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26年は「永瀬アンナ無双」 劇場アニメ4作同時公開&『スーパーガール』主演吹替…声優戦国時代を勝ち抜く“武器”

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映画『スーパーガール』より

 壮大な宇宙を舞台に、”完璧じゃない”等身大のスーパーヒロインが、愛犬を救うための大冒険へ飛び出して――DCUの最新作『スーパーガール』が、6月26日に日米同時公開される。

『国宝』超えの4冠の理由

 米マンガ出版社「DCコミックス」の作品を原作とする映画シリーズは、昨年『スーパーマン』を第1作として新たにスタートし、全世界興行収入6億1872万ドル(約970億円)の大ヒットを記録した。シリーズ2作目となる『スーパーガール』は、前作のラストでチラッと登場したスーパーガール(カーラ・ゾー=エル)が主役のバトンを引き継ぎ、新たな物語を繰り広げる。

 その日本語吹き替え版で主役・スーパーガールを務めるのが、声優・永瀬アンナ(21)だ。2020年、高校入学と同時に大手声優事務所「81プロデュース」へ所属するやいなや、飛ぶ鳥を落とす勢いで八面六臂の活躍を見せている大ホープである。

あれにもこれにも…2026年、永瀬の「無双」っぷり

 自身初のヒロイン役は、TVアニメ『サマータイムレンダ』(2022)。そのスリリングな展開や巧みな伏線回収が評判を呼び、「知る人ぞ知る傑作アニメ」と密かな話題になった名作で、永瀬は当時同年齢である17歳のヒロイン・小舟潮役を務めた。翌2023年には『呪術廻戦 懐玉・玉折』でキーパーソンとなる天内理子を熱演すると、同年の「第17回声優アワード」で新人声優賞に輝いた。

 今年に入るとますますの躍進を見せ、5月時点で『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』(ジュリア・スガ)、『銀河特急ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』(マキナ)、『超!かぐや姫』(酒寄彩葉)、『パリに咲くエトワール』(マチルダ)と出演した劇場アニメ4作が同時公開中。

 春アニメ(4月クール)では、『あかね噺』『氷の城壁』というジャンプ系作品でいずれも主人公を担当、下半期には『死亡遊戯で飯を食う。 44:CLOUDY BEACH』(7月公開予定)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』(10月公開予定)など劇場作の公開が控えている。

 あっちを向いてもこっちを向いても永瀬状態。アニメのみならず、実写洋画の吹替にも起用される秘密は、どこにあるのか。映画評論家・前田有一氏に解説してもらった。

「吹き替え」需要が高まる、「楽だから」以外の事情

 洋画といえば、必ずといっていいほど「字幕・吹き替え論争」が巻き起こる。映画ファン のなかには“素材本来の味”を堪能できる「字幕」支持派も根強いが、前田氏は「全体的に吹き替え版の需要が高まりつつある」という。

「同じ情報でも、見るよりも聞くほうが“ながら”で取得できる。映画においても、吹き替え版は観客にとって単純に『楽』ですし、情報量を多く受け取ることができるというメリットがあります。逆にいえば、制作側が情報を削らなくていい。たとえば、画面内のキャラクターが一斉にガヤガヤ喋る場面。字幕だと1画面に入れられる文字数に制限があるので、どうしても情報を取捨選択する必要が出てきます。一方吹き替えなら、ガヤを含めて全セリフを日本語の音声に起こすことができます」

前田氏が言及する「字幕・吹き替え間で取得できる情報量の差」は、セリフだけにとどまらない。

「字幕版は、見ている側が一瞬でも目を離すとストーリーがわからなくなるし、文字を追うのに必死になるあまり、俳優の表情など、その他の部分への集中力がおろそかになりやすい。その点、吹き替えはセリフを耳で聞きつつ、視覚でスクリーンの隅々を把握することができるので、作品を理解しやすいんですよね。今では、多くの大作映画で吹き替え版が用意され、ものによってその上映割合は字幕版を凌駕するようになりました」(前田氏、以下同)

 たしかに「TOHOシネマズ新宿」の2026年5月第2週(8日〜14日)の上映スケジュールを見てみると、『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は上映回の8割が吹き替え版で上映中だ。もちろんキッズ層やファミリー層がメインターゲットであることは大きいが、『プラダを着た悪魔2』や『ひつじ探偵団』といった一般作も3〜5割程度が吹き替え版にスクリーンが割かれている点は見逃せない。そうしたなかで「マーベル・コミックス」と並ぶアメコミ二大巨頭の一角、「DCコミックス」の主演吹き替えは、相当な重要ポジションといえるだろう。

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映画『スーパーガール』より

『あかね噺』で、落語家が舌を巻いた演技の“振り幅”

 もっとも、誰にでも吹き替え版の声優が務まるものではない。

ビジネス的には、人気のある声優や俳優を吹き替えに起用すれば、国内の宣伝部隊という役割を担ってもらえる。その利点から、しばしば知名度・話題性先行型のあからさまなキャスティングが見受けられることがあるが、作品やキャラクターとの相性次第では、ファンからの批判を招く。

 その点、永瀬は名実兼ね備えた人材だといえる。前田氏は、彼女の「演技力」に言及する。

「『サマータイムレンダ』や『呪術廻戦』では、若さ溢れる快活な少女役がハマる声優さんという印象。『ミルキー☆サブウェイ』や『超かぐや姫!』は配信アニメということもあり、勢いのある“今”の若手という意味で、納得感のあるキャスティングでした。すごいなと思ったのは『あかね噺』ですね。それまでのイメージをいい意味で覆す“凄み”がありました」

