今村聖奈の快挙から愛子天皇論まで――元木昌彦が読む週刊誌の核心
さて、文春砲を国会で追及されても、文春より秘書を信じると逃げている高市首相だが、文春の連続追及は止まらない。
文春が2号連続で、昨年10月の自民党総裁選と今年2月の衆院選において、高市陣営が、ライバル候補や野党を中傷する動画を大量に作成し、SNSで拡散していた問題。
総裁選期間中の動画では、小泉進次郎について〈カンペで炎上!無能で炎上!ボロが出まくって大炎上!!〉〈客寄せパンダ〉〈世襲の操り人形〉などと中傷し、小泉が〈冷酷な売国計画〉を企んでいるとの動画もあったという。
また林芳正を〈完全アウト!〉〈政界の119さん あなたがぴーぽーぴーぽーなんですけどぉーーw〉などと揶揄したというのである。
「一連のネガキャンは木下秘書が中心となり、現こども政策担当大臣補佐官の西田譲氏も会議に参加。また木下秘書自ら、起業家の松井健氏に動画制作を依頼していた。
松井氏は『週刊文春』の取材に『(総裁選では)木下氏らと相談し、小泉氏へのアンチ7割、林氏アンチ一割、高市氏のポジティブ動画を2割作ることで一致した』『AIを用いて一日百〜二百本作り、SNSに投稿していた』と証言している」(文春)
文春は、昨年9月から今年3月にかけて計67通の記録を入手したそうである。
「例えば総裁選告示二日後の昨年九月二十四日のショートメールでは、松井氏が〈ご紹介いただきました松井です。先程はお電話ありがとうございます。明日21時〜Zoomミーティングよろしくお願いいたします〉としてウェブ会議用のURLを送信。
木下秘書は返信で、
〈よろしくお願い申し上げます。明日は、うちのSNS班の責任者の西田と統括のNも参加させていただいてよろしいでしょうか?〉(※Nは原文では実名)
としている。
また衆院選公示日前日の今年一月二十六日には松井氏が〈明日から切り抜き部隊を動かします。明日の午前中15分程お打ち合わせ出来る時間はございますでしょうか?〉とすると、木下秘書は、
〈明日は初日で街宣車の送り出しがあるので、11時半頃には大丈夫かと思います〉
と返信。さらに少なくとも二回、両者は電話も交わしていた。『秘書も面識がない』との首相の説明は、蜜月関係を覆い隠すものだ」
サナエトークンの発案者である松井が、なぜ、これだけ文春側に証拠メールを渡すのか、私にはわからないが、この一連のメールは木下秘書の関与を決定的に裏付けるものである。
高市首相は、事実を認め、謝罪するべきであろう。
お次はトランプ大統領と習近平国家主席の会談の評価について、ニューズウィーク日本版から。
ニューズウィーク日本版がいうには、首脳会談に関する中国政府の発表に、今後極めて重大な意味を持つ可能性がある言葉が含まれていたという。
国営の新華社通信によると、習近平は米中間に「建設的な戦略的安定関係」を構築することでトランプと合意したという。
これは米中関係の新しい枠組みで、「向こう3年間およびそれ以降の戦略的指針になる」と報じられているそうだ。
さらに中国のメディアがその解説を始め、これを定着させようと動き出しているという。
中国が「安定」という言葉を使ったことを譲歩とみなすべきではないそうだ。
安定化させた関係とは、その中で長期にわたり競争を続けても壊れない関係。安定と競争は対立関係ではなく、安定は長期的な競争を可能にする器だという。
だが、アメリカというよりトランプは、このような表現の機微を見落としているのではなく、理解できないのではないかと、私は考える。
ニューズウィーク日本版は、中国にはこういう原則があるという。
「何より重要なのは、攻撃を押し返したらそこで止まることだ。終わりのない戦いをしてはならない。勝利に酔ってもならない」
習近平の言葉の背後には、協力が有益な分野では安定的に協力し、競争が必要な場面では統率された競争を行い、譲れない領域には明確なレッドラインを設ける。これらを機能させるための政策手段を整えていくというのである。
習近平はトランプとの会談の中で、最も強いレッドラインを示した一つが台湾問題だ。一つ誤れば極めて危険な状況に陥りかねない。
だが、一部の報道では、トランプは台湾と「武器輸出」のことで話し合うといわれている。
万が一、大量の兵器を台湾に売るといい出せば、習近平は黙っていないだろう。
この“危険な関係”はどこまで続くのだろう。
