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『ブルーロック』窪田正孝の“神ビジュ”に期待大! 実写界「クソ映画量産」時代の反省と脱却

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『ブルーロック』窪田正孝の“神ビジュ”に期待大! 実写界「クソ映画量産」時代の反省と脱却の画像1
映画『ブルーロック』

 今年はサッカーが熱い。史上最大規模での開催となったFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会で、日本代表は決勝トーナメントへ進出。オランダやブラジルなど格上相手と熱戦を繰り広げ、大いに盛り上がった。興奮冷めやらぬなか、8月7日にはJリーグの新シーズンがスタートするとともに、大人気漫画の実写劇場版で、今夏注目作の一つ『ブルーロック』が公開された。

コウイチTVと考える「YouTube×映画」

そんな同映画では、「青い監獄(ブルーロック)」プロジェクトの最高責任者・絵心甚八(えごじんぱち)役を務める窪田正孝が“神ビジュ”だとSNSを賑わせている。

今年2月7日に行われた製作報告会で配役が発表、同日公式Xでそのビジュアルが紹介されると、(絵心の)狂気とカリスマ性を兼ね備える窪田の雰囲気に、〈誰が本物を連れて来いと〉〈まんまやん〉と絶賛が殺到した。その後7月12日、公式Xでまた違う絵心のビジュアルが公開されるや、2投稿の合計表示回数は1800万回超(8月5日時点、以下同)と大反響。再び“絵心そのもの”といった声がズラリと並び、映画に期待をふくらませるファンが続出した。

 改めて本作は、「週刊少年マガジン」(講談社)で2018年から連載され、累計発行部数6000万部突破の人気サッカー漫画、初の実写版。6月5日、YouTubeで公開された予告編は2か月で140万回以上再生され、〈想像以上にクオリティが高くてめっちゃ楽しみ!〉と、“見たい欲”を刺激されるコメントが沸騰、公開までのワクワク感が醸成されている。

ところで実写映画といえば昔は「コレジャナイ」「余計なことすんな」という忌避勢が多かったもの。いつから、なぜ、「期待勢」がそれを凌駕するようになったのか──。忖度のないレビューに定評があり、実写化作品にもシビアな採点をしてきた映画評論家・前田有一氏に話を聞いた。

100点満点中2点…昔はズタボロだった「実写」

 前田氏は2003年4月から自身が運営するサイト「超映画批評」において、ダメダメな実写映画に容赦なく辛口評価をつけてきた。100点満点、「平凡・平均的」なものを50点台として上下に振り分け、たとえば『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)は30点、『CASSHERN/キャシャーン』(2004)は15点。2ケタ点数はまだいい方で、『映画 怪物くん』(2011)は5点、『ルパン三世』(2014)は3点、さらに“日本を代表するクソ映画”として名高い『デビルマン』(2004)にいたっては2点だった。

 繰り返しになるが、どれも100点満点中の採点だ。

 それらに比べると、最近の実写界は「随分マシになった」と前田氏は語る。なぜ昔は、イマイチなものが多かったのか。

「2000年代~2010年代前半にかけての映画界には、『原作漫画やアニメの人気に乗っかれば、“当たる”確率が高いのでは』というある種の傲慢さがあったように思います。作品によってダメさの種類は違いますが、キャラクターや世界観を“再現”する見た目からして、微妙なものは多かった。わかりやすいのは、木村拓哉主演『ヤマト』や大野智主演『怪物くん』のように、国民的アイドルを起用した作品です。原作に寄せるよりもスターの良さを活かす方向で、どうしてもコスプレ感が強いビジュになってしまっていたもの」(前田氏、以下同)

業界の「傲慢さ」が実写をダメにした

 また前田氏は、原作の世界観を「無視」して作られた実写版も多かったことに言及する。CMや広告、宇多田ヒカルのMV制作などで知られる紀里谷和明氏が監督を務めた『キャシャーン』の場合、「美しい映像を作ることには長けている監督だが、デザインや世界観が原作と全然違うのでコレジャナイ感が強かった」(前田氏)。

 一方、予算や技術面の都合で、残念な出来になる映画もあった。その代表例が『デビルマン』だ。同作について前田氏は、「超映画批評」で次のように酷評している。

〈映画版『デビルマン』を見て私が思うのは、あらゆる面で「余裕がない」という事だ。予算も製作期間も、役者の演技力もしかり。だからこんなにも完成度が低く、原作ファンも単なる娯楽映画ファンもがっかりさせる、誰のために作られたんだかわからないトンチンカンな映画が生まれてしまう〉(2004年10月3日)

 まさに一刀両断だが、同様の感想を抱いた人は多かったもよう。前田氏によれば当時、この評は「めちゃくちゃアクセスを集めていた」とのことで、作品の出来栄えに落胆する観客だらけだったことは想像に難くない。せっかくの面白い原作を、たとえ十分でなくともお金と人員を割いてこんな評判にしてしまうのは不思議としかいいようがないが、映画業界が原作に寄り添おうとしなかった背景には、歴史的な「IPへのリスペクトのなさ」があると前田氏は指摘する。

「映画は長らく娯楽の王様で、漫画やゲームは“一段下”にあるもの。見る方としても、アイドルや俳優が映画に起用されると、なんだか“一段上がった”印象があるでしょう? ただし制作側として、オリジナルはハードルが高い。ならばすでに人気を獲得しているものを使えば、(原作を)イチから作る労力はいらないというわけです。本来原作に頭を下げてしかるべきですが、なんなら『映画にしてやる』と言わんばかりに、むちゃくちゃな改変をしてしまうこともザラでした」