 快活さから、「凄み」まで。『あかね噺』は、累計発行部数300万部を突破している人気ジャンプ漫画が原作のアニメ(既刊21巻、2025年12月時点)。元落語家の父親を尊敬する少女・あかねが、突然破門された父の無念を晴らすべく「真打」を目指すというストーリーだ。

 独特の間合いが魅力で、だからこそ観客を引きずり込む手腕が問われる落語。永瀬を含む声優陣は作中のシーンに備え、リアルな落語の稽古に1年間励んだ。その際永瀬は、落語家・林家木久彦氏に「教えた人より上手くやるのはやめてください」と言わしめるほどの上達ぶりを見せたという。前田氏も「落語を本業でやっている人かと思うほど」だったと絶賛する。

「努力量はもちろん、物語のなかの人物になりきる才能があるんだなあと。それはキャラ(性格)だけじゃなくて、抑揚や掛け合い、呼吸の溜めなど、すべてを含めて。演技の幅の豊かさに唸りました。ちゃんと“演技”ができるからこそ、役が務まったのだと思います」

「個性派声優」の時代は終わった

 永瀬のもつミラクルな“振り幅”は、声優激戦時代に貴重なスキルでもある。

「少し前は、声優さんごとに声や演技体の個性が輝く時代でした。たとえば林原めぐみさんなら、声を聞いただけで『林原さんだ』と一発で分かるでしょう。でも、今は個性のある人が目立たなくなってきましたよね。個性的な若手声優がいなくなったわけではなく、『広くマルチに』が声優業界のトレンドになっているからです」

 実際、SNSには〈今の若い声優はみんな同じ声〉〈今の若手声優さんってあまり声に特徴がなくて耳に残らない〉など、“個性の無さ”を感じる声は少なくない(当然、都度さまざまな議論が発生するが)。“声優の無個性化”について、前田氏が続ける。

「今は、テレビや劇場だけでなく動画配信サービス、YouTubeなどプラットフォームが本当に多い。その多様化とともにアニメの作品数がどんどん増え、声優人口も年々増加している。一方で、大ヒットとなるアニメの数は限られます。声優同士の激戦が加速するなか、『食いっぱぐれないように』と思うと、個性がありすぎるよりもどんな役でもこなせたほうがいい。器用になってきてはいるんです」

 アニメ作品の年間タイトル数は、テレビアニメだけでも2001年は167本だったのが、近年は年間300本数程度と当時の倍近くをキープ。また『声優名鑑2026』を参照すると、声優人口は2001年の370人(男性145人、女性225人)から2026年は1837人(男性702人、女性1135人)と約4.9倍にも増加している。

 制作数を鑑みると、いかに声優界が激戦かがうかがえるが、そうしたなかでも引っ張りだことなる声優はいる。好例は、次々と話題作を席巻する種崎敦美だ(崎の正式表記は「たつさき」)。『ダイの大冒険』で少年役(ダイ)、『Vivy-Fluorite Eye’s Song-』では自律式AI=アンドロイド役(ヴィヴィ)。女性の役としては『からかい上手の高木さん』の母親役から『SPY×FAMILY』でのマスコットキャラ的な少女・アーニャ役まで、その振り幅は視聴者を驚かせる。語弊を恐れずにいえば、「個性」よりもその「振り幅の広さ」が重宝され(過ぎ)たのは疑いようもなく、種崎は2025年7月、体調不良により一部活動制限を発表したほどだ。

“振り幅”が光る新星・永瀬

 さて永瀬は、吹き替えの経験も豊富だ。デビューから7年間で洋画、海外ドラマともに10作以上の担当作がある。

 内戦が勃発した近未来のアメリカ合衆国を描く社会派作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)では、戦場カメラマンに憧れる恐れ知らずな女性・ジェシー役。不気味な教会に閉じ込められた女性たちが脱出を目指すホラー『異端者の家』(2025)では、頭の切れるドライな若きシスター・バーンズ役。吹き替えの中でも、永瀬の“振り幅”は光る。

 前田氏は、永瀬について「声の演技のプロとして、新しい世代を引っ張っていく存在」と期待を寄せる。『スーパーガール』は、故郷の星と家族を失った20代前半の異星人、カーラ・ゾー=エル(スーパーガール)が葛藤しながら成長してゆく物語だ。オリジナルには新進気鋭の女優、ミリー・オールコック(26)が抜擢されているが、吹き替え版では永瀬が躍動感たっぷりに、物語の中へ連れていってくれそうだ。

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映画『スーパーガール』より

『スーパーガール』
公開:2026年6月26日(金) 日米同時公開
配給:東和ピクチャーズ・東宝
(C) & TM DC (C) 2026 WBEI

LiLiCoが語る『プラダ2』

(取材・構成=吉河未布 文=町田シブヤ)

町田シブヤ

1994年9月26日生まれ。お笑い芸人のYouTubeチャンネルを回遊するのが日課。現在部屋に本棚がないため、本に埋もれて生活している。家系ラーメンの好みは味ふつう・カタメ・アブラ多め。東京都町田市に住んでいた。

X:@machida_US

最終更新:2026/05/25 12:00