ところで、トランプ大統領との蜜月関係が最後の頼みなのだろう。訪中後のトランプ大統領と電話会談したと語った高市早苗首相だが、先の見えないイラン情勢で原油やナフサの調達不安は増すばかりである。
新潮は、対策を講ずべき高市政権が目を背ける、日本経済の深刻な危機を解き明かしている。
スーパーやコンビニの棚に並ぶ商品から「色」が消えていく。そういう報道を目にして、不安を感じた人も多いだろう。
スナック菓子大手のカルビーは、主力商品であるポテトチップスなど14商品のパッケージの配色を、彩り豊かなカラーからモノクロへ変更すると発表した。
だが、こうした企業の対応に対して高市政権は助け舟を出していない。
カルビーがパッケージ変更を発表した直後、食品行政を所管する農林水産省は同社にヒアリングを行った。その結果について、15日の閣議後にあった会見で問われた鈴木憲和農水相は、「各企業の経営判断に基づくもの」「中東情勢に伴う食料供給上の問題ではない」との見解を口にしたのだ。
原油やナフサなどの調達を担当する赤澤亮正経済産業相も、同日の会見で同様の説明を繰り返すのみだった。
ジャーナリストの鈴木哲夫はこう難じている。
「われわれが生活する経済の現場を見れば、本当にいろいろなことが起きている。国のトップがする発言と、あまりに乖離しています」
さらに新潮は現場を歩き回る。
命を守る医療現場でもナフサ不足の影響は深刻だという。
「この4月から注射器が高くなり、1本1200~1500円と普段より1.2~1.5倍ほどの価格になっています。医療費は診療報酬で決まっているので、医療器具が値上がりしたからといって、患者さんから受け取る金額を上げるわけにはいかない。大病院より、かかりつけ医がいるような小さなクリニックの負担が大きく、注射を打てば打つほど赤字になる。倒産するところが増える可能性もあります」(鈴木)
さらに、今年1月から4月までの企業倒産の件数は3545件(※負債総額1000万円以上)。5カ月連続で前年同月比を上回り、このままのペースで増えるなら年間で1万件を超える可能性が高いそうだ。ここまでの高水準は12年ぶりだという。
統計を発表した東京商工リサーチでアナリストを務める本間浩介がこう解説する。
「12年前は東日本大震災の影響が大きかったのですが、今回は著しい物価高や金利上昇などが原因で、症状としてはより深刻です。さらに二極化が拡大し、大企業は賃上げをする体力があり人手も確保できますが、中小企業はそうもいかない。加えてホルムズ海峡封鎖で原材料費やエネルギー価格が高騰し、倒産はほぼ全業種で増えています。リサーチしているコチラの胸が苦しくなるほど、中小企業の皆さんは悲鳴を上げています」
特に厳しいといわれているのは、物価高の影響をもろに受ける中小企業が多い建設業、運送業、製造業の三つ。建設業関連では、新築や増改築などに絡む「塗装工事業」の倒産が目立つという。
「1~4月の塗装工事業の倒産は48件で、前年同期から26%増加しています。これはバブル経済の1989年以降では過去4番目の高水準で、資材価格の高騰やナフサなどの品薄、人手不足などで倒産が急増しています」(同)
7月中旬に会期末を迎える国会で、ようやく高市政権は今年度補正予算を編成する方針を決めた。ガソリンのみならず、高騰する電気・ガス料金への補助金に充てられるが、ナフサ危機への支援は盛り込まれない見通しだという。なぜ、高市や閣僚たちは現場の混乱に目をつぶって、石油やナフサが「足りている」と言い張るのだろうか。
私も、政治ジャーナリストの青山和弘と同じ考えである。
「高市さんが粘れば粘るほど、いざ節約に転じた際に飛び降りる崖は高くなる。それだけに、高市政権のエネルギー政策は一種の“賭け”だと言えます。このままブレーキを踏まずにホルムズ海峡が開放されたら、結果オーライ。一方、イラン情勢が収束せずに時間が経てば、備蓄した石油は減っていく。結局節約を呼びかけないといけない状況にまで追い込まれた時、もっと早く対応していればよかったのにと批判されるのは必至です」
高市首相というのは、自分のビジョンや政策など持っていないが、世の趨勢をじっと見ていて、どっちに賭けるのかを判断する嗅覚は優れているのだろう。
だが、国民生活を「丁半博打」で追い込まないようにしてもらいたいものである。
さて、トクリュウという犯罪集団がまた事件を起こした。
だが、いつも、下っ端は捕まるが、上の連中を逮捕して壊滅させるというわけにはいかないようだ。
いつも書くが、犯罪集団のほうが寄せ集めの警察なんぞより、命がかかっているから、本気で賢い。
