アカデミー賞外国語映画賞を受賞したのは、『ヒトラーの贋札』(2007年)です。ナチスドイツ時代、ユダヤ人強制収容所でニセのポンド紙幣やドル紙幣が作られていた史実に基づいたものです。

 ニセ札を流通させることで、敵国の経済を混乱に陥れることが目的でした。ニセ札づくりは、国家レベルの予算や組織力が必要なことが分かります。

採算を度外視した芸術的犯罪事件

 日本で起きた実在のニセ札事件として最も有名なのが、1961年に発覚した「チ-37号事件」です。犯人は逮捕されないまま時効を迎えた未解決事件となっています。

 全国で343枚の千円札が見つかった事件ですが、素人にはニセ札の識別が難しく、また新聞がニセ札の特徴を報道すると、犯人はその問題点を修正して、新しいニセ札が出回りました。この事件がきっかけで、それまで千円札に使われていた聖徳太子の肖像画は伊藤博文に変わることになりました。

 当時の千円札が偽造しやすかったことから、犯人はニセ千円札を偽造したようです。しかし、特殊なインクや用紙、印刷機などの経費を考えると、いくらニセ千円札を刷っても、犯人側の儲けはほとんどなかったはずです。

 そのため「チ-37号事件」は、日本犯罪史に残る「芸術的犯罪」として記憶されています。

世界を震撼させた「スーパーノート」

 未解決のまま迷宮入りした「チ-37号事件」ですが、戦時中の「陸軍登戸研究所」の関係者が関わっていたのではないかと噂されています。『ヒトラーの贋札』でナチスドイツがニセ札で敵国を混乱させようとしていたように、日本軍もニセの中国紙幣を印刷し、中国経済を混乱させることを計画していました。

 戦時中には25人の印刷関係者が「登戸研究所」にいたそうですが、終戦後は何人かの消息がつかめていません。芸術的と称された「チ-37号事件」と「登戸研究所」をめぐる都市伝説はその後も続きます。

 1980年代末から1990年代に、非常に精密なニセの100ドル紙幣が世界各地に出回る「スーパーノート」と呼ばれる騒ぎが起きています。米国警察が血眼になって捜査した国際的な事件でした。

 かつてない高精度なニセ札だったことから、国家規模の犯罪組織の仕業だったと言われています。「北朝鮮にニセ札工場があった」という脱北者の証言もあります。

 この「スーパーノート」にも、「登戸研究所」の関係者かその技術を受け継いだグループが関与していたのではと推測する声もありました。ニセ札づくりには国家の裏の歴史が隠されています。

30年間で変わりつつある犯罪の世界

 現在でも闇バイトやパパ活などが行われる地下世界では、カラーコピーによるニセ札事件は摘発されていますが、より高度な透かし技術や特殊な紙素材を紙幣に使うようになったため、大掛かりなニセ札づくりは割が合わないとされています。ニセ札を苦労して印刷するよりも、暗号資産などを狙った犯罪のほうが効率がいいからです。

 コナンたちが追う「30号殺人事件」のニセ札犯は、どんな人物像になるのでしょうか?

 名探偵コナンが登場して、すでに30年以上の歳月が流れました。この30年の間に社会だけでなく、犯罪の世界も大きく変わってきています。犯罪者側にもあった最低限のモラルや美意識は消滅し、利潤のみを求める犯罪ばかりになりつつあるように感じます。

「真実はいつもひとつ」

 江戸川コナンは、この台詞をいつまで口にできるのでしょうか。黒ずくめの組織による犯罪が未解決のままで終わることだけは、勘弁してほしいなと思います。そろそろ、工藤新一と毛利蘭を再会させてあげてもいいんじゃないでしょうか。『名探偵コナン』がハッピーエンドで終わらなかったら、それこそ犯罪ですよ。

『タイタニック』が描いた「永遠の一瞬」

(文=映画ゾンビ・バブ)

映画ゾンビ・バブ

映画ゾンビ・バブ(映画ウォッチャー)。映画館やレンタルビデオ店の処分DVDコーナーを徘徊する映画依存症のアンデッド。

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最終更新:2026/09/25 12:00