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中山功太によるサバンナ高橋の「いじめ告発騒動」の“笑えない”オチとは

文=
サバンナ高橋の画像1
サバンナ高橋(写真:Getty Imagesより)

 世間を騒がせたお笑い芸人の中山功太による「いじめ告発騒動」は“加害者”であるお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄、“被害者”である中山の双方が謝罪することで一応の決着を見た。

スキャンダルから“復帰ステージ”の選択

 事の発端は中山が5月5日配信のABEMAの番組『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』に出演した際に「10年ぐらいなんですけど、ずっといじめられた先輩がいるんですよ」や「今、普通にむちゃくちゃ売れていますし、たぶんですけど、その人に対して皆さん良いイメージ持ってると思う」などと自身の体験を告白したことだった。

 中山は同月8日更新のXに「僕は誰か言わないです。理由は当人に迷惑が掛かるからです。ただ、万が一『そんな事はしていない』と吹聴するなら証拠出します。滅茶苦茶悔しいですが滅茶苦茶面白い人です。死ぬほど才能あります。勝てないです。僕は努力のみで越えてみせるから、その際は逃げるな」とも投稿。

 これを受けて、インターネットやSNS上では「いじめられた先輩」を特定する動きがあり、複数の人気芸人の名前が取り沙汰された。

 そうした中、同月10日夜に中山とも親交がある高橋の相方の八木真澄がXで騒動に言及し、「いじめられた先輩」が高橋であることを示唆しつつ、「今回のことで、世間の皆様や後輩たち、多くの方々にご心配や不快な思いをおかけして申し訳ありません。 全てコンビであるサバンナの責任です」などとコメント。

 翌11日には高橋もXで「相方の八木さんが相手と親しいので、2人の間に入ってくれました。その後、僕も功太と直接電話ができてしっかり話すことができました」と明かし、「当時の大阪で共演してた番組の収録で、言い方やカラミが嫌な思いをさせていたことを謝りました。本当に未熟で受け取る側のことをしっかり配慮できていませんでした。反省して功太とまた仕事ができるようにしたいなと思ってます。この度はお騒がせして申し訳ございませんでした」と謝罪した。

 そして、同日には中山もXを更新し、「この度は、番組内での匿名による不用意な発言により、あらぬ憶測を呼んでしまい、申し訳ございません」とし、「先程、サバンナ高橋さんと電話でお話させていただきました。当時、嫌な思いをさせてしまったことに対して真摯に謝罪をして下さいました」と報告。そのうえで、「僕も、ご迷惑をおかけした事を謝罪させていただきました」や「今後、このような事がないように、発言に気をつけて参ります。ご迷惑、ご心配をおかけした関係者の皆様、高橋さんのファンの皆様、相方の八木さん、本当に申し訳ございませんでした」と綴った。

 さらに、中山は同月12日にXに「この度、自分の意思で、サバンナ高橋さんに許可を得てこの文章を書かせていただいています。長くなりますが、ご一読ください」との一文で始まる以下の長文を投稿。

「僕が番組内で言った『いじめられていた』という表現は完全に不適切でした。申し訳ありません。謝罪して撤回させて下さい。当時、嫌な思いをし、傷付いた事は事実ですが、あの言葉は絶対に間違いでした。自分で蒔いた種ですが、日々、その言葉を使ったネットニュース等を目にし、後悔の念で押し潰されています。バラエティ番組内の発言として『嫌いな芸人」正式には『昔嫌いだった芸人」と言うべきでした」

「電話でゆっくりお話させていただき、当時の僕の気持ちと高橋さんの気持ちを照らし合わせました。結果、高橋さんに全く悪意がなかったとわかりました。番組内で僕が喋った、当時の2つのエピソードはいずれも、出演者・スタッフさん・観客・その他関係者の皆様がいる状況での出来事です。二人きりで言われたのであれば話は別ですが、ギャラリーが沢山いて、自らが損をする様な状況で、本気で嫌ごとを言う訳がないと気付きました。お話して、ご本人からすると『カラミ』『イジリ』のつもりだったとご説明いただきました。高橋さんは昔から嘘が嫌いな方です。すぐに本当だとわかりました」

「当時は芸人としての経験も浅く、緊張感の中、言葉をそのまま受け取ってしまいました。僕の被害者意識が過剰だったかも知れません。出演させていただいた番組内でトークテーマに沿って話させていただく際、その当時のエピソードと高橋さんの実名を、自らの意思で出しました。名前を隠していただくようお願いし、実際に誰かわからないように編集して放送して下さいました。とは言え、現場には出演者もスタッフさんも沢山いる状態です。放送上では匿名になっていても、その場で暴露した事には変わりないと反省しています。ただ、その後、絶対に誰にも言わないと誓いました。芸人さんからも沢山ご連絡いただきましたが、絶対に名前は出しませんでした。ですが、SNSで実名が広まってしまいました。誤解のないように申し上げますが、番組のスタッフさんや出演者の皆様を疑っている気持ちは微塵もありません。本当にこんな事になるとは思っていませんでした。悔やんでも悔やみきれません」