田園地帯が広がる栃木県上三川町で起きた。69歳の女性が殺され、息子2人もケガをした。
実行犯として5月16日までに強盗殺人容疑で逮捕されたのはいずれも16歳の4人の男子高校生だった。
この一家は、ゴボウやイチゴ農家として成功し、地元では有名な資産家だったという。高校生らは4月上旬から下見を行い、犯行に及んだとみられている。
さらに17日、新たに指示役とみられる無職・竹前海斗(28)と、妻の美結(25)の両容疑者が強盗殺人容疑で逮捕された。
「海斗は午前一時半ごろ、東京・羽田空港の国際線ターミナルの保安検査場を通過したところで逮捕された。一方の美結は正午、生後七カ月の娘と一緒に神奈川県内のビジネスホテルに身を隠していたところを確保され、逮捕されました」(社会部記者)
AとBは昨年、相模原市内の高校に入学。同級生として知り合い、プライベートでも遊ぶ仲になったという。
「Bと仲良くなったんだと嬉しそうに話していた。しかし次第にBから殴られたり、根性焼きされたりと、いじめられていると相談されるようになった」(Aの兄)
Bは1年の時に高校を中退したが、その後もAとBの“主従関係”は続いたそうだ。
「Bやその友人から強制的に呼び出されることも多かった。事件前日の5月13日にもAはBに市内の公園に呼び出された」(同前)
公園でAとBはささいなことから喧嘩となった。腹を立てたBは以前から交流があったとみられる海斗に電話をかけ、Aに代わった。
「その際にAがタメ口で話をしてしまったことに海斗が激怒したのです」(同前)
「舐めた態度とってんじゃねえぞ、お前殺すぞ。お前が来ないなら家族殺すぞ」
そうまくし立てられたAは、Bに横浜市内の海斗の家に連れていかれ、海斗から暴行を受けたという。
暴行された後、Aは無理やり車に乗せられて栃木に連れていかれた。件の家の自宅付近に着くと、ハンマーをもたされたという。
「Aは富山さんが刺殺される様子を呆然と見つめた。Bが「お前も何かしろよ」と脅す。バールを持った少年もいて、このままでは自分も殺されると思ったAは被害者の遺体を一蹴りした。
犯行後、Bは、『何もやっていないじゃん、ホント、お前どうしようもないな!』と言い放つと、Cとともに車で逃走。AとDは現場に取り残されたという」(文春)
Aが逮捕され、芋づる式に海斗夫婦までたどり着いたのであろう。
海斗は近所でも「ヤバイ」人間だと見られていたようだ。
一方、妻の美結は、中学は吹奏楽部、ダンススクールにも通っていたそうで、BTSを推していたという。
海斗が主犯ではなく、その裏に、流動型犯罪グループがいるのではないかといわれているようだ。
事件が起きていつも驚くのだが、奴らの情報収集力には驚くべきものがある。
警察は後手後手に回っていないで、潜入捜査など、あらゆる手を尽くしてグループを追い込まないと、この手の犯罪はさらに広がるのではないか。
暴力団を追い詰める「暴力団排除」が行き過ぎ、食えなくなった連中が知恵を尽くしてトクリュウなどという新手の犯罪を考えたのではないだろうか。
暴力団は犯罪を犯して逮捕され、刑期を終えても行き場のない連中を収容する「場」となっていた。それを壊滅されれば、そうした連中のしのぎの場がなくなる。
この世の中には汚いゴミ捨て場も必要なのである。あまりきれいにすると人は住めなくなる。読みながらそんなことを考えた。
次は、東大の五月祭で、参政党の神谷宗幣代表を呼ぼうとしたが、爆破予告があって中止したというお話。
神谷の講演会を主催したのは、東大の学生が立ち上げた一般社団法人「右合(うごう)の衆」だという。Xで講演会の開催を告知したのは、5月11日。学園祭当日の5日前だった。
「当初は片山さつき財務相に講演を依頼していたようですが、断られて結局、神谷さんに。ただ、学生たちも『神谷さんが来るの…?』と戸惑う人が多く、喜んでいる人はほとんどいませんでした」(現役東大生)
Xでは反対運動を仄めかすハッシュタグが立ち上がり、五月祭当日に抗議活動を行うことを予告するポストが相次ぐなど、たちまち“炎上”状態になった。
文春の記者が、午前11時に東大に到着すると、まず目に飛び込んできたのは、正門や赤門前の路上に集まって抗議活動を行う老若男女の姿だという。<大学に差別を持ち込むな>と書かれたプラカードを掲げ、抗議活動を行っていた女性に聞いた。
「神谷氏の講演会ではヘイトスピーチが含まれる可能性が高いと考え、X上でハッシュタグを使って反対運動を呼びかけました。ヘイトスピーチは人権侵害そのもので、単なる表現の自由ではありません」
