フジテレビ問題、ローカル系列局までに影響を及ぼし始めたCM出稿大激震
週刊誌にテレビ局勤務の女性との間に起きたトラブルを報じられたタレント・中居正広が1月23日に芸能活動引退を発表した。
その一方、自局の人気バラエティー番組のプロデューサーを歴任し、現在は幹部となっている男性社員がこのトラブルに関与していた疑惑が報じられているフジテレビでは、騒動の影響を重く見た75社にも及ぶスポンサー企業がCMを差し止める動きを見せて経営危機も叫ばれている。
ここまでフジが苦境に立たされている要因の一つとして、同局の港浩一社長が今月17日に行った記者会見の存在は無視できないだろう。
芸能ジャーナリストの竹下光氏は語る。
「それなりの対応策を決める前に聞かれたくない質問もあったのかもしれませんが、毎月本社で行っている定例の社長会見を前倒しする形という名目で記者クラブ加盟社のみを出席可能とし、NHKや他局のカメラも入れないというスタンスをとったことで、無用な“敵”まで作ってしまった印象です。完全なる悪手と言っても過言ではないでしょう。加えて、港社長が今後に『第三者の弁護士を中心とする調査委員会』を立ち上げると説明したものの、トラブル調査の独立性を担保する日弁連ガイドラインに基づいた『第三者委員会』と明言しなかったことにも批判が殺到しました」
世間からの強烈な逆風を受けて、港社長は今月24日に社内で行われた社員向け説明会で「失敗だった」と認めて謝罪。
フジの全社員の約9割にあたる1100人がリアル、オンラインで参加した説明会は大荒れムードだったようで終了までに約4時間半を要すこととなった。
また、これに先立ち同日午後にはフジ・メディア・ホールディングスが臨時取締役会を開いて第三者委員会の設置を決定。
今月27日午後には記者クラブ加盟社以外のメディアも参加できる会見を行い、港浩一社長、嘉納修治会長らの辞任を発表した。同局関係者はこう話す。
「17日の会見が失敗したことでひどいスポンサー離れを引き起こしている。本来は第三者委員会の報告後に港社長が辞任すると見られていたが、同局が予想以上の苦境に立たされていることから、27日の会見を待たず辞任する可能性も局内では噂されていました」
フジが一刻の猶予も許されない状況にまで追い込まれている裏にはCMの存在がある。
先述のように75社にも及ぶスポンサー企業がCMを差し止める動きを見せていたが、ここに来て一部の大手スポンサー企業がフジに対してCM差し替えで生じた損失について広告代理店を通じて補償を求めていく方針を明らかにしたのだ。
加えて、その影響はローカル系列局にも及んでいるという。
広告代理店関係者は明かす。
「中には『悪いのはフジテレビだけ』ということで被害を免れているところもあるが、フジのローカル系列局に対してもメンツを大事にする電気、ガスなど地元老舗企業を中心に差し替え要請が急増している。フジ本体はホールディングス内に好調な不動産事業もあるため即座に倒産する可能性は低いが、自己資本が低い系列局などは経営そのものが危うくなる。かといってフジが救済できる体制でもないので気の毒としか言いようがありません」
こうした系列ローカル局にとって頭の痛い問題なのが、特殊なスポンサーからのCM出稿により番組を制作しているケースも多いことだとか。
「市政だよりや地元行政とタイアップした番組が近年増えてきていますからね。大半は入札で番組制作を請け負うのですが、この状況ではいつ『放送するな』、『予算を返せ』と言われるか分からない。制作費は言ってしまえば税金ですからね。“性上納疑惑”があるテレビ局と密接な関係にある地方局に税金が流れているとなれば地元企業として県民や市民に顔向けもできないでしょうし。本当に大ピンチです」(地方局の番組スタッフ)
フジの騒動は地方の系列局も巻き込んで、今後もますます波紋を広げそうである。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)