「多大なるご迷惑をお掛けしたにも関わらず、高橋さんは電話で真っ先に、僕の事を心配して下さいました。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。はじめに高橋さんからお電話をいただいた際にすぐ和解させていただき、現在もやり取りを続けさせていただいています。わだかまりは全くありません。言えた口ではございませんが、サバンナ高橋さん、高橋さんのご家族、相方の八木さんへの誹謗中傷はおやめ下さい。マスコミ関係者の皆様、よろしければこちらを全文載せていただき、広めていただけると幸いです。この度は、お騒がせし、ご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ありませんでした」

 中山による長文の主旨としては、自らの発言の「いじめられていた」という表現は不適切なもので撤回するとともに改めて謝罪するということだろう。

 今回の騒動に関してはさまざまな芸人たちが思いや持論を語っているが、明石家さんまもその1人だ。

 さんまは同月16日放送のMBSラジオ『ヤングタウン土曜日』で、「今回の吉本のいろいろなごちゃごちゃも、『昔なら普通やな』って。この間、ベテラン同士でしゃべっていましたよ」と明かし、「そうかぁって。これ、イジメととらえるのか…。俺ら、当たり前と捉えていたよな。嫌味も言われていたり、いろいろするんですよ」となどと語った。

 また、ナインティナインの岡村隆史も同月14日放送のニッポン放送『ナインティナインのオールナイトニッポン』でこの騒動に言及。

 岡村は、中山の発言がクローズアップされた「ナオキマンの都市伝説ワイドショー」は見ていないとしつつ、「どういう流れでそうなったか分からないんですけど、一つ中山功太が言葉の選択を、あんな面白い人間が一つだけチョイスを間違えたんちゃうか。“いじめられた”っていうその言葉一つを選択してしまったっていうね」や「中山功太もこんなことになるなんて夢にも思ってなかったと思うし、自分は番組を盛り上げたつもりがこんなことになってしまった」などコメントしている。

 確かに、岡村が指摘しているように今回の騒動については「いじめ」というパワーワードが事態を深刻化させてしまったのは間違いないだろう。

 そもそも、テレビのバラエティー番組などでの芸人による暴露トークはおなじみのもので、そうした中で「嫌い」や「ケチ」、「怖い」、「テレビで見る姿とはギャップがある」など他の芸人に関するネガティブな話題を視聴者に提供するのもしばしば見られる光景だ。

 ただ、中山本人も後に撤回しているように「嫌い」と「いじめられた」とでは情報の受け手が持つ印象は大いに変わってくる。
まして、パワハラやセクハラに対して敏感な昨今の世情では言わずもがなである。

 そのうえで、さんまが語っているように中山が高橋から受けた仕打ちを「いじめ」と認識するかどうかも大いに意見が分かれるところだ。

 中山は、『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』で当時出演していた番組の生放送が始まる直前に“コイツのやっているあの仕事なんか100万円もらってもやらへんわ”と暴言を吐かれたなどと明かしていた。

 この出来事一つをとれば、番組オンエア前とはいえ周囲に多くの人たちがいる仕事現場での一幕であり、その発言も「いじめ」という程の内容ではないようにも思える。

 もっとも、高橋の相方である八木はXの投稿で「当時の相方のツッコミや発言に『きついな』と思うときがあった」とも綴っている。

 今回の騒動に対する一部の芸人たちからのリアクションを鑑みても、当時の高橋の芸人仲間、とくに後輩芸人に対するカラミやイジリには同業者からしても「当たりが強いな」と思う部分があったことも否定はできない。

 中山といえば、「R-1ぐらんぷり2009」の王者であるだけでなく、近年ではとろサーモンの久保田かずのぶがパーソナリティーを務める渋谷クロスFM『とろサーモンの冠ラジオ枠買ってもらった。』などで軽妙なトークを披露したりと、かねてから数多くの芸人仲間からその芸人としての才能を高く評価されている。

 そんな話術にも長けた中山が言葉のチョイスを誤ったところを見るに、高橋に対する根深い感情のもつれがあったのかもしれない。

 ただ、今回の騒動で何よりも残念なことはともに同業者や業界内からは腕達者とされている人気芸人2人が当事者にもかかわらず、双方が謝罪に終始するだけでまったく「笑い」に昇華できていないことだろう。

「いじめ」はけっして「笑い」にできないが、今となっては双方とも「いじめではない」という共通認識を持つに至っているのだから、最終的には「笑い」にするのが芸人としての本分ではないだろうか。

 そうした期待も込めて、今後も2人の動向を注視していきたい。

ガード固き綾瀬はるか

(取材・文=三杉武)

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動。「AKB48選抜総選挙」では“論客”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当する。

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最終更新:2026/05/19 22:00