開催の30分前の午前11時30分。会場の「法文1号館」に到着すると、既に大勢の人だかりができていたという。文春の記者が2階にある会場に向かおうとすると、学生とみられる4人組が階段を塞いで通行止めにしている。彼らに近づくと、なぜか五月祭の警備担当者が現れ、「向こうに行ってください!」と怒られてしまった。
横にいた学生に事情を尋ねると、
「気づいた時には、あの4人組が座り込んで、参加者を通れなくしていました。警備体制も厳しくなり、彼らへの怒号も飛びました」
記者が途方に暮れていると、主催者である「右合の衆」の山田泰代表が現れ、集まった参加者にこう説明したそうだ。
「講演会は延期です。現時点では『察してください』としか言いようがない。今日の夕方までには、なぜこのような事態になったのか詳細をお伝えできればと思いますが、現時点では理由はお答えしかねます」
それ以上の説明はなかったそうだ。
延期の措置がとられたのは、神谷氏の講演会だけではなかった。五月祭常任委員会の学生が「安全を確保することが難しくなったため、企画を一時中止しております」とアナウンスし始めたというのだ。
午後3時前、常任委員会はX上で五月祭の中止を発表。「産経ニュース」は講演会の主催者である右合の衆に「爆破予告」が届いたと速報したが、いったい何が起こっていたのだろうか。
「右合の衆」の山田代表に尋ねると書面で次のように答えたという。
「朝10時半に爆破予告のメールが届きました。送り先は右合の衆だけでなく、五月祭委員会など各所になります」
山田によれば、届いたメールの内容は、次のようなものだったという。
「東大を5/16、17の12:00~17:55の間に爆破します。本郷・弥生キャンパスの各所に爆弾を仕掛けました。特に本郷キャンパス 法文一号館 25番教室は必ず爆破して参政党党首・神谷宗幣を殺します。キャンパス内各所に爆弾を仕掛けたうえで当日ナイフをもって襲撃に行くので必ず殺す。神谷以外も道連れで何人か殺す。」
メールを受け取った山田は、すぐに五月祭常任委員会本部に報告した。その時点で委員会もメールの受信を把握していたという。だが、講演会の延期を発表したのは11時半で、X上で中止をアナウンスしたのは、午後1時のことだった。
よくわからない話である。
メールでの爆破予告などよくあることだ。いちいち怖がっていては、神谷や百田尚樹など呼べやしない。
東大の学生なら、神谷と討論をやり、打ち負かすぐらいの気概が欲しいものだ。
参政党に潜入取材したジャーナリストの横田増生は、この講演会を聞こうと東大に行っていたという。
横田は、神谷の講演会はいつも、会費1000円をとる支援者たち相手だから、アウエーの東大で神谷が何を語るのか、痛烈な批判にどう答えるのかを聞きたくて参加しようと思ったと書いている。
この講演に反対する学生は10人ぐらいで、外にデモ隊もいたが、静かにデモっていたという。
「右合の衆」の山田は、横田から「なぜ神谷を呼んだのか」と聞かれ、こう答えている。
「大学のキャンパスでは圧倒的に左派の言論空間が強い。バランスをとるため、今回は神谷さんに講演をお願いした」
ならば、爆破予告程度で右往左往しないで、身辺警護を学生たちでしっかりやり、講演会を挙行すればよかったではないか。
神谷がどんなに差別発言をしようと、それを事前にチェックしていわせないようにするなど、言語道断。
彼にいわせて、学生たちはそれに対して堂々と反論すればいいではないか。
1969年5月13日。東大駒場キャンパス900番教室で行われた「三島由紀夫と東大全共闘との討論会」は、今でも我々の記憶に残り、ドキュメンタリーにもなっている。
神谷と三島では比べるまでもないが、東大生なら、座り込みやデモではなく、堂々と神谷に切り込み、参政党という党を素っ裸にして、世に問えばよかった。
これでは、神谷を喜ばすだけではないか。東大生も落ちたものだ。
今週の最後の特集は、文春の「高市首相はなぜ愛子天皇を拒絶するのか」。女性誌を始め、週刊誌が「愛子天皇ではなぜダメなのか」を問うている。というより悲鳴に近い。
文春を見てみよう。
最初は、4月に天皇一家が福島県・双葉町にある東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れたときのことから書き出す。
同館のそばでファーストフード店「ペンギン」を復活させた山本敦子の話。
