サンド伊達、バナナンマン日村の活動休止…ベテラン売れっ子芸人を取り巻く過酷な環境

人気お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおが脳梗塞のため活動を休止することが8月28日に所属事務所グレープカンパニーの公式サイトで発表されて話題となっている。
公式サイトによると、伊達は体調不良を訴えて病院で検査を受けたところ脳梗塞と診断されたそうで、「医療関係者の皆様に迅速にご対応いただいたこともあり、幸い大事には至らず、現在は入院治療を受けております」とし、当面の間は治療に専念して休養するという。
相方の富澤たけしは翌29日に生放送されたニッポン放送のラジオ番組『サンドウィッチマン ザ・ラジオショー サタデー』に出演し、「仕事で朝集合したら、伊達が『なんかしゃべれねえんだけど』って言っていて。それですぐ『病院に行け』ってなった」と相方が病院で検査を受けた経緯を振り返り、「前々から毎日鼻血が出たり、目がかすんだりして『お前、それやばいだろ』という状況はあった」と明かした。
そのうえで、伊達の現状については軽度の脳梗塞とし、「体も頭も至って元気でそのうち戻ってくる。そんなに厳しい状態ではないです」と説明。本人とメールで頻繁にやり取りしており、伊達は病院内をウロウロと探索してコンビニを覗いてみたり、担当医とキャッチボールをしてみたりと元気な様子という。
この日の同番組では伊達本人からのメッセージも寄せられ、富澤が代読して「本当にたくさんの方にご迷惑をおかけしてます。はい、私が伊達みきおです。このたびさまざまな先輩からも激励のメールをいただきました。上は吉川晃司さん、鈴木京香さん、哀川翔さん。下はTKOさん、アンジャッシュさん、長嶋一茂さん」や「現在絶賛リハビリ中です。リハビリ次第では以前よりもはるか遠くまでボールを飛ばすことができるみたいです。休止中ついでにトミー・ジョン手術も考えています。あと顔面を思い切り整形しようかと考えています。この際ですから、考えさせてください」などその内容は“らしさ全開”のユーモアに富んだものだった。
サンドウィッチマンといえば、『M-1グランプリ2007』で大会史上初の敗者復活枠からの優勝を果たして、一躍ブレークした。
厳密に言えば、日本テレビ系『エンタの神様』でも存在感を放つなどその前から同業者やお笑いファンの間ではそれなりに知られた存在ではあったが、M-1優勝がターニングポイントになったのは間違いないだろう。
そして、M-1優勝以降はその実力はもちろん、好感度の高さも手伝って20年近くもテレビの最前線で活躍を続けているわけだが、放送作家はサンドウィッチマンの魅力について語る。
「サンドウィッチマンは漫才もコントも一級品ですし、テレビ的な話でいえば子役から大御所まで共演者を選ばずに番組を成立させられる“守備範囲の広さ”も無視できません。実際に坂上忍さんのようなアクの強いタイプや芦田愛菜さんのような優等生タイプともレギュラー共演していますからね。それに2人の人柄の良さも魅力ですよね。ブレークしてからも驕るところがなく、同業者や関係者からの好感度も抜群。富澤さんは売れてからもお笑いへの情熱が色あせるところはなく、多忙な中でも後輩芸人のネタをチェックしてアドバイスをしたりもしていますし、伊達さんはコミュニケーション能力も高く、和田アキ子さんをはじめとした先輩芸能人からも愛されています。今の視聴者はいくら上辺で良い人ぶってもすぐに見抜いてしまいますが、『サンドウィッチマン』に関しては“ホンモノ”として老若男女を問わず数多くの視聴者から親しまれていますし、ファンではなくても彼らのことを嫌いだったり、苦手だったりする視聴者は少ないのではないでしょうか」
こうした背景もあり、テレビとラジオを合わせて13本ものレギュラーを抱える当代きっての売れっ子コンビとなっているわけだが、そうした中、かねてから、多忙やハードワークによる疲労、健康面を危惧する声もあった。
「伊達さんは仕事の多忙ぶりに加えて人付き合いも良く、正直言っていつ休んでいるんだろうといった印象です。21年にステージ1の膀胱がんが見つかった時も手術のために1週間ほど入院した後、程なく復帰していますし。今回も幸い軽度の脳梗塞ということですが、この際だからしっかりと休んでほしいと思っている関係者も多いのではないでしょうか」
最近ではTBS系『バナナサンド』で共演しているバナナマンの日村勇紀も今年4月から体調不良のため活動を一時休止するなど、人気芸人の体調不良による休養のニュースを目にする機会が多い。
日村については、所属事務所のホリプロコムの公式サイトによると「今年に入ってから体調を崩すことが多く、医療機関を受診した結果、医師より休養が必要との判断に至りました」とのことだが、体調不良の詳細は明らかにされておらず、活動休止の期間も4カ月を超えていることから心配する声も上がっている。
一部では2人の不健康や不摂生を指摘する意見もあるが、前出の放送作家はこう話す。
「確かに伊達さんも日村さんも大食いキャラ的なイメージはありますが、それ以上に気になるのは長年にわたって続けているハードな生活です。サンドウィッチマンの13本はもちろん、バナナマンの8本というレギュラー番組の数も、売り出し中の若手芸人ならいざ知らずMCを務めるベテラン芸人としては、ひと昔前のテレビ業界の感覚で言えば異常です。ビートたけしさんや明石家さんまさん、タモリさんの“BIG3”、『とんねるず』や『ダウンタウン』、『ウッチャンナンチャン』ら“お笑い第三世代”の人気芸人たちも、ある程度の地位を築いてからはここまで数多くのレギュラー本数を長年にわたって抱えてはいなかったでしょう。しかも、サンドウィッチマンもバナナマンもその実力は認められながらも上の世代が詰まっていたこともあり、民放キー局で冠番組やレギュラー番組を持つまでにはそれなりの時間がかかりましたからね。そうした実力派若手芸人時代もかなりのハードワークを強いられたでしょうし」
テレビのバラエティーにおいては昭和、平成と長きにわたりBIG3やお笑い第三世代が大きな存在感を放つ中で世代交代が遅々として進まず、その実力は以前から認められながらも30代後半から40代になってようやく自分の城である冠番組を持つ芸人も増えている。
「今をときめく有吉弘行さんや千鳥、サンドウィッチマン、バナナマンなんかは皆、40代後半から50代ですからね。しかも、テレビ不況の影響でBIG3やお笑い第三世代の全盛期と比べると番組ギャラはかなり下がっていますし、番組の柱として求められるハードルも高くなっており仕事のハードさやストレスも半端ではないでしょう。それでいて、サバイバル競争は激化の一途を辿っていますからね。数多くのレギュラー番組を抱えていたダウンタウンの松本人志さんがテレビから消えたり、中居正広さんが芸能界を引退した時は『これからテレビのバラエティーはどうなるの!?』なんて危機感を抱く声は業界内にもありましたが、結局のところ大勢に影響はありませんでしたし。今が旬の売れっ子芸人たちも自身の“賞味期限”などには常に危機感を抱いてるでしょうし、たとえ疲れていてもおちおち休んでなんていられないというのが本音でしょう」(同放送作家)
とはいえ、体調を崩してしまっては元も子もないわけで、数多くの視聴者同様にいちファンとしても伊達や日村にはしっかりと休んでもらい、完全復活を期待したいところである。
(取材・文=三杉武)