2010年代後半、見直され始めた「原作の力」

 しかしファンが求めるのは、あくまでも原作の持ち味を生かした実写であり、そうでないなら「いらない」。そのことに制作側が目を向け始めたのは、2010年代後半に入ってからだと前田氏は振り返る。

「原作ファンの怒りを買ってきた歴史と、ビジネス戦略上の事情から、映画界がやっと原作との連携を重視するようになりました。IPビジネス戦略が一般化し、映画もそれに組み込まれる。原作がメディアミックス展開され、グッズやイベントも盛り上がるなかで、映画だけが勝手なことをするわけにいかない。原作の“発電力”が大きくなったということですね。

 そうした背景をもとに、制作側もファンに受け入れられる方程式がわかってきた。死屍累々の失敗の上に成功例の数も増えてきて、実写化映画に対する人々の印象が変わってきたのでしょう」

 2010年代後半以降、大ヒットした実写化映画の一つに『キングダム』シリーズがある。2019年にスタートした同シリーズは今年7月17日に第5作『魂の決戦』が公開、累計興収は300億円に迫る。原作者の原泰久氏は、第1作の脚本会議から制作に関わり、全作で「脚本担当」としてクレジットされている。

 くわえて、邦画界において2010年代後半は『君の名は。』(2016、興収250.3億円)、『シン・ゴジラ』(同、興収82.5億円)など歴代興収ランキングで上位に食い込むメガヒット作が相次いで登場し、邦画優位の傾向が強まった時期だ。この頃から、邦画界は実写映画への投資を加速した。

「大きいビジネスのためには、じっくり時間とお金をかけられる。並行して、映像技術も著しく発展しました。『株式会社白組』や『株式会社デジタル・フロンティア』、『株式会社オムニバス・ジャパン』など主要なCG・VFX制作の映像プロダクションの力が育ち、マンガ的な、壮大な世界観を実写映画として成立させる土壌が整ってきました」

「ビジュ」のエポックメイキングだった『るろ剣』

 そうして、「実写映画=ダメ」なわけでは(必ずしも)ない、という認識が少しずつ浸透してきた。潮目を変えた作品として、前田氏は『るろうに剣心』(2012)を挙げる。

「少なくともビジュアル面において、“ここまでできるんだ”と思わせたという点で、佐藤健さんの緋村剣心は漫画のイメージそのもの。ビジュ史ではエポックメイキングといえるでしょうね。その他の部分はまだまだチャレンジングではありましたが、時代設定、ワイヤーワークを使うアクション設計、衣装、美術などにおける制作側のノウハウはその後業界内で共有され、『キングダム』や『ゴールデンカムイ』(2024〜)に受け継がれています」

 ビジュの再現度は、見る側のモチベーションを左右する。そうした空気を察していたのか、予防線か、同作で高荷恵役の蒼井優は、映画情報サイト『シネマトゥデイ』にて「ビジュアルを似せるのはある程度、限界があるので、あとは気持ちと中身の部分でカバーできれば」(2012年2月1日)と語っていた。

 ちなみに同作続編の『京都大火編』『伝説の最期編』(ともに2014)から登場したキャラクター・駒形由美については、元々〈誰が由美を演じられるのか?〉とファンがザワついていたこともあり、高橋メアリージュン演じるビジュアルが披露された際には、原作さながらの妖艶さが絶賛された。キャラの原作イメージが、かくもファンを一喜一憂させるのだ。

 最もわかりやすく作り手の愛を感じられる“ビジュ”は、世界観の説得力を支えるとともに、観客の期待を引き寄せる。

「鈴木亮平さんの『HK/変態仮面』(2013)も、実写のビジュアルが大絶賛された例。鈴木さんはその後、映画『俺物語!!』(2015)やNetflix『シティーハンター』(2024)など、肉体改造を含め “ビジュアルを寄せられる俳優”としての名をほしいままにしていて、もはや“鈴木さんが出るなら間違いない”という定評にまでなっていますよね」

次なる課題は「佇まいや動きも“原作再現”できているか」

 ただし、原作の世界観を守るリスペクトと技術が追いついてくると、ビジュの再現程度は「できて当たり前」になる。見た目だけでなく、佇まいや動き、演技まで含めて「ちゃんと3次元に翻訳できているか」が次なる課題として立ちはだかる。

 前述した蒼井優の「気持ちと中身の部分でカバー」は俳優としての矜持であろうし、最近象徴的だったのが、『カイジ 人生リベンジゲーム』(2027年1月29日公開予定)のキャスティングだ。亀梨和也扮する主人公・カイジの宿敵、兵藤和也のイメージビジュアルが公開された時点では、〈顔が綺麗すぎる〉と不安視する向きも一部あったものの、予告編が公開されると空気は一変。〈雰囲気が兵藤和也そのもの〉〈完璧なキャスティング〉などと絶賛の声が溢れた。静止画だけでは伝わらない“空気感”を亀梨がまとったという意味で、「見た目のコピー」だけではファンを納得させられないことの証左ともいえるだろう。

 さて『ブルーロック』。少なくともビジュの人選が“神”だといわれた窪田が、今度は「動く」姿に注目が集まるのは間違いない。「デタラメ時代をリアルタイムで見て、3点とか4点とかつけてきた身からすると、隔世の感がありますね(笑)」と前田氏。その進化を感じながら、劇場で原作✕実写の化学反応を堪能しよう。

“かわいい”だけじゃない2つの理由

(取材・文=町田シブヤ)

町田シブヤ

1994年9月26日生まれ。お笑い芸人のYouTubeチャンネルを回遊するのが日課。現在部屋に本棚がないため、本に埋もれて生活している。家系ラーメンの好みは味ふつう・カタメ・アブラ多め。東京都町田市に住んでいた。

X:@machida_US

最終更新:2026/08/09 14:00