「懐かしいお客様もお越しになりますか?」と愛子さんはいったそうだ。
山本は当日を振り返りこう話している。
「愛子さまのご質問には大変感銘を受けました。震災前、学生だったお客様が今のお店を訪ねてくれることを、事前にお調べしてくださったのでしょうか。お薦めのメニューも聞いてくださり、途端に場が和やかになりました。両陛下の国民を想う気持ちがしっかり愛子さまに受け継がれているのだろうと、直に感じることができた時間でした」
文春は “天皇流”のご質問でおのずと周囲を魅了される――備わっているのは、まぎれもなく直系の品格だと書いている。
だが、高市首相は3月16日の参院予算委員会で、「現行法規では愛子さま、女性天皇は誕生できません」と明言した。
高市首相の側近の一人、西田昌司参院議員は高市を忖度してこういう。
「歴史上、女性天皇が存在するのですから、高市総理は、その事実を否定しないという意味で、過去に『反対していない』と発言されたんでしょう。愛子さまが国民から高く支持されているのは理解しますが、秋篠宮殿下、悠仁さま、と明確に決まっている皇位継承の順序を今から変えようとしたら、国が分断されるような大混乱に陥ります」
愛子天皇を巡って国民は分断していない。圧倒的に愛子天皇を支持しているのだから。分断しているのは、高市首相が愛子天皇を認めないからではないか。
安倍晋三元首相のブレーンであった麗澤大学の八木秀次教授はこういう。
「少なくとも、私が認識している範囲では、皇室をテーマにした国会議員の会議などの場に高市さんがいたことはなかった。例えば安倍さんは人から有益な情報を聞き、どんどん取り入れていました。高市さんは人に会うより、資料に目を通したいタイプ。ただ、資料を読んでも分からない機微の問題もあります」
そんな皇室に無関心な高市首相がボロを出したのは2月27日だった。衆院予算委員会で、安定的な皇位継承と皇室典範改正について見解を問われ、こう答弁したのだ。
「有識者会議の報告書でも男系男子に限ることが適切とされている。(略)この報告を尊重する」
ところが、有識者会議の報告書は、あくまで、女性皇族が結婚後も皇室に残ることと、旧宮家の男系男子を養子に迎えるという二案の検討を求めたものに過ぎない。
「報告書には、旧宮家の養子復帰案の箇所に『養子となり皇族となる者も、皇統に属する男系の男子に該当する者に限ることが適切』とある。首相はこの部分を、皇位継承についての見解だと誤読したのです」(政治部デスク)
その後、木原稔官房長官が会見で釈明に追われた。
2005年に答申された小泉純一郎政権時代の有識者会議の報告書は「女性・女系天皇の容認」を柱としていたのだ。2006年、紀子さんが懐妊し、同年、皇室に41年ぶりの男児となる悠仁さんが誕生。当時の皇室典範改正案は立ち消えになった経緯があるが、その有識者会議で座長を務めた吉川弘之元東京大学総長がこう話している。
「私たちは『国民感情も踏まえた日本の在り方はどうあるべきか』という観点で徹底的に議論し、女性・女系を否定してしまうと天皇制を途切れさせかねないと結論付けました。悠仁さまがいらっしゃるので今はよいのですが、成長された愛子さまが候補に挙がるほど、近年では女性天皇のイメージも世の中に浸透しています。時の政権が軽々に決めるのではなく、あらゆる選択肢を含めて、もう一段深い国民的な合意を探る議論があってもよいのではないでしょうか」
高市首相が総務相時代の部下で、現在、宮内庁長官の黒田武一郎に文春が直撃している。
――世論調査では愛子天皇を期待する声が多数だが。
「そういうデータがあるかどうか、報道でしか分かりませんが、それに一つ一つ答えることはない。とにかく今、政府は報告書の考え方を尊重すると、国会に出しているわけですから」
まるで他人事である。
「『愛子天皇』への道が事実上、封じられていく中、赤坂御苑で開催された春の園遊会。淡いラベンダーカラーのセットアップに身を包んだプリンセスは、招待客に優しく声をかけていた。(中略)国民の想いとは裏腹に、皇室典範改正に突き進む高市首相。そんな姿をよそに、愛子さまは今日も国民に温かな眼差しを向けている」(文春)
愛子天皇は、物価高や社会保障の行き届かないこの国の人間にとって、唯一の「希望」なのである。それに気がつかない高市首相は、リーダーとして失格だと思うのだが。
(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
